【完結】二つに一つ。 ~豊臣家最後の姫君
おーぷにんぐ☆あうと
序章 弱き者のために
鎌倉にある
その一室で、手紙をしたためる
まるで自身の魂を込めるかのように文字を書き連ねている。
『・・・東慶寺には、
東慶寺・第二十世
文面こそ勇ましく記してはいたものの、実は
相手は四十万石の大藩であり、幕府による別の裁定では、藩主の非は認めつつも出奔した家老、
しかし、東慶寺を頼って来た堀主水の妻子だけは、何があっても守らなければならない。
天秀尼は、弱気になりそうな自分を叱咤した。
東慶寺には、開山時より伝わる寺法がある。
それは『縁切り』だ。
東慶寺に駆込み成立となった時点で、何者も手出しが出来なくなり、寺の中で足掛け三年、二十四カ月ご奉公を行えば、晴れて縁を切れるという、あの
これに則れば、ご奉公を済ませれば、主水の妻という理由で彼女を裁くことができなくなるのは、自明の理。
弱い者の味方となって、理不尽な世の中に立ち向かう。
天秀尼は、自身を襲った不幸な境遇と世間の力なき人々の人生を重ねて、頼って来た人に対しては寄り添い、力になると決めていた。
そうすることが、亡き父、
天秀尼は、幼き頃、僅かな時間だが、ともに過ごすことができた父の大きな背中を思い浮かべるのだった。
自分が入寺する前、まだ、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます