第50話
ヨウイチがギルドマスターの部屋へ入ると、ギルドマスターは嬉しそうにしていた。
「おお、ヨウイチ!待っていたよ!」
「お待たせしました。」
(なんかテンション高いな・・・)
「とりあえず座ってくれ。」
「わかりました。」
ヨウイチはソファーに座った。
ギルドマスターも向かい側のソファーに座り話し始めた。
「まず、王城での打ち合わせだが・・・」
「はい。」
「明後日の午後からとなった。当日は、俺とヨウイチと護衛2人で冒険者ギルドから行くこととなっているが大丈夫か?」
「大丈夫です。」
(また王城に行くのか・・・)
ギルドマスターは頷くと話を続けた。
「わかった。打ち合わせの詳細は追って連絡する。それと今回の講師の件だが・・・」
ギルドマスターは少し困った表情をしていた。
「どうしたんですか?」
「いや、講師をしてくれるのはいいんだが・・・」
(ん?なんか問題でもあるのか?)
「講師の件で何かありましたか?」
ヨウイチが聞くとギルドマスターは少し困った表情のまま答えた。
「あぁ、実はな・・・王城での打ち合わせには国王陛下も同席される予定となっている。」
(え?なんで国王様までいるんですか!?)
「え?なんで国王様までいるんですか!?」
ヨウイチは驚きのあまり、思わず思ったことをそのまま言葉にし聞き返してしまった。
(いやいや・・・打ち合わせに国王様が同席するっておかしいでしょ!)
「すまんな。俺もそう思うんだが・・・」
ギルドマスターも困った表情のまま答えた。
「とりあえず、明後日の打ち合わせには参加するしかないですね・・・」
「そうだな・・・すまんが頼むよ。」
(はぁ・・・なんでこうなった・・・)
「わかりました。とりあえず明後日はまず冒険者ギルドに来ますね。」
「ありがとう、助かるよ・・・」
(ギルドマスターも大変そうだな・・・)
「では、打ち合わせの件はわかりました。今日はこれで失礼しますね。」
「あぁ、よろしく頼むよ・・・」
(はぁ・・・なんか疲れたな・・・)
ヨウイチはギルドマスターの部屋を出て、冒険者ギルドを後にした。
◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
王城での打ち合わせ当日、ヨウイチは冒険者ギルドでギルドマスターと合流し、王城へと向かった。
王城の門に着くと、門番にギルドカードを渡し確認してもらった。
「ギルドカードを確認しました。どうぞお通りください。」
「ありがとうございます。」
(毎回思うけど・・・この手続きって必要なのか?)
門を通り王城の中へ入るとメイドさんが出迎えてくれた。
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ。」
メイドさんの案内で、応接室に通された。
「こちらでお待ちください。」
「わかりました。ありがとうございます。」
しばらくすると、国王様と宰相が入ってきた。
「ヨウイチ殿、お待たせしたな!」
「いえ、大丈夫ですのでお気になさらず・・・」
(まだ30分も経っていないし・・・)
国王様は宰相を下がらせる。
「ヨウイチ、久しぶりだな!いつぞやの謁見以来か!」
「そうですね。」
(なんかテンション高いな・・・)
「今日はよろしく頼むぞ!」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
(とりあえず打ち合わせをしてさっさと帰ろう・・・)
「それで、打ち合わせの件だが・・・」
「はい。」
「今回の依頼内容は、ヨウイチと一緒に召喚した者たちに、冒険者としての基礎を教えることとなっている。」
「はい。」
(なるほど・・・)
「で、ヨウイチには王城で講師をしてもらいつつ、実際に戦う指南もしてほしいのだ!」
「はい、構いませんよ。」
(ん?指南もするのか・・・まぁいいか。)
「国王様、現在王城にいる他のクラスメイトたちの現状を教えてもらいたいのですが・・・」
「それもそうだな・・・カイ、説明頼むぞ。」
「かしこまりました。」
宰相さんが国王様に言われ説明を始めた。
「まず、ヨウイチ殿と一緒に召喚された者たちはレベルが高い者で15レベル、低いものは5レベルとなっています。」
(なるほど・・・)
「大半がモンスターを倒すという事に消極的でレベルが高い者でもリスクを冒さず弱いモンスターをひたすら倒している状態です。」
「あぁ、私たちのいた国では自分で動物を殺すというのは経験がありませんからね・・・」
「ですので、ヨウイチ殿にはまずモンスターと戦うということを教えてほしいです。」
「なるほど・・・」
(確かに、レベルが高い者でもモンスターと戦わなければ実戦の経験はできないよな・・・)
「わかりました。とりあえずは私が召喚された者たちに戦いを教えていけばいいんですね?」
「はい、お願いします。」
「ヨウイチ、すまんな。本来はこちらで教えることなんだが・・・如何せんその辺りの感覚が違っていてな、どうにも上手く教えれていないのだ。」
「なるほど・・・では、私の方で基礎から教えていきますね。」
「よろしく頼む。」
(とりあえずは、レベル上げと実戦経験を積んでもらってからかな・・・)
「さて、カイよ。私は次の約束があるから抜けるぞ。ヨウイチ、すまんな。こちらから追い出しておいてこんなお願いをするなんて。」
「いえいえ、大丈夫です。」
「ではな。」
国王様が退室されるので、立ち上がりお辞儀をした。
「さて、ヨウイチ殿、続きですが・・・」
「はい。」
「今回の講師の期間ですが、1週間後の次の月から1か月程を予定しております。」
「はい、大丈夫です。」
「そして報酬についてですが、一連の教育課程の修了で白金貨1枚、別途、特別報酬として各人のレベル10上げると大金貨1枚を予定しております。」
「え、そんなに頂いて大丈夫なんですか?」
「既に召喚してから数か月過ぎています。それなのに最大で15レベルという事を考えると1か月でレベル10上げることは私たちではできないことです。」
「なるほど・・・」
(確かに、レベル10上げるには相当時間かかるよな・・・)
「なので、白金貨1枚では少ないかもしれませんが、ヨウイチ殿のスキルや教え方を考えると妥当だと思います。」
「わかりました。」
(まぁ、もらえるならありがたくもらっておくか・・・)
「ヨウイチ殿は他に追放した5名の面倒も見てもらっており、既に高レベルになっていると聞きます。実績もあるため、期待しております。」
「はい、頑張ります。」
「では、講師を始める前にもう一度打ち合わせを行いましょう。月末に使いの者を向かわせます。」
「わからりました。」
「そこで最終的な契約を結び、次の日から講師を行ってもらうことになると思います。」
「はい。」
「では、今日はここまでとしましょう。ありがとうございました。」
(やっと終わった・・・)
ヨウイチは国王様が退室された後も打ち合わせを続けたが、その後はスムーズに進んだため予定より早く終了した。
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