第29話
ダンジョンの第2層を攻略してから色々あったけど、今日は休日だ。
俺は、久しぶりに一人で街に来ていた。
(今日、まずは武器屋で装備を整えないとだな・・・)
まずは、武器屋にやって来た。
「いらっしゃい!って坊主か!」
「どうも!」
ガザルさんは俺の顔を見るなり声をかけてきた。
「今日も何か探し物かい?」
「はい、実は以前買ったスティレットと同じ長さで頑丈な武器が欲しくて来ました。」
「ほう!なるほどな・・・それで予算は?」
俺は、大金貨1枚と金貨5枚をガザルさんに渡した。
「ふむ・・・これだけあれば十分なものが買えるぜ!」
(おぉ~さすがドワーフだな。)
「素材は何がいいんだ?素材によって値段が変わってくるが。」
「あ~予算内だとどんな素材がありますか?」
「ん~この予算だと・・・黒鉄、魔鉄、ダマスカスってとこか・・・あと倍の金を出せるなら、隕鉄なんてのもあるぞ。」
「ただ、ダマスカスと隕鉄はちょっと特殊なものなんでオーダーメイドになるから、時間がかかると思うぞ?」
「金額の差はどのくらいですか?」
「黒鉄が金貨1枚、魔鉄が金貨5枚、ダマスカスが大金貨1枚と金貨5枚、隕鉄が大金貨3枚ってとこか。」
(ん~・・・隕鉄までは流石にだせないけど、ダマスカスか・・・)
「なぁ、坊主。」
ガザルさんが声をかけてきたので、俺は返事をした。
「はい?」
「ちょっと時間かかるけどよ・・・ダマスカスなんてどうだ?武器は己の命を守るものだ。買えるならしっかりといい物を買ったほうがいいんじゃないか?それにダマスカスは硬いからな。鉄シリーズより耐久度はかなり高いからいいと思うぞ。」
(たしかに・・・ガザルさんの言う通りだな・・・)
「ありがとうございます!それでどれくらいかかりそうですか?」
「そうだな・・・2週間ってところか・・・」
2週間もすれば第3層を攻略できる。
「わかりました!それでお願いします!」
「よし!任せとけ!」
ガザルさんは笑顔で引き受けてくれた。
(これで武器は大丈夫そうだな・・・次は防具だな。)
「ガザルさん、武器と同じ値段で防具一式も見繕ってもらいたいのですが・・・」
「ん?坊主は防具も買うのか?」
「はい、実はダンジョンの第2層で・・・」
(あ・・・これは言わないほうがよかったか・・・)
「・・・なるほどな。わかった!俺に任せとけ!武器も買ってもらったし、防具は少しおまけをしておく!」
ガザルさんは俺の話を聞いて察してくれたようだ。
(さすがドワーフだな・・・察しがいい!)
それから俺は、武器屋を出て今度は魔道具屋に向かった。
「いらっしゃいませ!」
「あの・・・野営に便利な魔道具ってどんなのがありますか?」
「野営に便利な魔道具ですか・・・そうですね。」
店員は考え込んでいるようだ。
(やっぱり、あまりないのかな?)
「・・・例えば、火を起こせるものや、水が出てくるもの、ランタン、虫よけするもの、すぐに建てれるテント、魔法袋、・・・等々がありますが、どのようなものをお求めですか?」
「え!そんなにあるんですか!?」
(まじか・・・結構あるんだな。)
「はい、ございますよ。」
店員は笑顔で答えてくれた。
(これは魔道具屋に来て正解だったかもな・・・)
「えっとですね、火を起こせるものと水が出るもの、虫よけできるものをお願いします!」
「持ってまいりますので、少々お待ちください。」
店員は店の奥に消えていった。
(さてと・・・どんなものかな?)
少し待っていると、店員が戻ってきた。
「こちらになりますね。」
(ん~どれどれ・・・)
俺は魔道具を見て回った。
「説明していきますね。・・・これがこう使うもので・・・金額は・・・ゴブリンの魔石で・・・これが・・・」
少々時間がかかったが、無事に火を起こせるものと水が出るもの、虫よけできるものを買うことができた。
「お買い上げいただき、ありがとうございます!」
「こちらこそ、ありがとうございました!」
(これで野営も安心だな。次は・・・食料かな。)
俺は食料を買いに行くことにした。
(えっと、スーパーみたいな食材が集まっている場所は・・・ないな・・・まずは何があるか見て回るか・・・)
「なんかこう見てみると、色々な店が乱立しているな・・・もう数か月と過ごしているけど、知らなかった・・・」
独り言でそんなことを話していると、後ろからその返答があった。
「ヨウイチくんは宿とギルドの往復でこういう所には目を向けてなかったからね。」
驚いて振り返ると、そこにはサヤカがいた。
「サヤカ!?どうしてここに?」
俺がそう聞くと、サヤカは苦笑いしながら答えた。
「いや~実はね、ヨウイチくんが魔道具屋に行くのを偶然見かけてさ・・・私も今日は休みだし一緒に買い物しようかなと思って後をつけてきたんだ。」
(まじか・・・全然気づかなかったぞ)
俺は驚きながらも次の質問をした。
「・・・えっと、なんで後をつけたんだ?」
「あ!いや、そのね・・・ヨウイチくんが何を買おうとしているか気になってさ・・・」
サヤカは焦っている。
(ふむ・・・別に隠すようなことじゃないしな)
「ああ、実は野営で必要な食材を買おうと思ってな。」
俺がそう言うと、サヤカはホッとしたようだ。
「なんだ~そういうことか・・・」
(ん?別に隠すようなことでもないよな・・・)
「まぁ、とりあえず食材を買いに行こうか!それと俺はこの辺りはよくわからないから、案内してもらえるとありがたいな。」
「・・・うん!そうだね!」
俺たちは一緒に買い物をすることにした。
「それでヨウイチくんはどんな食材を買うの?」
「そうだな・・・まずは、オークの肉と調味料かな。あとは野菜を数種類とパン、あと米だな。」
(後はサヤカに聞いてからだけど)
俺がそう言うと、サヤカは驚いたようだ。
「え!結構買うんだね・・・」
「まぁ、アイテムボックスに入れておけば腐らないし、いずれ使うものだから買っておこうと思ったんだ。」
「なるほどね。」
(アイテムボックスに入れておけば腐らないのは便利だな・・・)
それから、サヤカに案内してもらいながら食材を買った。
調味料も塩以外にも胡椒や砂糖があったので買っておいた。
オークの肉は、豚肉みたいな感じだったのでステーキにしようと思う。
あ!米があったからおにぎりを作ろう! パンはそのまま食べるとして、野菜も色々買ったぞ!
「米はかなり安かったな・・・」
「あーそれね、アガルタ王国の人は米は食べないみたいだよ。」
「・・・な、なんだと・・・」
「米は馬や鶏のエサになっているみたいだね。米の食べ方をしらないんじゃないかな。」
「そうなのか・・・確かに、宿だと米は出てこなかったな・・・ふぅ、とりあえず、野菜も買ったから帰るか!」
「うん!そうだね!」
俺たちは野菜を買った後に家に帰った。
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