第21話

翌朝、朝食を食べ終えた俺達は早速ダンジョンに向かうことにした。

「じゃあ、みんな!今日はよろしく!」

(よし、いよいよ初探索だ!)

「うん!頑張ろうね!」

「はい!頑張りましょう!」

「私も頑張るよ〜!」

「じゃあ、ダンジョンに向かう前に・・・みんな、これを装備してくれ!」

俺はみんなに指輪を渡した。

「これは?」

サヤカが質問してきたので、俺は説明した。

「これは『念話の指輪』っていって、魔力を込めると自分の半径5メートル以内なら念話ができるんだ!昨日、メイさんに言われてギルドの物販で買っておいたんだ!」

「念話?そんな便利なものがあるの?」

「ああ、ダンジョン内で何があるかわからないからな!念話ができれば連携が取りやすいと思ってさ!」

「・・・なるほど!確かにそうだね!!さすがヨウイチくん!!(できれば婚約指輪がよかったなぁ・・・)」

(ふっふっふ・・・サヤカに褒められると嬉しいな・・・)

「よし!じゃあ、みんな指輪をはめて、試してみてくれ!」

みんなが指輪をはめたのを確認してから、俺はみんなに念話を送った。

『みんな聞こえるか?』

すると、みんなが一斉に返事をした。

『うん、聞こえるよ!!』

『はい、聞こえます!』

『私も聞こえてるよ〜!』

『おっけ〜!』

『・・・大丈夫。』

『よし、大丈夫そうだな・・・じゃあ、出発しよう!』

俺たちはダンジョンに向かって出発した。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ダンジョンに向かって出発した俺達は、道中モンスターに遭遇することなく、無事にダンジョンの入り口に到着した。

「ダンジョン突入前に再度確認します。」

「はーい。」

「まず、1番前はサヤカ。前からの敵を索敵しながら進んでくれ。敵が来たら盾で防いでくれ。」

「了解~。」

「2番目はナツミ。サヤカのフォローしてくれ。索敵は右側を意識してくれ。」

「わかったよー。」

「3番目はリナ。【探知】スキルを使いながらマッピングをお願い。」

「はーい。」

「4番目はユイ。前3人の支援と回復をお願い。あと光源が足りなければよろしく!索敵は左側で!」

「わかりました。」

「5番目はマヤ。攻撃魔法の準備しながら皆のフォローを!遊撃係だ!」

「了解だよー。」

「殿は俺が務める。索敵は後方だ。この隊列は今後のダンジョン探索の基本となるので、今回は慣らしながら覚えていこう!」

「「「「「はい!」」」」」

「よし!ここからはいつモンスターに襲われるかわからないから、警戒して進もう!」

「うん!」

「はい!」

「了解」

ダンジョン内は薄暗く、壁や天井がうっすらと光っているため、視界は良好だった。

(ふむ・・・これならライトの魔法は必要なさそうだな・・・でも、どういう理屈で光っているんだ・・・?)

「みんな、念のためにいつでも戦闘できるように準備しておいてくれ!」

「わかった!」

(よしっ!じゃあ、第1層を探索するか!)

第1層の探索を開始した俺たちはモンスターと遭遇することなく順調に進んで行く。

「ねぇヨウイチくん、モンスターって全然いないね?」

(確かに・・・ここまで1匹も遭遇しないものなのか・・・?)

「ああ、そうだな・・・」

(メイさんは第1層は草原や森などの自然型とかが多いって言ってたけど、実際に探索してみると洞窟型のダンジョンだったからな・・・このダンジョンは他とは少し違うのかもしれないな・・・)

「後方から10体のモンスター反応あったよ!」

すると、リナの【探知】スキルにモンスターの反応があった。

「え、後方?今まで1本道だったのに!」

前方を警戒していたサヤカが後方のモンスターに反応し、驚きの声を上げた。

「ちっ、どこか隠し通路でもあったのか!?みんな、戦闘準備!後方にモンスター10体を視認した!!鑑定はしたが、今までのゴブリンと能力値は一緒だ!焦らずいくぞ!」

指示を出すと全員が武器を構えた。

「マヤ!」

すかさずマヤに声をかけた。

「わかってるよ〜!・・・ウインドボール!!!」

すると、後方からゴブリン10体が襲ってきたが、通路が狭いこともあり半数が倒れた。

「あとは任せろ!!」

俺は残りのゴブリンを殲滅した。

「ふぅ・・・危なかったな・・・」

「うん、そうだね・・・でも、なんで後方からモンスターが?」

「どこかに隠し通路でもあったかもしれないな・・・とりあえず、このまま慎重に進むぞ!」

「うん!」

その後、俺達はゴブリンに襲われながらも慎重にダンジョン探索を進めていった。

(うーん・・・やっぱりモンスターが少ないな・・・)

しばらく進むと広い空間に出たが、そこにはゴブリンや犬のようなモンスターなどの低級そうなモンスターが30体ほどいたため、身を隠し念話で連絡する。


----------------------------------

【名前】なし

【種族】コボルト 【年齢】0歳

【レベル】3/100

【職業】 なし

【状態】良好

身体能力

【HP】70/70

【MP】30/30

【攻撃】30

【防御】20

【魔攻】5

【魔防】5

【敏捷】70+14

スキル 【俊敏】

----------------------------------


『まずは敵情報。あそこの2足歩行の犬みたいな奴はコボルト、早くて弱いゴブリンみたいなものだ。少し足が速そうだからサヤカは気をつけるように。』

『了解。』

『みんな聞いてくれ。弱いモンスターだが数が多い。マヤの魔法で数を減らしたら一気に叩くぞ!』

『了解!』

『マヤ!魔法で先制攻撃だ!』

『はーい!』「・・・ウインドボール!!」

すると、ゴブリンやコボルトの群れの上空に無数の風の刃が生成され、一斉に降り注いだ。

(よしっ!)

すかさず立ち上がり、号令を出す。

『いくぞ!』

『おおおお!!』

一斉に飛び出すと、モンスターたちは突然の奇襲に混乱していた。

(よしっ!先制攻撃は成功だ!!)

俺は撹乱しながら、コボルトの首を刎ねていった。

(これで1体目!)

2体目のコボルトを仕留めた直後だった・・・

3体のゴブリンがサヤカに向かって襲いかかってきた。

「サヤカ、危ない!」

(くっ・・・間に合わない!!)

すると、サヤカは盾でゴブリンの攻撃を防ぎながら叫んだ。

「威嚇!!」

サヤカがスキルを使うと、3体のゴブリンは怯み速度が落ちた。

(よしっ、ナイスだ!)

サヤカが3体のゴブリンを相手にしている間も俺は次々とコボルトを仕留めていった。

「これで最後っ!!」

5体目のコボルトを斬り伏せた時だった・・・

『ヨウイチくん!後ろ!!』

(なに!?)

振り向くと、そこにはオークが俺に斧を振りかぶろうとしていた。

「ちっ。」

俺は振り下ろされる斧をギリギリで躱し、オークの首を刎ねた。

(ふぅ・・・危ないところだったな・・・)

「サヤカ、大丈夫か!?」

慌てて声をかけると、サヤカは笑顔で答えた。

「うん、全然平気だよ!」

(よかったぁ〜・・・)

安心して周りを見渡すと、ゴブリンやコボルトは全滅していた。

「みんなお疲れ様!」

「お疲れ様〜」

「お疲れ様です!」

「お疲れ〜」

「・・・お疲れ」

俺たちはさらにダンジョンの奥へと進んでいった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

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