第20話
翌日、俺達は朝食を食べながらダンジョンの調査隊の話をしていた。
「ねぇ、ヨウイチくん!調査隊ってどんな人達が来るのかな?」
「うーん・・・ギルドのメイさんも『詳しい人が来てくれる』って言ってたから、実力者だと思うよ!」
朝食を終え、ギルドに向かった。
「おはようございます!メイさん!!」
受付でメイさんから調査隊について説明があった。
「皆さんおはようございます!昨日伝えた通り、これからダンジョンの調査隊が出発します。そして、皆さんには少しお話があります!」
「なんでしょうか?」
「実は今回の調査でダンジョンだということが確認できたら、ダンジョン発見者の功績でいくつか恩恵が受けられます。」
(お、なんだろうな?)
「まず、国とギルドから報酬が出ます!ダンジョンはその特性上、ダンジョンから産出されるアイテムで商売が賑わいやすくなりますので!!」
(なるほど・・・金か・・・まぁ、お金は欲しいけど、あまり目立ちたくないしな・・・)
「次に、ダンジョン先行権です!1ヶ月程度ですが、ヨウイチさんのパーティしか潜れません。ダンジョン入り口には見張りを立てますので、他のパーティは入れないようになります!」
(おー、これはいい!調べ尽くせば宝箱とかもあるかもしれない!1ヶ月間だけど、他のパーティに取られる心配がないのはいいね!)
「最後に、ダンジョンに関する情報権です。ギルドにマップや採取場所の情報等を売っていただけるのでしたら、ギルドが他の冒険者に販売した金額の一部をヨウイチさんのパーティ口座に振り込みます。1ヶ月間にどれだけ探索ができるか、マップを綺麗に整理できるかで金額が変わるので頑張ってください!勿論、売っていただいた情報に誤りがないか確認した後ということになりますが。」
(なるほど、ダンジョンの情報を売るだけでお金が入ってくるのか・・・これは美味しいな!)
「わかりました。では、俺達はこの後、何をすればいいですか?」
「皆さんは調査隊が帰ってくるまでは自由です。調査隊が帰ってきたら一緒に報告を聞いてください。」
(まぁ、俺達が行っても邪魔になるだけだろうからね・・・)
「わかりました。じゃあ、みんなはどうする?俺はメイさんと一緒にギルドにいるけど・・・」
「私は、久しぶりにゆっくりしたいから、屋敷で休んでるよ〜!」
「私も、ちょっとやりたいことがあるからお屋敷にいます!」
「私は、ヨウイチくんと一緒にギルドにいるよ!メイさんもいいですか?」
「はい、大丈夫です。では、調査隊が来たら呼びに来ますので、それまでは自由時間とします!」
「じゃあ、俺とサヤカはギルドで、他のみんなは屋敷で待機ということで!」
「「「「「了解!」」」」」
俺達はそれぞれ行動を開始した。
俺とサヤカはメイさんにお願いしてダンジョンについて詳しく教えてもらうことにした。
「メイさん、ダンジョンについて詳しく教えてもらってもいいですか?」
「はい、いいですよ。はじめにダンジョンにはランクがありまして、D〜Sまで5段階に分類されます。各ランクについてですが、D:初心者、C:初級者、B:中級者、A:上級者、S:超越者となっております。まぁ、あくまで目安ですけどね。」
(俺たちの場合、Bからはまだ心許ないかな・・・)
「また、ダンジョンには階層があり、下に行けば行くほどモンスターも強くなります。」
(ふむふむ・・・ということは、初回の探索で行けるのは腕試しで第1層が無難かな?ランクにもよるだろうけど・・・)
「また、階層ごとにボス部屋と呼ばれる場所がありますが、そこにボスモンスターがいる場合と、いない場合があります。」
(なるほど!つまり、第1層のボス部屋にはボスがいるか、いないかで難易度が変わるのか・・・)
「そして、ダンジョンには宝箱があり、中には武器や防具、アイテムなどが入っています。」
(宝箱!調査後の1ヶ月間で見つかるといいな!!)
「ちなみにですが、ダンジョンの階層にはそれぞれ特徴があり、例えば1階層は草原や森などの自然型ダンジョン、2階層は洞窟や遺跡型のダンジョンといったように階層ごとによってその姿が変わります!トラップ等もあるので、注意が必要です!」
(へぇ、面白いな…)
「最後にダンジョンに出てくるモンスターは、ダンジョン内で倒されると、魔石とドロップアイテムを残して消えます!」
(ふむふむ・・・解体しなくていいのは楽だな。あーでも、オーク肉とかドロップになるのだろうか・・・)
「また、ダンジョンはなぜかモンスターを産み出す機能があります。ダンジョンにも寄りますが、おおよそ半日ほどの周期でモンスターを産み出しますので、モンスターが全くいなくなるということは無いと思っていいと思います。」
(いなくならないのか…そりゃダンジョンが儲かるわけだ・・・)
「ダンジョンの基本的な事はこんな所です。ダンジョンに潜ってわからないことがあれば、聞いてください!」
「わかりました!ありがとうございます!」
メイさんにお礼を言って、ダンジョンについて教えてもらった。
「うーん・・・とりあえず、調査隊が帰ってきたら、第1層を探索してみるか・・・」
「そうだね!私も第1層を探索したいな!」
「よし、じゃあ今度はダンジョンについてもう少し調べるか!」
俺達はギルドに併設されている図書館に行き、ダンジョンについて調べ始めた。
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図書館でダンジョンについて調べ、昼休憩を挟みながら夕方まで調べた。
「ふぅ・・・とりあえずここまでにしようか・・・」
(さて、そろそろメイさんが呼びに来る頃かな?)
「サヤカ!俺は受付にいるから、みんなを呼んできてくれないか?」
「うん、わかった!」
サヤカがみんなを呼びに行き、しばらくして全員が集まった。
そして、調査隊の隊長が来たとの知らせを聞いたので、全員で受付まで向かった。
「皆さん、お待たせしました!調査隊の隊長のカイトです!本日はよろしくお願いします!」
カイトと名乗る男は、見た目30代前半といったところで、茶髪に茶色い瞳のイケメンだった。
(おお・・・なんか爽やかそうな人だ・・・)
「ヨウイチさんですね?メイから話は聞いています。今日はよろしくお願いいたします!」
「はい、こちらこそよろしくお願いいたします!」
「では、ギルドマスターとの面会をお願いします。」
俺達はメイさんと一緒にギルドマスターの部屋まで向かった。
コンコンッ!!ガチャッ!
「失礼します!!」
メイさんがノックをし、ドアを開けた瞬間・・・
(うおっ!?びっくりしたぁ・・・)
俺達が部屋に入った瞬間、ギルドマスターの怒鳴り声が響いた。
「だから!俺は反対だと言っているだろう!!」
メイさんは慣れたように、俺達に『お気になさらず』と手で合図をして、そのまま部屋に入っていった。
(・・・なんか大変そうだな・・・)
俺達は部屋に入り、メイさんが事情を説明した。
「・・・なるほどな・・・わかった!じゃあ、調査隊のメンバーを呼んでくれ!」
「わかりました!では、ヨウイチさん、皆さん、ギルドマスターがお呼びですので、どうぞお入りください!」
メイさんに促されて俺達は部屋に入り椅子に座った。
「失礼します!!」
「よし、それでは、調査隊の調査結果を聞こう!カイトよろしく頼む!」
「わかりました。まず、今回の調査で洞窟の奥にあったものはダンジョンだったことを報告します。」
「カイトさん、調査いただきありがとうございます!」
「ダンジョンの魔力量を測定した所、Cランク相当のダンジョンだということがわかっています。ただし、このランクはあくまでダンジョン入り口付近のものであり、どのくらいの規模であるかは不明であるため、注意は必要と愚考します。」
「なるほど、わかりました。ありがとうございます!」
(よし!これでダンジョン第1層の探索ができる!)
「Cランクか!王都周辺は比較的安全ともあって、高くても中級者辺りの冒険者しかいないから、これはかなり潤うぞ!経済効果が計り知れない!ヨウイチ!でかした!!」
ギルドマスターは嬉しそうに俺の背中をバシバシと叩いてきた。
(痛い!痛い!!)
「このダンジョンの名前は暫定だが、『アガルタ王都ダンジョン』と呼称しておこう。」
(アガルタ王都ダンジョンか・・・そのままだな!)
「じゃあ、ヨウイチ、明日からダンジョンに入るなら準備を頼む!」
「わかりました!」
(いよいよだな・・・ダンジョンを探索できるのが楽しみだけど、油断しないようにしないとな・・・)
その後、俺達は屋敷に戻り夕飯を食べながら明日の予定について話し合った。
「明日はダンジョンに入るから、朝は早めに起きて出発しよう!」
「うん、いよいよだね!!」
「はい、楽しみです!!」
「私も頑張るよ〜!」
「どれだけ広いかはわからないけど、明日は第1層攻略を目標にしよう!準備は怠らないように!」
「「「「「了解!」」」」」
(よし!じゃあ、明日に備えて今日は早く寝るか・・・)
そして、俺達はベッドに入り眠りについた。
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