第19話

ギルドで依頼を受けた俺達は洞窟に向けて出発し、しばらく歩くと洞窟が見えてきた。

(それにしても、本当に嫌な予感がするな・・・)

「みんな、この洞窟が依頼にあった場所みたいだ!」

(さて、どうしよう・・・)

すると、ユイが話しかけてきた。

「ヨウイチくん、洞窟の中は暗いから、私が明かりを灯すね!」

「わかった。じゃあ、頼むよ!」

(まぁ、危なくなったら逃げよう・・・)

そして、俺達は洞窟の中に入って行った。

1時間ほどゴブリンを数匹倒しながら歩いていくと、広い場所に出た。

(ここが最奥かな?)

すると、リナが話しかけてきた。

「ヨウイチくん、ちょっといい?」

「うん、どうしたの?」

「あの・・・この洞窟なんだけど・・・」

「・・・なにかあるの?」

リナは衝撃的なことを口にした。

「あのね・・・たぶん、この洞窟ってゴブリンの住処じゃないと思う・・・」

(え?どいうこと??)

俺が疑問に思っていると、リナが説明してくれた。

「あのね・・・私の【探知】スキルで生き物の反応がないんだよね・・・」

「じゃあ、ここはなんのために作られたんだ?」

「それは、わからないけど・・・」

(うーん・・・なんか気になるな・・・)

すると、サヤカが話しかけてきた。

「ヨウイチくん、この洞窟を探索してみる?」

「そうだね!じゃあ、みんなで手分けして調べてみようか!」

(よし!とりあえずリナの【探知】スキルで反応がある場所がないか探してみるか!!)

俺達は行きがけにゴブリンを駆除したため、二手に別れて探索を開始したが1時間ほどしても何も反応がなく広間に戻ってきた。

「ヨウイチくん、どうだった?」

「うーん・・・何も反応がないな・・・」

(やっぱり、ここはただの洞窟だから何もないのかな?)

「ヨウイチくん、そろそろ休憩にしませんか?」

(あーもうそんな時間か・・・)

俺達は一旦洞窟を出て、入口付近で野営の準備を行い、休憩をした。

(さてと・・・これからどうしようかな?)

すると、ナツミが話しかけてきた。

「ヨウイチくん、この後どうする?」

(うーん・・・やっぱり、この洞窟気になるな!!)

「みんなは、どうしたい?」

俺がみんなに尋ねると、ユイが答えた。

「私は、もう少し調べてみたいかな!」

ナツミが頷いた。

「なんかわからんけど、この洞窟、お金の匂いがするのよね〜!」

すると、リンも答えた。

「私もこの洞窟は怪しいと思う!」

「よし!じゃあ、もう少し調べてみようか!!」

(まぁ、何もなければそれでいいしね。)

俺達は再度洞窟に入り探索を再開した。

「ナツミ、お金の匂いが濃い所を探してくれ!リン、探知じゃなくて看破で探してみてくれないか?」

「「了解〜!」」

2人は、スキルを使いながら洞窟の奥に進んで行った。

再び大広間に戻ってくると、2人のスキルが反応した。

「ヨウイチくん、お金の匂い時はこの大広間が1番濃いよ〜。」

「あっ!あの壁に看破スキルが反応してる!」

「よし!あそこの壁を徹底的に調べよう!」

壁を調べるが、仕掛けらしき物は見当たらない・・・

「うーん・・・何もないな・・・ちょっと壁を掘ってみるか・・・?」

「道具がないけど、どうするの??」

「そうだな・・・マヤ、火魔法は危険だから、風魔法を壁に攻撃できるか?」

「了解〜!やってみるね〜。みんな離れててね!・・・ウインドボール!!」

風魔法が壁に当たると凄い音がして壁が崩れ落ちた。土埃が晴れたその先には・・・

「ん?空洞になっているのか・・・?」

壁が崩れた先に進もうとすると、先の方から大量のゴブリンが襲ってくる!

「ちっ嫌な予感はこれか!全員!戦闘準備だ!ゴブリンが大量にくるぞ!!一旦大広間に戻れ!」

他のメンバーも慌てて準備を急ぐ。

「ユイは俺とサヤカにバフの準備を!リナとマヤは攻撃準備!ナツミは抜けてきたゴブリン後衛に行かせないように!」

「「「「了解!」」」」

「フィジカルアップ!×2」

「よし!サヤカは盾で防ぎながら威嚇!」

ユイのバフが終わり、サヤカが威嚇しながら盾でゴブリンを攻撃する。

「了解!・・・シールドバッシュ!」

すると、奥から大きな棍棒を持った大柄なゴブリンが出てきた!!

「みんな気をつけろ!!ホブゴブリンだ!リナとマヤはサヤカの周りの雑魚を頼む!」

俺は飛び出し、ホブゴブリンに突っ込んだ。

ホブゴブリンとは何度も敵対しているのですぐに片付け、他のメンバーの様子を伺った。

リナとマヤは順調にゴブリンを倒していた。

サヤカも盾を上手いこと壁にしながら、ゴブリンを倒している。

ナツミも抜けてきたゴブリンを後衛に近づけないように立ち回っているし、ユイも回復とバフをきっちり回している。

俺は安心しながらゴブリンが片付くのを待った。

しばらくすると、ゴブリンが全滅した。

「みんなお疲れ!特に怪我はないかな?」

「うん!大丈夫!」

「私も大丈夫だよ〜!」

「よし!じゃあ、壁の向こうを調べてみよう!」

俺達は崩れた壁を乗り越えようとすると違和感が・・・

「ん?今、壁を越えた時に薄い膜のような物がなかったか?」

「そうだねぇ、探知スキルにもモンスターがいるようになったし・・・」

「この場所、そこらじゅうに魔力を感じるよ!」

「魔力だって?ここってまさか・・・ダンジョンか!?」

「え?ダンジョン!?ヨウイチくん!私、ダンジョン初めて!!」

「このまま進むのは危険だな・・・一旦、町に戻って、ギルドで報告しよう!」

「「「「「了解!」」」」」

俺達は、ギルドに報告するために一旦町に引き返すことにした。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ギルドに戻り、受付でメイさんに報告する。

「メイさん、すみません!ダンジョンを発見しました!」

「え?本当ですか!?でも・・・受けた依頼は『洞窟に住み着いたゴブリンの討伐』ですよね?」

「えぇ、その依頼で洞窟に行ったのですが、ゴブリンが少なくて、洞窟を調べてみたんです。」

「ちょっと奥で詳しい経緯を聞いていいですか?」

俺達はギルドでギルドマスターを含め、再度ダンジョン発見時の報告した。

「おう、ヨウイチ!ダンジョンを発見したんだってな!ちょっと詳しく教えてくれや!」

俺は依頼を受けた後からダンジョン発見までの詳細を話した。

「なるほど・・・ゴブリンが少なかったんですね・・・」

「はい!それで、不思議に思い洞窟を調べた所、ダンジョンの入口を発見しました!」

「わかりました!では、明日調査隊を派遣しますので、しばらくお待ちください!!」

(よし、これで調査隊が来れば、すぐにダンジョンを攻略できるな!!)

その後、受付嬢のメイさんから説明があり、ダンジョンに詳しい冒険者が調査隊の隊長として出発することを聞いた。

「じゃあ、みんな今日はありがとう!解散しよう。」

俺はみんなにお礼を言ってギルドを後にした。

(ふぅ・・・とりあえずこれで安心だな!!)

そして、屋敷に戻り休憩後、みんなでメイドさんの作った夕飯を食べながら明日のことを話し合った。

「ねぇ、ヨウイチくん!明日はどうするの?」

「うーん・・・調査隊がくるから、俺達はギルドで待機かな?明日になればわかるよ!」

「そうだね!明日、調査隊がくるから依頼は受けられないかもしれないから、ゆっくりしよう!」

そして、みんなで食事を終え、それぞれ部屋に戻っていった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る