第13話
ギルドマスタールームを出ると、リンさんが話しかけてきた。
「ヨウイチ、今日はどうするの?」
(うーん・・・)
「あ、そうだわ!今日、私と一緒に依頼を受けない?」
(え、どういうこと?)
俺は詳しく聞いてみることにした。
「どういうことですか?」
すると、リンさんは笑いながら答えた。
「秘密!ふふっ。」
「秘密って・・・」
(まぁ、リンさんと一緒なら大丈夫かな?)
「わかりました。一緒に行きましょう!」
すると、リンさんは嬉しそうに答えた。
「ほんと?やったわ!」
こうして、俺はリンさんと依頼を受けることになった。
「と、その前に・・・みんな、お金を貸すから今日は生活用品や武器防具、宿の手配をしておいてくれ。あと佐藤じゃなくてヨウイチと呼んでくれ。」
「え?ヨウイチくんはどうされるんですか?」
「俺はちょっと用事があるから、この人と依頼を受けてくるよ!」
「わかりました。よろしくお願いします!」
「俺が行っている宿は受付のメイさんが知っているから聞いておいてくれ。」
そんなやり取りをして、俺とリンさんはギルドを後にした。
(さてと・・・どこに行くのかな?)
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リンさんと俺は、町の外までやってきた。
「さてと・・・この辺でいいかな?」
(え?何するの?)
リンさんは、周りを確認してから話しかけてきた。
「ヨウイチ、私の秘密を教えてあげる!」
「秘密ですか?」
(なんだろう?)
リンさんは、杖を地面に向けて魔法を唱えた。
「大地に眠る精霊よ・・・我の呼びかけに応じ、その姿を現せ・・・」
すると、地面に魔法陣が浮かび上がり、その中から精霊が現れた。
その精霊はずんぐりむっくりとした姿をしており、ヨウイチの足にくっついてきた。
(え?何これ??)
俺が驚いていると、リンさんは耳に付いているイヤリングを外した。
すると、リンさんが光り輝き始めた。
「リンさん!これは??」
「ふふっ。驚いた?実は私、エルフなの!」
リンさんはエルフの特徴である耳を見せながら、笑顔で話しはじめた。
「ヨウイチ、初めてあなたに会った時から妖精が興味を示していてね、あなたは何か特別なんじゃないかと思っていたわ。」
「え?じゃあ、妖精が興味を示したのって・・・」
「たぶん、あなたの出自とスキルね。異世界人だということで納得したわ!」
「はぁ・・・そうですか・・・、じゃあ俺も秘密を教えておきます。リンさんがエルフというのは少し前から知っていました。」
「え?そうなの?」
リンさんは驚いた表情をしていた。
「えぇ、私のスキルは鑑定なのですが、本来の鑑定とは違い、他人のステータスを読み取ることができるのですよ。」
「えぇぇ?」
「鑑定(神)スキルというらしいです。」
「えぇぇ・・・すごいわね!」
「・・・そっか、妖精がヨウイチに懐くのは、その神スキルに神威を感じたからなのかもしれないわね・・・」
リンさんは、少し考えていた。
「私の秘密とヨウイチの秘密を教えあったから、帰ろうか!」
「え?いいんですか?」
「えぇ!帰りましょう!」
(なんか、あっさりしてるなぁ・・・)
そんなやり取りをしながら、リンさんと俺は宿に向かった。
妖精を足にくっつけたままで・・・
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
宿に戻ると、クラスメイトの女子たちが集まってきた。
「おかえりなさい!」
「あと、ヨウイチくん、ごめんなさい。」
(え?なんで謝ってるの?)
「私たちも王城から追放されたのだけど、私たちよりもステータスが低くてスキルも普通のヨウイチくんに当たってたんだ。」
「だから、私たちもヨウイチくんみたいに強くなるよ!」
クラスメイトの女子たちは笑顔で答えた。
(えぇ・・・俺ってステータスが低いのが当たり前なの?いや、まぁ事実なんだけどさ・・・)
「あ、ありがとう。でも、俺も努力をしたから今があるんだ!みんなも頑張ってくれ!」
すると、クラスメイトの女子たちは笑顔で答えた。
「うん!」
「それで王城にいる他のクラスメート達はどうなんだ?」
クラスメイトの女子たちは、少し悲しそうな表情をしていた。
(あれ?なんかまずいこと言ったかな・・・)
「他のみんなは、私たちよりもステータスも高くて、凄いスキルも持っているから・・・」
「だから、私たちとは違うんだよ・・・」
(違う・・・?)
「皆は、他のクラスメイトに会いたいかい?」
クラスメイトの女子たちは、少し考え始めた。
「うーん・・・会いたくないことはないけど・・・」
(あれ?会いたいわけではないのか??)
「でも、私たち他のみんなからいじめられたんだよね・・・」
(なるほど・・・そういうことか・・・)
「そっか・・・わかった。どうするかは明日から考えよう!今日はよく食べてちゃんと寝てくれ!」
「うん!」
こうしてヨウイチはなし崩し的にハーレムパーティを手に入れるのであった。
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翌日、宿で朝食を食べていると、リンさん宿に来て話しかけてきた。
「ヨウイチ、今日は何しようか?」
(うーん・・・)
「とりあえず、ギルドマスターにも頼まれているので、クラスメイトと冒険者ギルドに行って依頼を受けようと思っています。」
そんなやり取りをしていると、クラスメイトの女子たちが降りてきた。
「あ、ヨウイチくん!」
「ヨウイチくん、おはようございます!」
「おう、おはよう!」
クラスメイトの女子たちは、昨日とは違い明るい表情をしていた。
(あれ?なんか少し元気になったな・・・)
「みんな、おはよう!」
「あ、リンさんだ!」
「おはようございます!」
俺はふと疑問に思ったことを聞いてみた。
「そういえば、リンさんはどこの宿に泊まっているんですか?」
すると、リンさんは笑いながら答えた。
「ふふっ。秘密よ!」
(え?なんか、可愛い・・・)
すると、クラスメイトの1人が声をかけてきた。
「ヨウイチくん、今日は私たちもついていっていいかな?」
ギルドマスターに頼まれたこともあり、断る理由もなく了承した。
「あぁ、いいよ!」
そんなやり取りをしていると、リンさんが話しかけてきた。
「じゃあ、ヨウイチ、冒険者ギルドに行きましょう!」
「はい!」
こうして、俺たちは冒険者ギルドに向かい、ギルドマスターのいる部屋についた。
コンコン・・・ガチャ・・・ ギルドマスターは笑顔で話しかけてきた。
「おぉ、来たか!」
(なんか、いつもより笑顔だな・・・)
「おはようございます!」
「「「おはようございます!」」」
すると、ギルドマスターが声をかけてきた。
「ヨウイチ、昨日はすまなかったな!押し付けてしまって!」
「いえ、大丈夫ですよ。」
「はっはっは。そうか、ちゃんと手綱を握っておいてくれよ!」
そんなやり取りをしていると、リンさんが話しかけてきた。
「じゃあ、行きましょうか?」
(あ、そうだった・・・依頼を受けないと・・・)
そんなやり取りをしながら、俺たちはギルドマスタールームを出た。
下の階に降りると、リンさんは掲示板の方に向かっていった。
「ヨウイチ、これなんてどうかしら?」
(え?どれだろう??)
俺は、リンさんが指さしている依頼書を見た。
(えっと・・・『ゴブリンの討伐』か・・・)
「リンさん、この依頼を受けるんですか?」
「えぇ、みんなもいいでしょ?」
「うん!」
「いいよー!!」
ギルドマスターが話しかけてきた。
「ヨウイチ、リンには報酬を多めに渡すから、ゴブリンの討伐は任せたぞ!」
(え?どういうこと?)
俺は疑問に思いながらも返事をした。
「わ、わかりました・・・」
(まぁ、いいか・・・)
こうしてクラスメイトの女子たちのレベル上げが始まった。
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