第12話

翌朝、ギルドに戻り報告をした。

「はい、こちらが今回の報酬です!」

(そういえば、盗賊討伐の試験だったけど正式な依頼だったな・・・)

そんなことを考えていると、受付嬢のメイさんが試験結果を伝えた。

「おめでとうございます!全員C級合格ですよ!!」

受験メンバー全員、喜んでいた。

「やったぜ!全てヨウイチさんのおかげです!!」

(え?何が??)

「いや、俺は何もしてないよ・・・」

そんなやりとりをしていると、ギルドマスターのドルトンさんが話しかけてきた。

「ヨウイチ、よくやったな!!これでお前も今日からC級冒険者だ!!」

「あ、ありがとうございます!!」

「全員!今から暇か??」

(ん?どうしたんだろう??)

「はい、大丈夫ですが・・・」

「よし!じゃあ、ちょっとついてこい!」

俺たちはギルドマスターのドルトンさんについていった。

ギルドマスタールームに着き、中に入るとそこには盗賊に捕まっていた人たちがいた。

ドルトンさんが話し始めた。

「この人たちは盗賊に捕まっていた人たちだ。みんなに感謝してたぞ!」

(あ!そういうことか・・・)

1人の女性が話しかけてきた。

「あのー・・・助けていただきありがとうございました!」

「あ、いえ、無事でよかったです!」

すると、他の捕まっていた人たちもお礼を言ってきた。

「皆さん!本当にありがとうございます!!」

そんなやり取りをしていると、ドルトンさんが話しかけてきた。

「全員!今回の活躍でC級冒険者になったわけだが、今後も困っている人がいたら助けてやるんだ!」

「はい!!」

(おー!!なんかいいな・・・)

捕まっていた人たちは帰り、盗賊の洞窟から持ってきた品々の分配の説明となった。

「まず、盗賊が貯めこんでいた品々は基本的にはお前たちのものだ!!だが、この中には盗賊に奪われた物もあるため、中身を確認し所持者に連絡をする!」

「はいっ!」

「所持者の確認が済み次第、元所持者と返却の交渉だ!この辺りはギルドで請け負うので気にしなくていい!」

「はいっ!お願いします!」

「最後に交渉した結果と残りのものは全てお前たちのものとなる!約1か月後に連絡するので、忘れず来るように!」

「はいっ!」

俺たちはギルドマスタールームから出ていった。

その後、C級冒険者になったことを祝って皆で食事に行くことになった。

各々、自分の飲み物や料理を注文し、乾杯をした。

(ふぅ・・・やっと一息つけるな・・・)

そこにガインさんとリンさんも合流し、みんなで楽しく食事をした。

食事を終え、宿に戻っているとガインさんが話しかけてきた。

「ヨウイチ、昨日はお疲れだったな!」

(あ、そういえば・・・)

「あのー・・・ちょっと聞きたいことがあるんですが・・・」

「ん?どうした??」

俺は昨日、盗賊と戦っている時に感じたことをガインさんに話してみた。

「あのー・・・俺って冒険者に向いてないですか?」

(なんか・・・不安になってきちゃったな・・・)

すると、ガインさんは笑いながら答えた。

「はっはっは!ヨウイチ、お前は何を言っているんだ!」

(え?どういうこと??)

そんなことを考えていると、リンさんが話しかけてきた。

「ヨウイチ、私も、ガインさんも、A班メンバーもみんな言ってたよ!!」

(え?何が??)

「あのー・・・どういうことですか??」

リンさんは笑いながら答えた。

「だから、あなたは冒険者に向いてるってこと!!」

(え?まじか・・・冒険者に向いているって何がだろうなぁ・・・)

そんな話をしていると、宿に着いたので解散した。

(ふぅ・・・なんか疲れたな・・・俺のおかげとか、冒険者に向いているだとか、俺自身は何もしていないように思うんだけどな・・・)

悶々としながら夜を過ごすヨウイチであった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


翌日、いつも通りにギルドに行こうとしていたが、前に見知った相手がいた。

5人のクラスメイトの女子たちである。

(あ、やばい・・・)

クラスメイトの女子たちは俺に気づかずにギルドに入っていった。

(どうしようかな・・・とりあえず、ギルドには行くか・・・)

俺は少し時間をずらしてギルドに向かった。

ギルドに入ると、ガインさんが話しかけてきた。

「おう!ヨウイチ、おはよう!」

「あ、ガインさんおはようございます!」

「ん?ヨウイチ・・・?」

クラスメイトの女子たちが聞いていたのかこちらに振り向いた。

「あ・・・」

(やばい・・・)

クラスメイトの女子たちは、俺に近づいてくる。

「誰かと思ったら雑魚の佐藤くんじゃないですか!」

「ほんとだ!雑魚の佐藤くんだ!」

(え?なんで・・・)

クラスメイトの女子たちは、俺にどんどん近づいてくる。

「雑魚の佐藤くんはここで何をしているんですか?」

「もしかして、冒険者の真似事ですか?」

「雑魚の佐藤くんは、冒険者に向いてないですよ!!」

(え?なんで・・・)

クラスメイト達は笑いながら話を続けた。

「だって、雑魚の佐藤くんって、何もできないじゃないですか!」

俺は戸惑いながらも答えた。

「いや・・・そんなことはないと思うけど・・・」

すると、クラスメイトの女子たちは笑い始めた。

「ふっ!あははははは!!!」

「あはは!!」

(え?何これ??)

クラスメイトの女子たちは、笑いが止まらないようだ。

「雑魚の佐藤くんが何か言ってますよ!」

「ふっ!あはは!!」

すると、ガインさんが声をかけてきた。

「ヨウイチ、こいつらと何かあったのか?」

そんなやり取りをしていると、ギルドマスターがやってきた。

「お前ら!何をしてるんだ!!!」

俺は、ギルドマスターに事情を説明した。

「実は・・・」

「なるほどな・・・」

(いやいや・・・なんで納得してるの??)

すると、ガインさんが話を始めた。

「お前ら、ヨウイチはC級冒険者だぞ!」

(え?なんで言うの??)

クラスメイトの女子たちは驚いた表情だった。

「えー!!」

(いや・・・そんなに驚く??)

「だって、召喚されて一番ステータスが低くて、スキルも使えないから王城から追放された人ですよ?」

「そうですよ!そんな人がC級冒険者なわけないじゃないですか!」

「雑魚の佐藤くんは、冒険者に向いてないですよ!」

クラスメイトの女子たちは笑いながら話を続けた。

「だって、ステータスは低いしスキルも使えないんですよ!」

(いや・・・それはそうだけど・・・)

ギルドマスターが話しかけてきた。

「というか召喚だと?お前らは異世界人だとでもいうのか?」

「そうですけど?」

すると、クラスメイトの女子たちは笑い始めた。

「ふっ・・・あはは!!」

(いや、だからなんで笑うの??)

ギルドマスターは何やら考えているようだ。

「お前らっ!ちょっとこい!!」

そう言って、ギルドマスターはクラスメイトの女子たちを連れていった。

(え?なにこれ??)

そんなやり取りを見ていたリンさんが話しかけてきた。

「ヨウイチ、あなた、異世界人だったのね・・・」

「え?はい・・・ごめんなさい、なかなか言いにくくて・・・」

「別に謝ることじゃないわ!でも、それなら納得ね!」

「え?何がですか?」

すると、リンさんは笑いながら答えた。

「ふふっ。内緒!」

(いやいや・・・どういうこと??)

そんなやり取りをしていると、ギルドマスターが戻ってきたようだ。

「ヨウイチ!ちょっとこっち来いっ!!」

(え?)

俺はギルドマスターについていった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ギルドマスタールームに着くと、ギルドマスターは話しはじめた。

「お前ら、今後、異世界人だということは言わないほうがいい!」

「え?なんでですか?」

「異世界人だということがバレると、面倒なことになるからだ!」

クラスメイトの女子たちは納得していないようだ。

「召喚された者はステータスもそうだが、スキルも特別なものが多い!」

(え?そうなの??)

「異世界人は、スキルが強力なものが多いんだ!」

すると、クラスメイトの女子たちは笑いながら答えた。

「でも、雑魚の佐藤くんは何もないですよ!!」

(いや・・・スキルはあるにはあるのだが・・・)

「はぁ・・・お前らはバカなのか?ヨウイチは、ステータスが低いから何もできないと思っているのか?」

ギルドマスターは少し呆れながら話した。

「お前らはこんな話を知っているか?過去にも召喚された異世界人がいてな。」

(過去にも召喚された人がいたのか・・・)

「その異世界人は、ステータスが低くスキルも普通で無能扱いされていたんだ。」

(あ、俺と同じ境遇だな・・・)

「だが、努力して強くなり、最終的には魔王を倒したんだ!!」

クラスメイトの女子たちは興味津々で聞いている。

「その異世界人はスキルを応用し組み合わせることでスキルを昇華させた!新たなスキルを創造したんだ!」

(えぇぇぇ?創造したの??)

「異世界人というのは特別でな、異世界人だということがバレると、そのスキルを狙う輩が多く、狙われる可能性があるんだ。」

ギルドマスターはクラスメイトの女子たちを見渡し、

「だから、異世界人だということは黙っておけ!いいな!!」

クラスメイトの女子たちは納得したようだ。

「わかりました!」

「それと、ヨウイチは努力してC級になったんだ!ステータスが低いとか変なことで笑うな!」

「はい!!」

そんなやり取りをしていると、ギルドマスターが話しかけてきた。

「ヨウイチ、お前も何か隠しているだろう?非戦闘職があれだけ戦闘できることに不思議に思っていたんだ。」

「え?いや、それは・・・」

(やばい・・・バレてるかな?)

ギルドマスターは笑いながら答えた。

「はっはっは!別に言いたくないなら言わなくていいぞ!!」

(あれ?何も聞かれないの??)

すると、ギルドマスターが話しかけてきた。

「ヨウイチ!こいつらの面倒をみてやってくれないか?」

「え?俺がですか??」

(いやいや!!無理でしょ!!)

そんなことを考えていると、ギルドマスターは近づき小声で話を続けた。

「多分、こいつらも王城から追放されたメンバーだ。」

(え?そうなの??)

「だから、お前が面倒みてやってくれ。」

ギルドマスターは笑いながら話した。

「わかりました!でも、みんなと一緒に行動するのは、ちょっと・・・」

すると、クラスメイトの1人が話しかけてきた。

「佐藤くん!私たちと一緒に行動するの嫌なんですか?」

(いや・・・嫌というか・・・)

そんなやり取りをしていると、ギルドマスターが声をかけてきた。

「ヨウイチ!!こいつらのことは任せた!!はっはっは!」

こうしてギルドマスターとの話が終わり、部屋から出て行くことにした。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

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