第5話
Cランクの依頼を受注した俺は、森に向かって歩いていた。
(この森の奥にオークがいたのか・・・)
そんなことを考えていると、目の前にオークを発見したので、木の陰に隠れた。
(鑑定!)
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【名前】なし
【種族】オーク【年齢】3歳
【レベル】11/100
【職業】 なし
【状態】良好
身体能力
【HP】300/300
【MP】70/70
【攻撃】300+14
【防御】250
【魔攻】13
【魔防】25
【敏捷】70
スキル
【棒術】【怪力】【繁殖】
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(パワータイプか・・・でも、意外と弱いな・・・それにしてもこんな浅い所にオークがいるなんて・・・)
鑑定をしていると、オークが俺に気付いた。
(やべっ!気づかれた!隠れてたのに!)
すぐに短剣を構えて、戦闘態勢に入った。
すると、オークも棍棒を振り回しながら襲ってきた。
(よしっ!全体的なステータスは俺の方が上だ!!)
オークの攻撃を避けた後に、隙をついて斬りつけ、オークの右手を切り落とすことに成功した。
(やった!!あとはトドメを刺すだけだな・・・)
首元に向かって短剣を突き刺したが、肉が邪魔して倒しきれなかった。
(くっ!しぶとい!!)
オークが左腕で棍棒を振り上げた。
(まずいっ!!避けきれない・・・)
咄嗟に盾でガードしたが、吹っ飛ばされてしまった。
「ぐはっ!!」
(いってぇ・・・左腕が折れちまったな・・・)
オークが俺に向かって走ってきた。
(くそっ!やられてたまるか!!)
「おらぁ!!」
必死に立ち上がり、短剣でもう一度オークを斬りつけたが、致命傷にはならなかったようだ。
(くそっ!どうする?)
オークが棍棒を振り上げた。
(まずい!!)
そう思った瞬間、目の前からオークが消えた。
いや、正確には吹き飛ばされていた。
そして、俺の目の前には1人の女性が立っていた。
「大丈夫かしら?」
女性は優しい口調で話しかけてきた。
(誰だ?この人・・・)
困惑しながらも目の前の人のことを考えていると、女性がオークに向かっていった。
(速い!!)
その女性はあっという間にオークに近づき、棍棒を持っている左腕を斬り落とした。
そして、そのままの流れで首を刎ねた。
(すげぇ・・・強いな・・・)
その女性が近づいてきた。
「えっと、大丈夫かしら?」
俺は女性に見惚れてしまい、すぐに返事ができなかった。
「あ、はい!大丈夫です!!」
(やばい!返事が遅れてしまった・・・)
「そう、ならよかったわ。」
(あれ?意外と優しい人なのかな?)
「ところで、あなたはどうしてこんなところにいるのかしら?」
その女性の質問に素直に答えた。
「実はオークの調査でこの森に来たんですけど、こんな場所でオークと遭遇してしまって・・・」
「あら?あなた1人なの?」
「はい・・・そうですけど・・・」
(あれ?この人もソロなのかな?)
「ふふっ。私もよ!」
(え?あなたもソロなんですか??)
「あなた、名前はなんていうの?」
「あ、ヨウイチといいます!」
(そういえばまだ名乗ってなかったな・・・)
名乗ると、女性は笑顔で言った。
「ヨウイチね!私はリンっていうの!よろしくね!!」
(すごい美人だな・・・)
助けてくれた女性が綺麗すぎて見惚れていると、女性が話しかけてきた。
「ねぇ?怪我も酷いようだし、町まで送ろうか?」
(え?マジで??こんな強い人がいれば安心だけど・・・いいのかな?)
俺は遠慮したが、結局お願いすることにした。
「いいんですか?何か依頼中だったりしませんか?」
リンさんが笑顔で答えた。
「いいわよ!それに私もそろそろ町に戻ろうと思っていたから!」
「ありがとうございます!助かります!!」
(やった!これで町に帰れるぞ!!)
「ところで、ヨウイチは何故ソロなの?それとも町に仲間がいるのかしら?」
「いえ・・・1人です・・・」
(やばい・・・あまり言いたくないな・・・)
「ふふっ。もしかして知り合いがいなかったからソロになったのかしら?」
(うっ!!この人鋭いな・・・)
「はい・・・」
(なんかハズいな・・・)
「ヨウイチはなんで冒険者になったの?」
リンさんがそう聞いてきた。
(召喚された事は流石に言えないな…)
「実は俺、田舎から職を探すために町に来たんですけど、お金がなく冒険者になりました。」
(嘘は言っていないはず・・・)
リンさんは少し驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔に戻った。
「なるほどね!それで冒険者になったのね!」
(あれ?意外とあっさり納得してくれたな・・・)
「ところで、ヨウイチはなんの職業を持っているのかしら?」
「【鑑定士】です・・・」
(まぁ、召喚されたなんて思わないだろうし、大丈夫だろう・・・)
「【鑑定士】なの?すごいわね!!」
(え?なんで驚くんだ??)
「非戦闘職なのに、よくあそこまで戦えたわね!」
「あ、ありがとうございます。小さい頃に少しだけ戦い方を教えてもらいまして。」
(まぁ、確かにそうだよな・・・戦闘職以外は攻撃スキルとかないらしいし。)
リンさんが笑顔で言った。
「ふふっ。じゃあ町に戻りましょうか!」
俺たちは町に向かって歩き出した。
(なんか不思議な人だな・・・でも、悪い人ではなさそうだし、一緒に行っても大丈夫そうだな・・・)
そんなことを考えていると、リンさんが話しかけてきた。
「そういえば、ヨウイチはポーションは持っているのかしら?」
「持ってますよ!」
(やばい!リンさんに夢中で使うのを忘れてた!!)
慌ててポーションを出すと、リンさんが笑顔で言った。
「ふふっ。使わなくていいわ!町に着いたら教会に行きましょう!」
(え?なんで??)
不思議に思っていると、リンさんが説明してくれた。
「だって、骨折を治すにはそのポーションじゃ治せないでしょう?」
(確かに、この怪我じゃポーションじゃ治せないかもしれないな・・・)
「そう・・・ですね。じゃあ、お願いします!」
俺たちはそのまま町に向かって歩き続けた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
町に到着し、教会に着いた。
「じゃあ、中に入りましょう!」
リンさんがそう言って、教会の扉を開けた。
「え?勝手に入っていいのですか・・・?」
「大丈夫よ!ここは教会だから、お祈りや懺悔する人もいるし、怪我を治してもらう人もいるんだから!!」
そんなやり取りをしながら中に入ると、神父と思われる人がいた。
「おや?今日はどうされましたか?」
神父がそう聞くと、リンさんが答えた。
「この子の怪我を治してほしいんだけど・・・骨折しているのだけど、ポーションじゃ効かないから困ってるの。」
「わかりました。では、こちらに座ってください。」
俺たちは神父に言われた通りに椅子に座った。
「それでは、骨折を治しますね。」
(え?どうやって??)
神父が両手を俺の左腕に向けて何かを唱えた。
(ん?なんだ??)
すると、俺の左腕がほんのりと光り、腫れが引いていった。
(おぉ!すごい!!これが回復魔法か・・・)
「これで、骨折は治りましたよ。」
(え?もう??)
驚いていると、神父が言った。
「金貨1枚になります。」
(え?お金取るの?しかも金貨!?高いな!)
「じゃあ、これで!」
リンさんが金貨1枚を渡した。
(えぇ!?リンさん、そんなに持ってるんですか??)
「ありがとうございます。またのお越しをお待ちしております。神の加護があらんことを。」
(え?終わりなの??)
俺は困惑したままリンさんと教会を出た。
「次はギルドね。依頼の報告をしなきゃ!」
リンさんが笑顔で言った。
「はい!」
(なんか、不思議な人だけど、リンさんと一緒にいると楽しいな・・・)
そんなことを思いながら、ギルドに向かって歩いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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