(二)-22

「あの車のところのアパートが後輩の家なんだよ。思いっきり張られているじゃねえか」

 先輩は車を表の大通りに出して速度を上げた。

「お前、やってくれたな。組同士でナシはついてた。それなのにあんなことしやがって」

 運転しながら先輩が言った。

「あいつが向こうのヤツだって知らなかったんですよ」

「とにかく、お前はどこかに逃げろ。もうそれしかねえ」

「どこかってどこですか」

 福島先輩はしばらく黙り込んだまま車を走らせた。

 北郷はそれ以上何も言えずにいえずにいた。

 しばらくすると、「そうだ」と何かを思いだしたように呟いた。

「大隅さんのところに行こう」


(続く)

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