(二)-23

 そう言って先輩は携帯電話を取りだした。

「事情を話せばなんとかしてくれるはずだ」

 そういうと先輩は電話を駆けた。

 何回か応答した後、「わかりました」と言って先輩は電話を切った。そして唐突に「おい、電話、もっているか」と北郷に聞いてきた。

「いいえ。友人の家に置いてきてしまいました」

 福島先輩は「これをもっていけ」と携帯電話を北郷に渡してきた。

「あと、これ」

 さらに福島はズボンのポケットから二つに折りたたまれた札束を出し、北郷に渡してきた。

「この後、大隅さんから電話がくる。あとは指示に従え」

「ありがとうございます」

「礼なら大隅さんに言え」

 そういって先輩は車を夜の闇の中で走らせていった。


(続く)

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