(二)-21
今度は、さらに別の住宅街の中を車はゆっくり進んで行った。
「どこへ行く気なんですか」
北郷は車が進んでいく目的地に心当たりがなかった。全く知らない土地だった。仕事でも来たことがない場所だ。
「俺の後輩の家だ」
福島先輩はそう応えた。
先輩は後輩たちから頼られている。そのツテならいくらでもあるだろう。そういう意味でも頼りになる先輩だ。
先輩が車を停車させた。
「あそこなんだが……」
先輩が指をさした。その指の先には夜でよく見えないが、黒っぽい車が止まっていた。
(続く)
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