(二)-20

 先輩が運転する車は、別の街にある大通りの雑居ビルに近づいていた。

 その手前で、車を歩道側に寄せて一時停車した。

「どうしたんですか。事務所、目の前ですよ」

「見ろ、あの車」

 先輩が指さした先には一台の黒塗りの車が止まっていた。

「あれ、覆面だ」

「こんなところにも?!」

「まずいな。他の事務所も張られているだろう」

 福島先輩はそう言って車を発進させた。

 いずれにせよ事務所に身を隠すのはこれでダメになった。


(つづく)

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