第17話:フワフワでドキドキでアメイジング

 今、自分がどうしたいのか。

 大事なのは今なのだと、新しく友達?になった女の子に教わった。


 ならば、私こと夜凪やなぎ 真希まきが今どうしたいかなど分かりきっていて。

 それを行動に移すまで、そう時間はかからなかった。


 種目決めは結局時間が足りないと言うことで、一旦保留で各自がこの土日で考えて来て、来週の月曜日に再度決めるらしい。他の応援団とかもその時に決めるんだと。

 ただ、体育祭実行委員は決まった。私はあんまり話したことが無い、いつも前髪と大きなフレームの丸メガネで目元を隠した、こういったイベントには非協力的そうな見た目の女の子だった。意外すぎて、少し私も驚いた。ジャンケンで負けたとかじゃなくって、立候補したらしい。


 兎も角、ショートホームルームが終わると同時に私は席を立ち事前に帰り支度を済ませていたためクラスメイト達よりも一足先に教室を出た。


 向かう先は決まっている。

 菜乃葉の家だ。


 つい五分前くらいにメッセージ上でのやり取りで本人から了承を得ている。途中でコンビニに立ち寄り、飲む系のゼリーやスポーツドリンクなどを買って行く。


 菜乃葉の家の前に到着。


 インターホンを鳴らすと、すぐにパジャマ姿の菜乃葉がドアを開けてくれた。


 顔が赤く、マスク越しに「はぁ、はぁ、」と辛そうに吐息している菜乃葉。薄手のパジャマが汗ばんで、ハッキリ言うと、、、


 ちょっと、えっちぃ、感じがする。


 いや、辛そうにしてる菜乃葉には口が裂けてもこんなこと言えない訳だけど。

 と言うか、玄関まで歩かせてしまったことに罪悪感を感じる。


「菜乃葉、大丈夫――では無さそうだね。ほら、肩貸して?部屋まで行くよ」

「あ、でも、風邪が真希ちゃんに移っちゃうかも……」

「そんなこと気にしてる場合じゃないでしょ」


 菜乃葉の腕を私の首に回す。

 両親は不在のようだ。私たちは階段をのぼり、菜乃葉の部屋に入ると、私はベッドの上に菜乃葉を座らせた。


「すごい汗。菜乃葉、一回パジャマ脱ごっか。冷たいタオルで汗拭いてあげる」

「………んっ。ちょっと、脱がせて欲しい、かも」

「え?」

「ほ、ほら。もう、身体を動かすのも億劫で」

「………そ、そっか。わ、わかった///」

「……うん」


 私はコンビニで買ってきたものを丸テーブルに置くと、いそいそとベッドの上に座りぼーっとしてる菜乃葉の正面に立った。


 意味もなく腕捲りをする。


「じゃあ、脱がすよ?」

「………んっ」


 ドキドキしてる。胸が、すっごくドキドキしてる!!

 おかしい。さっきまで、あんなに退屈で退屈で。それで菜乃葉に言いたいことも沢山あったはずなのに。体育祭のこととか、色々と。


 でも、そんなことすぐに頭から抜け落ちちゃって。こんな状況に目の前が真っ白になりそう。


 パジャマのボタンを、上から一つずつ順々に開けていく。

 胸元まで完全に開けたところで、私は思わず息を呑んだ。


「な、菜乃葉!?パジャマの下、な、何も着てないの!??」

「んぅ〜〜〜、、、。だって、蒸れるもん」

「いや、確かにそうだろうけども///」


 顔を背けながら、更にボタンを下へ下へと開けていく。

 だけど視線は、どうしても菜乃葉のその成長した胸の谷間に行ってしまって。そこを伝う汗の雫が、どうも刺激的に私の目には写って。


 もう、クラクラだ。


 ドキドキが止まらない。どうしてだ。

 私にとって菜乃葉は親友――じゃなくて大切な人で。女の子同士――っていうのも言い訳には出来ないけれど、きっと私たちは当てはまらないと思うし。

 それなのにどうして。どうして、こんなにも私の顔は熱くなって、胸がドキドキと、菜乃葉の艶かしい姿に反応してしまうのだろう。


 ボタンを全て外し終える。


「ほ、ほら、菜乃葉バンザイして」

「……ん」


 素直に手を広げる菜乃葉は、子供っぽくて違うベクトルで可愛い。

 パジャマを脱がし終えると、何も考えて無かった。菜乃葉の上半身は裸になる訳で。


「っ――――/////な、菜乃葉、む、胸っ、隠して!!」


 私は顔をさっきまで菜乃葉が着ていた少し汗ばんだパジャマで隠す。あ、良い匂い。


「ん〜?別にいいよ」

「だ、ダメに決まってるでしょ!」

「真希ちゃんにだったら、どこ見られても良いもん。それに、お風呂も一緒に入ってるんだから今更でしょ」

「そ、そうだけど!!」


 なんだかなぁ。から、どうも私は菜乃葉の肌色に弱い気がする。

 もう一緒にお風呂とか考えられないかもしれない。


 そんなことを考えていると、、、


「うりゃ」

「むぐっ!??」


 突如、息が出来なくなる。

 顔全体に柔らかい感触が広がる。


 私は、菜乃葉に頭を抱きかかえられていた。


 なにこれなにこれなにこれなにこれ!???


 汗で湿ってるけど、なんか、なんか良い匂いするし!!や、柔らかいし!な、ナニコレ!!


「ずっと、こうしたかったんだよね」

「むぇ?」

「画面越しだから届かなかったけど。今はこうして触れられる。私は、ずっと真希ちゃんをこうして抱きしめたかったんだよ」


 なんのことを言ってるのか、私には分からない。分からないけど、とりあえず、私はしばらく今日菜乃葉に会って話そうとしてたこと全部、すっかり忘れて頭は真っ白になった。



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遅くなりましたが、レビューの返信です。



トリスバリーヌオ さん

素敵なレビューをありがとうございます!!

まず第一に面白い作品と思って頂けたこと、作者としては嬉しい限りです。本作品のこの先が気になる、はたまた楽しみと感じてくださっているようで。そういったコメントは作者として、執筆意欲がグングンと湧いてきます。

そして沢山の応援コメントも感謝です。

最後に、素敵なレビュー、本当にありがとうございました!!

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