第8話:わからせ、、、?
「あら?あなたたち、どうしたの??二人してリンゴみたいよ???」
お風呂から上がった私と菜乃葉を見て、お母さんは目を丸くして私たちの顔が真っ赤なことを指摘する。
うぅ〜。絶対に触れてくれるな、というオーラを全開に出していたのに。
さすがは私のお母さんである。
「………ちょっと、逆上せちゃっただけ」
「そ、そうです。少し、逆上せただけです」
「ふぅん?ま、何でもいいわ。オムライス出来たから、食べましょ」
テーブルの上には私の大好きなオムライスが三皿分、並べられていた。
「あれ?お父さんのぶんは?」
「あの人なら呑みに行ったわよ」
どこか不貞腐れたようにお母さんがぶつくさと答える。
あちゃー、夜は長い時間一緒にいたくて、わざわざ近くで働いているのに。お父さんの来月のお小遣いが幾らか気になるところだ。
「それじゃあ食べよ!菜乃葉」
「う、うん!」
お風呂で私の身体をチラチラと見て意識してる菜乃葉を目撃し、こっちまで恥ずかしくなり逆上せてしまったことは、このオムライスで全て胃に流そう。
ん〜〜っ!!!やっぱりオムライスめっちゃ美味しいっ!!!!!!
◇ ◇ ◇
晩御飯を食べて、その後は歯磨きをして、スキンケアを済ませて、あとはもう女子会だ。
二人だけだけど。女子会である。
泊まることの多い菜乃葉のためのパジャマが私の家には常備されていて、私のためのパジャマも菜乃葉の家には常備されている。
菜乃葉は淡い緑色のポップなカエルのキャラクターがところどころにデザインされたパジャマ。私はピンクのこれまたポップなウサギのキャラクターがところどころにデザインされたパジャマ。
5月上旬は、ここ数年の異常気象も関係しているのか、まだ夜は肌寒い。
私はパジャマの上から紫のモコモコなウサ耳フードのルームウェアを着て、菜乃葉は手にココアの入ったマグカップを持っている。
「さて。菜乃葉さんや」
「は、ん、な、なんでしょう。真希さんや」
「女子トークでもしましょーか」
「し、しましょーか?」
ココアに「ふーふー」してる菜乃葉に向き直り、正座をする私に合わせて菜乃葉もマグカップをテーブルに置いて正座する。
いや、二人とも具体的に言えば正座と見せかけた女の子座りなんだけど。
「好きな人できた?」
「…………えぇぇえええ!??」
夜の女子会。
いや、どうせ居ないの分かってるし。女子校だし。私たち。
逆になんでそんなに驚く???
「きゅ、急になに!??」
「え、いや、定番かなぁ、と思って」
「………ま、真希ちゃんは、いるの?」
「んーーー、私は――――」
そこでピカーンと私の頭に天啓が!!
「んふふ。いるよ?」
「え''っ」
「菜乃葉のことが好きだよーっ♪私たちはずっと親友だもんねっ!」
「…………」
「っ!?わ、わーわー!な、菜乃葉!?泣かないで!??」
反応の無いまま俯いた菜乃葉が気になって顔を覗き込むと、菜乃葉は大粒の涙を溜めていた。
「真希ちゃんの、、ばか」
「ごめんごめん!そんなに私から好きって言われるの嫌だったの!??今までこんなの普通に言ってたから、今回も同じだとばかりに………」
「〜〜〜〜〜っ!!もう決めたっ!」
顔を真っ赤にした菜乃葉はそう言うと勢いよく立ち上がる。
「へ?な、菜乃葉??」
菜乃葉がその可愛い顔を精一杯に怒ったような表情にして、私を睨む。
いつもいつも思ってたけど、正直に言うと菜乃葉は顔も性格も可愛いから、怒ってても可愛さが勝つ。だから、全然怖くない。だけど、それを菜乃葉には言わないでおく。
いつも私が怖がって反省する素振りを見せれば、いつまでも私は菜乃葉のこういう可愛さも見ることが出来るから。
ふふん。私の親友は最強×可愛いのだ。
「わ、私だけっ、こんなに揺さぶられるのはいくら最推しと言えども違うとも思う!!」
「ん?」
さ、最推し?
「フェアじゃない!今日はもう、何がなんでも真希ちゃんに天野 菜乃葉を意識してもらうもん!!」
そして、まずは手始めとばかりに私は菜乃葉に腕を捕まれ、そして勢いのままに私のベッドへと押し倒される。
仰向けに倒された私の上を覆い被さるように、菜乃葉が乗っかってくる。重さは感じない。
否が応でも見える菜乃葉の顔は、今日一番の赤味を帯びていて、目もうるうるだ。
「真希ちゃんは、菜乃葉ちゃんを親友としか思っていないのっ!???」
初めて聞く、菜乃葉のここまで大きな声に。私の抵抗する力が急激に弱まる。
何を言ってるの??
「え、そりゃ、当たり前だよ。私たち、ずっと仲良く二人でやってきたじゃん。親友と思ってたのは、私だけだったの??」
「そういうことじゃないっ!!!」
「っ!!」
こんなヒステリックな菜乃葉は初めてだ。
しかし、怒ってるようには感じられない。と言うよりは、どこか自分を押さえ込んで、心の中で葛藤しているようにも見える。
「い、一旦落ち着いて?菜乃葉。深呼吸して。ごめんね?私が原因で苦しんでるのは分かったんだけど。理由がさっぱりなんだ。……落ち着いたらで良いから。教えてくれないかな?私は―――」
―――私はまだ、菜乃葉とこれからもずっと親友でいたいから
その言葉は飲み込んだ。
今の菜乃葉には、なんだかその言葉に地雷があると思ったから。
「………そうだね。すぅーー、はぁーー」
「落ち着いた?」
「……うん。ごめんね。すぐにどく」
菜乃葉は私の上からいなくなり、私が上体を起こすと菜乃葉は先程の私と同様に正座モドキをしていた。
私も何だか雰囲気的に、ベッドから再び下りて菜乃葉と向き合い、正座モドキをする。
「ねぇ、真希さんや」
「な、なにかな菜乃葉さんや」
菜乃葉はそっと私の右手をとった。
「私の
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ここからは他の作者さまに習って、レビューの返信になります。
@MITSUKI12345 さん
貴重なご意見をありがとうございます。
一応、その部分に関しても考えてはいるのですが、もしかしたら納得のいくような結果にはならないかもしれません。
主人公のことを可哀想と思ってくださり、そこまで登場人物のことを考えながらしっかりと読んでくださったこと、ものすっごく嬉しいです。そのうえで、もしかしたら私の考えているこの先のストーリーが読者様に合わない可能性もありますが、どうかその時はまた、コメントでもなんでも、感想をくださると嬉しいです。
最後に、もう一度言いますが貴重なご意見をどうもありがとうございました!!
京野 薫 さん
素敵なレビューをありがとうございます。
幸せな気持ちになれたというお言葉、とても嬉しいです。作者冥利につきます。
文章が良いと初めて褒められたので、舞い上がるような思いです。
こんな作品を読みたかった、そう言ってもらえたことで、私はこれからも頑張れます。
最後に、本当に素敵なレビューをどうもありがとうございました!!
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