第3話 時の橋
「おい、大丈夫か?」
「……ん、んあぁ」
目を開けると目の前にはびしょ濡れの修。
意識がもうろうとする中で、アストラルは答える。
川に突き飛ばされたところまでは、記憶として残っている。
でも、それ以降の記憶はない。
なぜ、彼がいるのか。
陽炎の中から二人を見守る仮面の男。
彼がいなければ、修はアストラルを見つけることすら、不可能だっただろう。
「どうやって、私を……助けたの?」
修は男のほうを振り向き、紹介しようとするが。
「あ?」
居なかった。
アストラルの不思議そうな顔に、修は何も答えることが、できなかった。
「すまないな。人間に我らを助けてもらうとは。感謝しよう」
どこかから聞こえてくるエディアの声。
暗い夜を、二人?は歩く。
いまだ、彼女の制服は乾いていない。
ビリビリに破れていた部分はとっくの昔に修復されていた。
「その傷、大丈夫なのか?」
「うん。もう、完治した」
──探さなければ。
町全体の命の流れを読み取る。
──この町に、いるはずだ。
橋に迫る流れの中に、陽炎のような灯火が一つ。
──これが、王!
「ようやく、ようやくだ!この時を数千年待った!殺してやる!殺してやるぞ王!」
挑発のように、命の流れを爆発させる。
陽炎の近くに強大な命が二つ。
一つはアストラルだろう。
だが、もう一つはなんだ?
考えるだけ無駄だと判断し、敵が来る時を待つ。
『!』
巨大な命の流れが一点に集中する。
「早く、行かないと」
それだけ言って、アストラルは走り出した。
音を超えた速度で橋の方向へと走り出す。
風圧で、木々が倒れる。
「はっや……」
置いてけぼりにされた修に影から仮面な男が現れた。マントが靡いていた。
三日月に照らされて、男は口を開く。
「行くのか?」
「うん」
男は修をおんぶのように抱え、低空飛行を始めた。
風がなびいて、時間が過ぎ去る。
向かうは橋。
「!」
夜明けの前で二人は橋の上に立つ。
風が二人を襲う。
「……」
「ははははは!!良いね!
そうだ!■■■■■の娘!そうでなくては!」
豪快に笑って、彼女は槍を振るう。
ハルバードを持って、敵を見る。
「さあ、第二ラウンドと行こうか!!」
鋼鉄の刃がぶつかり合う。
斬撃が、橋の柱を切り落とす。
アストラルが、飛んできた瓦礫を蹴り飛ばす。
顔色一つ変えずに、ドーラは槍で瓦礫を弾き飛ばした。
「!」
数発、修の元へと飛んでくる。
無言で、男は弾丸とかした瓦礫を消し飛ばした。
マントがなびき、戦いを見る。
「はあ!」
「……ッ!」
アストラルは殺意を込めて、
ドーラはただ笑って。
何度も武器を叩きつける。
足で、敵の胸を蹴り上げる。
躱して、何度もカウンターを。
「これが、戦い」
修は、男に降ろされた橋の上で、二人の戦いを見守る。
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