幕編 

王よ。俺は数千年、目覚めることはないだろう。だからな、頼みたいことがある。我が兄■■■■■■をどうか守ってはくれぬか。我らが望みを叶える為に。


それは、誰が言ったのか、王にしかわからない。誰にも理解することができない。



いや、堅苦しいのはやめよう。どうせ俺は深淵から戻ることができないしな。それこそ、何かイレギュラーでも起きない限りはな。

あの戦いで、俺たちは神に敗れた。

あと一歩だったんだけどな。


「ふーん、でもなんで王は協力してくれたんだ?」


さあ?俺は王じゃないからよく知らん。

つか、"神"単体だったら俺たち勝利していたからな。


「じゃあ、余計なんで負けたんだよ」


神はな、自分の敗北を察した瞬間に、自身の分身みたいなものを生み出したんだ。

名を『守護者ピルグリム』。たった3体の飢餓に俺たちは蹂躙された。最早、あれを戦いと呼んでいいのか微妙なところだ。


「何故お前は、俺に語りかけてくるんだ?仮に依代が欲しいとかなら他にもっといい奴がいると思うが」


俺は別に依代が欲しいわけじゃない。

"今"復活したところで守護者に殺される未来が見える。無駄なことはせんよ。

正直なところ、話す奴なんて誰でも良かったんだよ。バッタだろうが、ウマだろうが。


「あっそう。なら最後に、双子の飢餓と言っていたが、もう1人は?」


さあな?物事には語るべき時がある。まだその時じゃない。

俺たち兄弟は二人で一つだ。どっちかだけが復活しようが意味が無い。

さて、そろそろ目を覚ますがいい。日が昇り始めるぞ。


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