第5話 覚醒

「ゔ」


「ゔぁぁぁぁぁあぁぁあ」


逃げたい。逃げ出したい。逃げなければ。今すぐに。



───動けない。



殺される。嫌だ、嫌だ、嫌だ、



ふざけるな。




ニケが、エドが、なんで。


ニケ、ニケニケニケ。俺の……、たいせつ、な。



どうしてこうなった。俺が無力だから。そうなのか?






なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで。








「ネェェ、カァサン」

「ネェェ、ミスタァ」


「ワタシ、ニケ、ダヨォ、──────……アイシテェ……………………」

「……ネェェ、ニケ、ケェキ、タベタイナァ」


「タベタイナァァアァアアア!!!!!」



何かが、ぷつんと切れる音が、した。

自分の何かが、動く音。




───え、なんだコイツ。

……可愛くないじゃん。ニケじゃない。

こんなのは、ニケじゃない。




俺の体、燃えてる。俺、たぶん強いな。


───なんだ、皆終わらせられるじゃん。

そしたら、きっとニケも正気に……





「……………………燃やそう。」








~大戦を経て魔力形成後20××年、都市部から遠く離れた農村が突如炎によって崩壊。原因は不明。住人は1人を除き全員死亡。以前から都市に非協力的だった為、情報が著しく欠如している。……この1件により、我が都市部の『兵器』も破壊。~



……なお、ミスタ・ハルトの行方及び詳しい個人情報は現在調査中~

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る