第2話<25.0% メイドカフェ>
コーヒーを飲んでいた。
昨日、目に前にあるベッドにはユウナさんがいたのがまだ目に焼き付いてる。
なんでここまで彼女の事を気にしているのか自分でもわからないくらいだった。
彼氏もいるし、もう関わらな...いや、彼女はまたいつかここに来るのだった。
でもなぜだろう。
彼女は彼氏がいるというのに、僕のアパートに来ようとする。
逆に僕は自分が浮気相手だと思うと、ものすごく罪悪感が湧き出てきた。
「俺は何をしてるんだ」「彼氏に文句言われないかな...
自分が今どんな立場に立っているのかを、目をつぶり、水が顔面に飛びこんみ、
今度は頭に水が降ってきた。
顔を洗い終わり、ついでに頭も冷やしてきた。
そして決意した。
やっぱりこんな関係は辞めようと。
次、ユウナさんが家に来た時に言ってあげようと、頭のメモリーナンバー1に保存しておき、いつでも口に出せるように設定しておいた。
今日は朝ご飯を作る気分じゃなく、カップラーメンを作ることにした。
給水ポットに溜めておいたお湯を入れ、小さいボールを蓋の上にのせた。
待っている間にニュースを見た。
ついでにニュースの上端に表示されている時間を確認し、計り始めといた。
そういえば、コーヒがまだ残っていたので全部飲み切った。
ニュースの情報を流すアナウンサーの音声が、無音の室内をゆるくさせ、早朝の日だけで照らしていた部屋を、一部分明るくさせた。
三分が経った。
ボールをどかし、箸とカップラーメンの容器を持って座卓のちゃぶ台に持って行った。
テレビの画面が見える場所に座り、手を合わせて食べ物に挨拶をして蓋を開けた。
箸で麺を持ち口に頬張ってすすった。
一旦ニュースの画面を見ていると何か音がした。
ブーー...ブー...ブー...ブーー...
携帯が鳴っていることに気が付き、ベットに置いてあったスマホを探した。
枕元にあった携帯を取り、電話をかけてきた相手を確認した。
<ハラコウ>と書いてあった。
朝早くから高校の時の友達から電話がきて戸惑った。
でも、電話の着信音が長く鳴り響いてるから、友達に迷惑がかかりそうと思い、一応出た。
「どうした?」
「あ、ミヤユウ!久しぶり」
「おはようもなしかよ、おい(笑)。で、どうしたの?こんなに早く電話してきて」
「ん?あー、今ね東京に来てるんだけどさ何もわかんなくてさ、だから道案内してくれないかな~って(笑)」
「はぁ~なんで。っていうかお前...あーそっか埼玉だからすぐ帰れるか」
「ん?」
「なんでもねぇよ。それより何でこんなに早く来るんだよ。別に埼玉なんだから近いんだし、こんなに早く来なくてもいいじゃん。それに!早朝から電話するなよ」
「別にミヤユウいつも早起きしてたから、なんとなく(笑)」
「ったくよぉ......じゃあどこ行けばいい?」
自分の善意で彼のお供をすることになった。
「え?来てくれるの?ありがとぉぉ!」
「わかったわかったから。どこ行けばいいの?」
「ああ、じゃあ東京駅に来てほしいんだけどいい?」
「えー東京駅...じゃあ改札口らへんで待っといて」
「んじゃあ待ってまーす」
ツーツーと通信が切れた音で電話でのやりとりが終わった。
今は6時半。
今行ったところで何も店はやっていない。
めんどくさい一方で、久しぶりに友達と遊ぶ事が楽しみだった。
でも、流石に時間くらい考えて欲しかった。
テレビの電源を消して、外に出る支度を始めた。
パジャマから大学に行く時の軽い洒落た感じな服装に着替え、小さめなスクエアバックに財布・モバイルバッテリー・スマホなどを入れて部屋から出た。
鍵を閉め、近くの駅に向かった。
なんやかんやあって電車に乗り東京駅まで着いた。
東京駅の改札ホームまで来たが俺の友達はそこにはいなかった。
だから、駅の中を探し回ったがいなかった。
流石に電話しようと丸の内側の中央口に出た。
そうしたら中央口の外で皇居側に向いて立っている人を見かけた。
着てる服がやけに柄が目立つ、民族衣装っぽいチャラい格好だった。
でも、確信はした。
こいつが友達だと。
近寄った。
その友達の隣に近寄った。
隣に立っても友達はずっと真っ直ぐに向いていた。
そして口が開けっ放しのままから喋り出した。
「東京って綺麗だな」
その言葉を聞き、僕も真っ直ぐ向いて答えた。
「...いや、真っ黒だよ。うん」
「へっ」
ハラコウは苦笑いした。
そんな話は一瞬で終わり、本題に移った。
「そういえば!こんな時間で東京駅で何したいんだよ」
「あー...まず、メシ食いてぇな(笑)」
「それならあそこの喫茶でも行く?」
というわけで、そこらへんの喫茶でフレンチとホットなコーヒーを頼んでぐったりしていた。
「いやーいいもんだね」
「で、どうするの。どっか行くの」
「えーと、じゃあアキバとか久しぶりに行ってみたいな!」
そこで思い出した。
こいつはチャラい格好しているわりには、バリバリオタだった。
「あ、そうだ。そういえばさ、アキバのメイドカフェ行ってみてぇ!」
「アキバのメイドカフェ!?」
僕は少々混乱した。
そりゃあ自分の身の回りの世界では、そんな領域にいないから、その領域に踏み入れるだけでも拒絶反応が出てきそうだ。
「メ、メイドカフェ行きたいのか?」
「まあ、『どっか行ってみてぇ?』と言われてみれば行ってみてぇよなぁー」
「そ、そうなんだ(苦笑)」
ヤバい。
このままだと俺は自分の何かが失ってしまう。
「ほ、ほかに...行きたい場所とか...」
「ナイ!」
終わった。
もう人生の詰みだ。
死にてぇ。
もう断れない。
だってこいつ、満面の笑みで僕の顔面にメンタルを堂々とデットボールしてくんだもん。
おわたー...
「んじゃあ行こうぜ!」
断れるはずもなく、行くことになった。
もう一度東京駅に行き、電車に乗った。
何分か経って秋葉原に着いた。
歩きながら話し合った。
「いやーやっぱ大変なんだな東京の電車って。お前ってあんなツナ缶みたいな状態で大学行ってるのか?」
「そうだよ。でも、何日か経てばなれたもんよ」
「あんな状態だったら痴漢とか出来そうや」
「おまえこの年になってその冗談はえぐいわ」
「すんまへん」
なんとなくこいつがメイドカフェという単語を軽々と出せた理由が分かった。
とか話していたら、メイドカフェの看板が見えた...いや、見えてしまった。
秋葉原だから、前を向くだけで目に映ってしまう。
「お、なんかあるやん。行こうぜミヤユウ!」
そして、メイドカフェがあるビルに入った。
エレベーターのボタンを押してエレベータが来るのを待っていた。
待っていると後ろから人が来た。
そこで丁度エレベーターが降りてきた。
僕とハラコウと他人が乗り込み、エレベーターのドアが閉まった。
ここのビルはメイドカフェやアニメなどの関連専門店などの施設が色々ある所らしい。
エレベーターの扉が開いた。
僕たちが降りた瞬間「おかえりなさいませご主人様!」と剛速球で重い言葉をぶつけてきた。
「ただいま...」
苦笑いしながら咄嗟に変な言葉を返した。
そして、ハラコウの方を見た。
だがあいつは俺とは違った。
「ただいまー!メイドさーん!」
あー...ダメだメンタルがもたねぇ。
でもこの反応は俺だけじゃない。
メイドさんもそうだった。
顔には出していなかったが、体が少々ビクついていた。
「ではご主人様のお戻りを記念し、お祝いの準備をいたしまーす!」
「はーい!」
だからお前は一々変な一言を出すな。
自分のHPは100から60に減った。
メイドさんに付いて行くと、5人くらいのメイドさんから「いらっしゃいませご主人様」をもらい、テーブルに案内された。
店内はなんというか、ピンクと紫の間のような色っぽい色をした壁に包まれ、それにメルヘンチックのような内装だった。
メニューを開いた。
「今日はどんなランチにしますかご主人様?」
メニューをじっくり見ていたが、ハラコウは即答した。
「じゃあ『メイドの愛情たっぷり王様気分セット』のオムライスと『ご主人様だいしゅき欲張りパフェ』を頼みまーす!」
「はーい!そちらのご主人様はどうします?」
「あ、えっと...同じので...」
「はーい!『メイド愛情たっぷり王様気分セット』のオムライスと『ご主人様だいしゅき欲張りパフェ』をご主人様二人分をお願いしまーす!!」
メイドさんは大衆がいる中で大声で叫んだ。
俺の体力は20まで減った。
一旦メイドさんがいなくなった後にハラコウに話しかけた。
「おまえって凄いな。色んな意味で」
「それはどうも。へへへ...」
「いや褒めてるわけじゃない」
「いやー...でも、ここって面白いね。こんなお店初めてだよ」
こんなお店が通常店だったらたまったもんじゃない。
「ねえミヤユウ。メイドカフェが終わったらアニメのグッズでも見に行こうぜ」
「うん...いいよ」
なんかもう、感情がぐちゃぐちゃしている。
「おまたしました!」
ハラコウと目を合わせながら話していると二人のメイドさんの声が聞こえた。
「ご主人...あれ、王子様?」
「...え!?」
どっかで聞いたことがある声が聞こえた。
丁度横にいるメイドさんの方に顔を向けた。
上の方を向いて顔を見ようとしたら、顎をテーブルまで近づけてこちらを見つめていた。
「やっぱり王子様だ!」
「なんで、ここに」
「...バイトだよ」
口を耳に近づけこっそり言った。
「あ~...」
「それじゃあー今から主人様に愛情をたっぷりささげますぅ!では『ラブラブ!今日も愛情たっぷりご奉仕をしますね』と言うので『萌えラブ萌えラブキュン』と言ってくださいね♡」
「ではいきますよ!
“ラブラブ!今日も愛情たぷっりご奉仕しますね♡”」
「“萌えラブ萌えラブキュン♡”」
「“もえらぶ...もえらぶ...きゅん”」
唐突に始まったケチャップの儀式とコール。
元気よくコールしているやつに比べて、自分はテンションが凄く低い感じの逆にヤバいやつになっていた。
「では王子...ご主人様!お召し上がれ♡」
メイドさんは一旦この場からいなくなった。
「じゃあ食おうぜ」
ハラコウはスプーンを取り、黄色い蓋を破りご飯とともに掬い上げた。
「ん〜美味い!」
バクバクとハラコウは食べている。
「お前も食いなよ、愛情こもってるぜ(笑)」
友達の勧めを受け、早速食ってみる事にした。
軽々と掬って一口。
ちゃんと噛みお腹に入れた。
二口、三口、四口...
真顔になりながらハラコウの方を向いて食べていた。
別にご飯は美味しいよ。
でもハラコウのように儀式痕を残して食べるのではなく、ストレートに愛情をぶった斬って食べていた。
でも、なんか違和感があった。
ご飯とかではないが、ユウナさんのなんかに引っかかっていた。
前に会った時とはちょっと違う感じな様子だった。
気づいたらペロリとオムライスを食べ終わっていた。
ハラコウは食べる事を楽しんでおり、まだ半分しか食べ終わっていなかった。
僕は周りに残っているおかずのフライドポテトとポテトサラダを食べはじめた。
「なあハラコウ。お前もそろそろ食べおわんないとデザート来るぞ」
「あっそうやん」
僕達はデザートの存在をすっかり忘れていた。
そしてハラコウはまた奇行に走り出した。
今まで丁寧に愛情を受け取りながら食っていたオムライスを高速で釘を刺して食い終わった。
やっぱやべぇ奴だ、こいつ。
おかずも食べ終わったところで、先程のメイドさん二人がやってきた。
ハラコウは残っていたおかずをペロッと口に隠した。
ツッコミたい所だが場をわきまえた。
「お待たせしましたご王子様!『ご主人様だいしゅき欲張りパフェ』です!最後までごゆっくり休んでくださいね♪」
ユウナさんは他のメイドと違って「ご主人様」ではなく「王子様」と堂々と言った。
そんな事よりパフェを見ると一言言いたくなった。
グッロ...(良い意味で)
まず細長いカップがドンッ
アイスアイスアイスコンフレ
アイスアイスプリンフルーツ
+ 洋菓子で釘打ちマーキング
もはや美味しそうという言葉を通り抜けていた。
しかもこれが自分と友達の分があると考えるとなぜか食欲が失せた。
ユウナがパフェを机に置いた途端、僕の方に顔を近づけて来た。
「ねえ王子様。コレ、持ってて。じゃあね王子様」
小さい声で喋り、業務連絡の様な口調ではない個人用の連絡をしてきた。
そして、ユウナから名刺が手渡されていた。
でもやっぱり名刺にある顔はあの素顔ではなく化粧顔だった。
そこであの違和感に気が付いた。
ユウナの顔が一部分青くなっていた。
多分けがしているのだと思う。
一応聞こうと思ったが、もうこの場にはメイドさんたちもいなくなっていた。
名刺をポケットに入れようとしたら、裏面になにか書いてあるのに気が付いた。
『夜の7時に王子様の家に行きます!』
文字を見た瞬間に「え...」と心の中で溜息を吐いた。
そんなことを思っていたらハラコウからしゃべりかけられた。
「...ミヤユウさ、あのメイドさんと知り合い?」
「あ...まあ...知り合いっちゃ知り合い」
「あのメイドさん可愛くなかった?」
「いやもっと可愛いよ」
「!?お前、あのメイドさんのどこまで知ってるんだ?」
おもわず口にしてしまった。
僕らはパフェを食べていると、ハラコウが言葉の圧で僕を崖の隅まで詰めようとしてきた。
僕はその話から一旦逃げるために、ハラコウの分までのお金を出してまで、メイドカフェを出て逃げた。
これからの時間が長く感じそうだ。
次回<50.0% 不思議な気持ち>
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます