第8話 先輩の知恵
――
璃穏とよく話す人たちは意外にも多様だった。彼女の絵に惹かれて話しかけるカースト中位の男子女子。そして最も意外だったのが、カースト上位に位置する女子グループたちが、彼女に話しかけることだった。遠目で見ているために何を話していたのかは分からない。少なくとも嫌なことを言われているような反応は、彼女の反応からは見えなかった。
私は純粋に、仲の良い人が増えて良かったと、思ってしまっていた。
――
「本当に?」
「本当だよ。伊達に長くこの世界に来てないよ。あのね、闇属性の魔法の中に、魔物を引き寄せるような魔法があるんだよ。それは闇属性の球体の見た目をしてて、術者が解除するか強い魔法で破壊されるまで存在し続ける。もしかしたらこの村の近くにそれが存在していて、魔物を呼び寄せてるんじゃないかな」
「なるほど、それは確かにあり得るのかも。魔物の襲撃も、村の人たちからしたら今までにないレベルだったって言ってたし、可能性だけで言えばあり得るのかも。でも、本当にこの村の近くに存在するのかな」
「存在するよ。感じない? 私は感じてるよ。闇属性魔法が今も発動を続けてるって、肌で感じ取ってる。美火にも感じ取れるはずだよ」
「むむ、そっか、頑張ってみる」
私は目を閉じ、魔法の流れを感じ取ろうと意識する。すると、確かにこの村から遠くない下方から、黒いもやもやしたものを微かに感じ取れた。
「あ、なんか感じたかも」
「流石だね、美火。場所まで分かった?」
「えっと、多分あの辺」
私は感じ取れた方向へと指を指す。
「方向はあの辺で、多分地下洞窟なのか少し下の方だったよ」
「うん、私もほぼ同じ方向で感じ取ったよ。それじゃあ、美火。この村を根本から救う方法はもう一つしかないね」
「うん、その闇魔法を破壊しに行こう!」
私と璃穏はお互い顔を見て頷く。そして私は友馬達3人を呼び出すために、屋根から飛び降りた。一瞬見えた、微かに笑みを浮かべる璃穏を横目に見ながら。
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