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第6話 原因究明

――

 私はいつものように目が覚め、愛しい布団からいやいや出る。窓を開けてのびのびと日を浴びながら、朝の準備をのそのそと始めた。母さんが用意してくれた朝ご飯を食べ、いつもの時間に家を出る。

 今日は快晴。そろそろ春も終わりを迎え、梅雨を越えたら青い夏が始まる時期になっていた。まだ見ぬ夏の影を空に見ていると、ふと前の方に幼稚園から見ている面影が見えた。私は彼女の名前を呼びながら、彼女の方へ駆け出した。


璃穏りお!」


 趣味のイラストを夜中までまたやっていたのか、璃穏の目は眠そうに伏せていた。


――


 私は今、ゆっくりした時間を過ごしている。いくら力を持っていても体力は自前であるのなら、活動時間はおのずと限られてくる。疲労で頭が働かない朝の時間、この村のバルに入り、温かいスープを飲みながら、窓から流れる風を感じ束の間の平和を享受する。


「いやあ、やっぱりあんたらはこの村の救世主だぜ」


 バルの店主がそう言いながら、隣に座る。あのゴーレムが率いていた魔物の群れを殲滅して数日。波が終わったのか、静かな平和が当たり前のように迎えた。友馬たちは再び外回りをして警戒を始めたが、私はその戦闘で疲労が溜まったのか、息切れのない倦怠感が体を襲っていたので、いつものように村の中で待機することにしたのだ。


「このくらいはやらないと、恩返しにならないと思ってね! でも、ここの所かなり魔物の群れの襲撃が多くなってると思うんだけど、実際はどうなの?」

「ああ、かなり増えたな。1か月以上も前だな。あんたらが来る前には増えているなと感じてたぜ。原因が全く分かんなかったな。そもそも過去にこういう出来事はなかったし」 


 今から1か月前。私たちがこの世界に来た日よりも前には、魔物の群れがこの村の脅威となっている。この話は今まで何回か村人たちから聞いていたことだ。根本的な解決をしない限り、この村は魔物の群れの襲撃に夜も眠れない日々を過ごすことになる。私としては、早くその原因を解決してあげたいと、毎日のように思いふける。その時、外から私を呼ぶ声が聞こえた。


「おーい、美火ー」

 

 杏夏の声に釣られ、私は外に出た。すると、彼女の傍に、幼稚園からずっと見て来た顔が、久しぶりに見えた。私は笑みを零して、彼女に駆け寄った。


「久しぶり、璃穏!」


 璃穏は控えめに私に向けて手を振った。

 

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