　優月君と関わるようになって、私の気持ちは少し楽になっていたように思う。

　彼が面白いのももちろんあるけれど、彼が働きかけたのか私の周りに人が少し増えたのだ。

　学級委員の滝川天寧くんと、元々私と仲が良かった望月春奈ちゃんである。

　滝川くんは優月くんと仲が良くて気が利く人で、一応私に対してのいじめは把握してはいたけれど中々関わる勇気が出なかったようだった。

　春奈ちゃんも優しい子で、同じく標的にされるのが怖くて自己防衛で疎遠になってしまっていたらしかった。

　まあ、私も逆の立場だったらそうすると思うし、突き放すような真似はしない。

　というか、そんな二人を動かした優月君もすごい。

　あとから聞いた話だと、滝川くんはたまたま屋上で私を見かけていて、立ち回りを悩んでいたところ丁度優月君に話を振られたそうだった。

　春奈ちゃんは優月くんの幼馴染らしく、そこつながりで加わったらしい。

　そんな訳で、私は優月君たちとよく話すようになった。

　【いじめっ子】が近づく隙を与えないためという打算的な目的もあったようだけど、それでも話し相手がいるのはうれしかった。

　しかし、そんなにうまくいくわけもなく……。

　私は見事に帰り道を突かれた。

　滝川くんは別方向、春奈ちゃんは部活だった。

　優月君は学校に来ていなかった。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい