誰もいない教室で

 スタートとしては、あまり良くない出会いだったなと思う。


 後に彼は言ったのだが、正直声をかけるか迷ったらしい。

 まあ、見るからにいじめなのでそうなってもおかしくないし普通だと私は思う。


 その時、私はクラスメイトの女子から嫉妬されていじめを受けていた。

 ものすごくくだらない。


 私はとある男子生徒から告白をされ、全然関りがなかったことを理由に断ったのだが、それが気に食わなかったらしかった。

 どうやらその男子生徒は女子に人気だったらしい。


 私が恋愛をする気がなかったせいで全く知らなかったのだけれど。



「つっ……付き合ってくださいっ……!」


 私はその男子に、誰もいない教室で告白された。


 正直驚いたし恥ずかしかったけれど、中学でそんなイベントが来るんだなとどうでもいいことを考えている自分もいた。


「やっ……えっと、ごめんなさい。私たち全然関わったこと無いですし、彼氏とか全く考えてないから……」


 一切飾らないシンプルな告白には好感が持てるし、かっこいい顔してるなとは思ったけれど、個人的なポリシーとして内面を知ってから付き合いたいというものがあるので断った。


 どちらかといえば陰キャな私はめちゃくちゃ焦っていて、もう少し丁寧な断り方もできたろうにと、思い出すだけでも恥ずかしいし申し訳なさを感じる。

 【イケメンくん】も「俺もはやまった、ごめん」と謝ってくるしで、尚更罪悪感が沸いてくる。


 【イケメンくん】が去ってから、私は小さくため息をついた。

 

「帰ろ……」


 私は一人そう呟き、教室を出た。

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