第29話
桜の花が咲き、そして、葉桜になるころ、青テントの屋根の上には重し代わりの七輪に雀が巣をつくった。ちいさな命の営みに寄り添えることは喜びである。卵からヒナになり、
はかなくも
動物の世界も、人間の世界のように子供が落命する不運はついてまわる。折角、親が丹精しても実らないことはある。また子供第一の生活にしないと、子供はまっすぐに育たない。親ばかり楽しんでいると子供の心は離れてゆく。
内臓まで克明に観察できる白魚のように、私も路上生活をとおして心の弱さを晒している。白魚は弱くない。私は弱い。そして、私は、きっと美しくないだろう。すがた形だけでなく、心も美しくない。白魚の晒しは美しい。恥じるところがない。
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