第17話
何もしたくない春の日は、時間の経過が遅い。何もすることがなく、しないといけないこともない。
テント
随分長く生きていると、爪にも皺が寄る。皺は顔だけではない。爪にも皺はでき、年輪を刻んでいるようだ。爪の皺を、じっと見て、そして、思うことはない。ただ、無為の時間の長かったことを、茫漠と感じるばかりである。
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