第13話

 あおテント くすりにもなる 福寿草ふくじゅそう


 公園のなかには、いろいろな野草がはえている。なかでも福寿草は危険な野草である。薬にもなるが、毒にもなり、扱いをまちがうと死に至る。死ぬ機会はいたるところに転がっているが、テントの横に咲いているのは気持ちが悪い。



 福寿草ふくじゅそう ながめていても はら


 黄色の可憐な花を咲かせる福寿草だが、見ていても空腹のたしにはならない。だらしなく炊き出しを待つだけのていたらくだが、仕方がない。新年早々、風邪をひいたようで、からだがだるく、熱もあるようだ。こうなると一層、路上生活の悲哀を感じる。



 福寿草ふくじゅそう かねしさに もりのなか


 テント村で野草販売がブームになった。公園をはなれ、繁華街の路上で売るのだが、やはり花のある野草に人気がでる。人気の筆頭は福寿草である。テントのまわりは取り尽くされ、森の奥深くに分け入ってゆく。

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