第6話

 ともがいて ともがいないと われひとり


 知り合いのホームレスがいても、いなくても、結局最後はひとりである。多少食料の貸し借りはあっても、ふと、気がつくと居なくなっていて、ひとりに戻る。ホームレスの人間関係だから、そうう希薄なことはある。



 野糞して いはぐれては 息を


 つい、足の出ている物を食べて腹をこわした。公園のトイレまでは、とても間に合わない。くさむら這入はいいって、用をたす。そううときに限って炊き出しの日時がせまって、結局、食事を貰いそこね、長嘆息になる。



 炊き出しも 前へ前へと あわれなり


 月に二度ほど開催される食事配給は、毎回長蛇の列になる。公園の住人でない、よそから来るホームレスも混ざるから、公園の住人全員に食事がまわらないこともある。そうなると、みな血相けっそうを変えて我先となり、長蛇の列も不穏な空気になる。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る