第2話

 風雅ふうがなり 底冷そこびえはする あおいえ


 都内公園内の、不法占拠のブルーシート小屋であったが、ひそかに孤独は守られた。春と秋の季節は、路上生活も風流ふうりゅうと思い捨てることができたが、冬はいけない。寒さが骨にみてじっとしていられない。せめて風雅なり、とやせ我慢がまんを決めて、この居座いすわるしかない。

 

 

 残飯ざんぱんを 直取じかどりできる 小雪こゆきかな


 昼過ぎからパラパラと降り出した雪は、深夜になって積もった。一寸いっすん(約3㎝)ほどに積もった雪を払って、ゴミバケツのふたを取る。路上生活も三年が過ぎる頃には、手でじかに残飯をつかむことができた。ビニール袋に残飯を詰めて持ち帰り、煮てう。



 蝋燭ろうそくの きて のどかわき


 ゴミ捨て場から拾ってきた仏壇用の蝋燭ろうそくも、きた。唯一ゆいいつの娯楽の読書も、夜にはあかりがないとできない。にわかに、咽喉のどかわいて、お茶を飲みたいが、出がらしのお茶パックは茶碗のなかでからびている。




 

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