第3話

 びっこひき しのわん にあわず

 

 ひと月まえに行った日雇ひやといの建設現場で踏んだ古釘ふるくぎのせいで、びっこをくようになり、うっかり炊き出しの食事をもらいそこねた。日雇いの金もなく、カセットコンロのガスボンベもからになって、水だけ飲んでしのいでいる。



 狂女きょうじょく 淪落りんらくそこ あおテント


 精神を病んだ若い女を小銭で買って、ブルーシート小屋のなかに連れ込む白髪頭の男を見た。あからさまな人殺しでもないかぎり、他人のことに干渉しないのが路上生活者たちの不文律である。しかし、犯罪の現場を目撃したようで気分は悪い。


 

 缶拾かんひろい アルミたかいと とりうそ


 今では、き缶の持ち去りは犯罪のように言われているが、以前は空き缶拾いが路上生活者の収入になっていた。スチール缶よりもアルミ缶のほうが廃品回収業者の引き取り価格が高く、効率が良かった。しかし、一時期アルミの取引価格が暴落して、それほど稼げなくなった。

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