メックダヌルズ・ウォー その④
「ば、ば、ば、番号ぅ?!」
「ええ、そのクーポンをご利用の際は番号を言って頂かないと」
番号!
恐るべし、罠。
やはりニワカ陰キャメンヘラにメックダヌルズは敷居が、むしろしきい値も高かったのだろうか……!
いや、まだだ、ここで終わるきのみではない。
ピンク色の脳細胞をフル回転させながら、きのみは努めて冷静に、携帯の画面をチラ見する……。
お店で使う、これかっっっっっ!
まるで、ピアノを奏でるような流れる手つきで【お店で使う】をタップすると、番号が出てくる。
「×〇6番です」
「はい、【お月見日和バーガーのMセット】ですね、ありがとうございます。ほかにご注文はございますか?」
ほか……! いわゆるサイドメニゥというやつでございますね!
ちら、ときのみはメニュー表を見る。
ここはお月見メックシェイクか……、いや、飲み物が付いているし、シェイク好きだけどどうしたものか……。
「ぬ!」
きのみは思わず口から言葉が漏れ、
ゆずマヨソース……!
ごくり、ときのみの喉が鳴る。
きのみは、ゆず的なやつが好きである。
勿論、
「メックナゲット5個ください」
「はい、ソースはいかがなさいますか?」
ふっ。ここでゆずマヨソースだけ頼むのは、一見さんでお月見キメたい、いわゆるトーシローである。
ここはメックダヌルズ10年戦士的な思い切った行動が求められる……!
「ソース全部下さい」
「え……? あの、2つまでだと無料ですが、3つ目から追加料金がかかるのですがそれでもよろしいですか?」
そーなの?!!!!!!!????
「ええ、それでもちろん構いません(知ってる感)」
「そうですか、ではご注文の品は以上でよろしいでしょうか」
「はい」
「1××0円になります。ご会計は……」
きのみはちらちらとキャッシャーの周辺を確認する。
あれかにゃ、あの丸い平たいいかにも置いたら決済できそうなやつに、いやでも、店舗によって対応していないとかあるかもしれないし、なんかこれ以上冒険するの怖くなってきたし、ここは……!
「げ、現金で……」
ささっと、1××0円を置き、注文番号の書かれたレシートを手にすると、すすすとカウンターから離れる。
次に注文をしている若いカップルをぼんやり眺めながら、きのみは思った。
何事も……けいけん……にゃ!
そう、この日は、人類にとっては全くもってどうでもいいかもしれないが、きのみにとっては大きな一歩を踏み出せた歴史的な日になったのである!
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