20話:『暗黒』黒き漆黒のダークブラックドラゴン〜黒龍の姿〜

────────

【『暗黒』黒き漆黒のダークブラックドラゴン〜黒龍の姿〜】

分類:龍

状態:通常

レベル81

HP862/862

MP175/175

攻撃:192

防御:178

速度:163

魔力:159

自己スキル

【雄叫び8】【威圧3】【ボスモンスター1】【黒鎧鱗3】【竜の尾7】【加護8】【黒毒爪6】【ナイトメア・ビーム2】【黒霧5】【オール・プレス7】【黒炎3】【牙と爪10】【飛翔10】【ベンタ・ブラック10】

耐性スキル

【魔法耐性2】【即死無効】【毒耐性4】【物理耐性7】【水耐性2】【炎耐性5】【闇無効】

────────

【ベンタ・ブラック】

分類:固有スキル

ベンタブラックと呼ばれる可視光の最大99.965%を吸収する物質を錬成する。

さらに、それを自由に操ることができる。

『暗黒』黒き漆黒の以下略の固有スキルであり、突然変異によって誕生した。

────────


あーそうだったーx2ベンタブラックだ…ってえ!?

「クソッ!取り敢えずセルスとサリアさんはそこの岩陰で待機だ!!」

「ど、どこの岩陰ですか!?」

距離もわからなければ、どんな形の岩かもわかんないよ!!

「知るか!!とにかく走れええええ!!」

ずっと敬語だったセルスさんが声を荒げる。


訳もわからず全力で駆け出す。

「うわびゃ!!?」

地面の凹凸が何かに足を取られ、盛大に転倒する。

そりゃ当然だよ!べンタブラックで凹凸なんか見えねえもん!


「まずいっ!『魔球よ弾けろっ!【マジックボム】!レベルは1っ!』」

後を振り返ると、クルメさんが光る球のようなものを投げてきた。

どうも【マジックボム1】はダメージなしで衝撃波だけみたいね。私は勢いよく吹き飛ばされる。

次の瞬間、クルメさんの姿が見えなくなった。


────────

【黒炎】

一般魔法スキル。

黒色の炎を放つ。

普通の炎とは異なり、闇属性が含まれる。

本来の炎は赤色で、黒ければ黒いほど強い。

僅かに紫色の魔力が混じって見えるものの、影の中で見分けるのはほぼ不可能。

────────


う!うわ!熱!

黒炎の直撃は避けれたものの、熱いもんは熱いわ!

炎が広がってこっちへ迫ってくる。

「『全ての攻撃、全ての障害。全ての方向から全てを守れ!【オールシールド】』」

奥の岩陰からセルスさんが顔を出し、魔法を放つ。

その瞬間、私と、見えないけどたぶん他の仲間達もが泡の様な膜で覆われる。

これがシールドかあ…ぶぁ!

セルスさんのいる岩のところへ体がぶつかる。

シールドのおかげでダメージはないが、衝撃が強えんだわこれが。

「こっちです!早く!」

セルスさんに強引に引っ張られ、岩陰に引き摺り込まれる。

「はあ…はぁ…。」

「私たちはしばらくここにいた方が良さそうですね。」


はあ…はぁ…。

はぁ…はあ!?

…なんかちょっと落ち着いたら怒り湧いてきた!!

何!?この頭痛が痛いの最終形態みたいな名前!?

黒くて?漆黒で?ダークで?ブラックで?黒龍!?あと暗黒ぅ!?


────────

【黒】

墨みたいな色。

────────

【漆黒】

黒くて光沢がある色。

────────

【ダーク】

暗いの英語。

────────

【ブラック】

黒の英語。

────────

【黒龍】

黒い龍。

────────

【暗黒】

光がささず暗いこと。

────────


…はい。

いやそれ出さんでもええよ鑑定さんよお!

重度の厨二病患者でも言わんぞ!?…いや、やりかねんか。

1つの名前に黒要素6個とか…いや、もういいや。


なんか疲れたし素直に岩陰に隠れて、戦闘を見守ってよう。

「畜生、俺たちだけで倒せって言うのかよ…おいクルメ!お前前に行きすぎだ!」

「大丈夫!速戦即決ってやつだよっ!『『同時詠唱詠唱省略【炎槍錬成】』』からの『【速射】っ!』」

龍の体が光り、姿が露わになった瞬間、クルメさんは炎を纏う槍を錬成して即座に発射する。

「ギュァアア!!」

それを察知したのか、龍は首の向きを変えると槍目掛けて黒炎を放つ。


「あいつ、どこを狙って…」

「いや、あれは炎を纏った攻撃をさらに強力な炎で打ち消した…みたいです。」

そんな事ってありかよ!…いや待て。

同時詠唱によって槍は2本錬成されたはずだ。じゃあなぜ一回しか速射をしなかった…?


「こっちだよっ!『魔球よ焼き払えっ!【炎弾】!!』」

龍に上方からのクルメさんの魔弾が直撃する。

…[52!]固っ!さすにボス名乗るだけあるか。

「黒煙に紛れて上方向に槍を発射。それにつかまって上方から隙をつく…。」

「もしかして、クルメさんって普段からこんな感じ…?」


「その通りだ。まったく、対火のローブ着てるとはいえその槍は燃えてるんだぞ?…おいボウズ、お前は少し落ち着け。」

そう言うとボルタスさんは弟くんの肩を掴んで静止させる。

「うわああああああ!!えい!えい!当たれ!!」

完全にパニック状態だ。必死にナイフを振っているが、完全に届いてない。まだ振ってるし。

まあ相手は完全に凹凸が見えなくてぺったんこだもんねー。距離も掴みづらいし。


「ボウズ、まずは落ち着くんだ。しかし敵の距離が分からないなら勇気を持て。勇気を持って突撃すれば、いずれは敵に当たる。」

「は、はい…。」

「もちろん、ただの突撃は愚者のやる事だ。だから隙を狙う!『我流【断絶】!!』」

クルメさんを狙おうと龍が持ち上げたその首下に、ボルタスさんがオーラを纏った大剣を振るう。

鈍い音と共に、大剣が叩きつけられる。確か龍の弱点はあの辺だ。


[21!]…あれ?

「チッ、物理耐性かよ!畜生やばいなこれは…。」

ボルタスさんが舌打ちする。

…あー、なるほど。確かに耐性スキルあるね。


「物理耐性…厄介ですね。ここは私が強化魔法を…」

「おっと、ここは嬢ちゃんにやってもらうとしよう。」

セルスさんが詠唱をしようとしたのを、ボルタスさんが止める。

「な、よろしく頼むぞ。」


え?まじ…?えーっと何だっけ…。

「あ、そうだった…『【何か買って行くかい?】』」

お決まりの呪文?を唱え、みんなの前に商品一覧を表示させる。

といってもこんなところで商売する気はないよ?

数分前にボルタスさんに言われたのさ…。





〜数分前〜


ボルタスさんが急にこんなことを言い出した。

「あ、そうだ嬢ちゃん、ボスと戦う時は、お前にもやってもらうことがあるぞ。」

「え?何ですか?」

戦うってんなら無理だぞ?私弟くんより弱いもん!


「あれ?知りませんでした?荷物持ちに商人が選ばれる理由。」

とセルスさん。

「え…?魔導袋とか持ってるから…だっけ?」

弟くんが言っていたこと、覚えといてよかった。

でも他にもあるらしい。

「それもありますけど、理由はもう一つあるんですよ。」


「言ってなかったっけ?僕やお姉ちゃんが持ってる【何か買っていくかい?】が理由だよ。」

突然、弟くんが会話に割り込んでくる。

で、そのまま説明を始める。

…もしかして弟くんって説明すんの大好きだったりする?


「【何か買っていくかい?】には『配送』っていう隠し効果があるんだ。これは商品を買ってくれた人へ、商人が出せる理論値最速の速度で、届けることができる。」

理論値最速…TASさんみたいなやつ…?

いや、いくらこの世界がゲームっぽいとはいえ、確率まではいじれないだろうから、「自身の全力を出せる」みたいなもんかな。

「これはボス戦でも使えます。購入価格を全部0Gにしておけば、実質的に最速で味方にアイテムを配れるわけですね。」

「裏ワザを変わった使い方してるって感じねっ!」

「どうも嬢ちゃんの方がこいつのスキルのレベル高いみたいだからな。頼んだぞ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る