17話:最強スライムがその辺にいてもおかしくない時代
さーてやって参りましたすぐそこの平原!
狩りのお時間でございます!
ルイサさんが貸してくれた本を元に、弟くんと必要な素材をリストアップしました!
もうね。ポーションの種類がものすごいんだわ。
そーやってるうちに、どんなポーションにも使われる、基礎みたいな子がいるって気づいた。
弟くんは最初から知ってたけど…まあそれは…ね!
で、そこの草の影から、ぴょんぴょんやってきました!それが!
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【スライム(水)】
状態:通常
LV:2
HP12/12
MP:4/4
攻撃:3
防御:4
速度:3
魔力:5
自己スキル
【魔力伝達2】【液体操作3】
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【スライム】FからA-ランクモンスター
分類:魔物
スライムというよりは水風船の様なモンスター。
半透明の膜で覆われており、中にはポーション原液になる体液と、小さな魔石でできたコアがある。
自分のコアに触れて繋がっている体液や膜を自由に動かすことができる。
膜を破れば倒すことができるが、体液が漏れてしまうため体液を回収するには工夫が必要。
スライムには把握し切れないほどさまざまな色の種類が存在し、それぞれ原液の特性も強さも戦闘スタイルも全部違うためランクがはっきりしない。
魔物学とは別枠でスライム学が存在する。
────────
はい、スライムさんですねー。
いやー、説明文長いって思うでしょ?それだけ重要な魔物なのかねー?
都市ルースーの壁沿いの平原や林に、大量に生息してるらしい。
おかげでルースーはポーションの名産地なんだけれど、壁外に農地を作れなくて…まあ一長一短だね。
とにかくこいつからポーション原液を回収しよう!!
さて、持って参りました武器はこちら!
【猿でも撃てる大型高速弓】!本当にガチの猿でも撃てるんだそうです。
「よしお姉ちゃん!やっちゃって下さい!」
「はいよー!」
弓に矢をつがえてー!引っ張る!
で、手を離すと矢がまっすぐと飛んでいきます!
鑑定の説明文によると弦だけでなく弧の部分にも工夫がされていて、魔力で硬さとかを変えて簡単に引けるし強く放てるんだってさ。すっげえなー。
それでそのままー…?
「あ、当たった。」
スライムさんの所に[41]って文字が見える。
それに加えてスライムさんの頭上にHPバーみたいなのが現れた途端、一瞬でゼロになって消える。
…あー、何かそんなスキル鑑定の亜種であったね。こんなふうに見えるんだ。
「本当だ。凄いねお姉ちゃん。一発だよ。」
まあ本当は付与効果で、【直線射撃】【乱数制御命中】とかいうどう考えてもこれのおかげだろってのが弓に付いてるんだけどね。
とにかくまあ、倒したスライムを見ると…。
「おおおお。」
「本当に一瞬で凍った。」
スライムさんの体液が凍りついて、漏れ出さなくなっている。
何でこんなんができるのかって言うとだな。
────────
【氷結の毒矢】
分類:武器用アイテム
刺さった生物の体液を冷やし、凍らせる毒矢。
この特性により、体液のない例えばゴーレムなんかには効果がない。
────────
こういう矢を持ってきたからなんだな。
スライムなんてほぼ全て体液だからね、あったまいいなあ。
それでしっかり凍ってるからそのまま魔導袋につっこんでいく。
「よし、この調子だね。」
◇
「はぁ…はぁ。ふいー、つっかれたー!」
あれから4時間経ちましたあ…。
「よし。本を見た感じノルマのスライムは集めれたよ!」
「良かったぁ…ふぅー…。」
…普段こんな運動しねーんだよ私もサリアさんも!
まあとにかくその間に大量のスライムさんを狩らせていただきました!
スライムさん、説明文がクソ長いだけあって本当に個性豊かだね。
まあ全部倒したんだけど。
1発じゃ倒せないこもいるから、弟くんの持ってきた剣でバットみたいに打ってもらって、空中で相手が動けない状態でとどめを打ち込む!とかそんなことしてる。
こんなんだから【速射1】【装填1】【反射神経1】【単純予見1】【弓才1】とかどんどん手に入った。
後レベルも上がったよ!豚みたいな魔物倒した時に。クソ弱かった。
ステータスもどーぞ。
────────
【サリア・コール】【人間】
LV9
HP:46/49
MP:15/15
攻撃:23
防御:19
速度:29
魔力:18
自己スキル
【弓才1】【単純予見1】【反射神経1】【装填1】【速射1】【領収書1】【兄妹思考共有1】【兄妹1】【握力強化1】【小型刺突武器特効1】【ヒット&アウェイ1】【主要状態異常視認2】【HP・MPバー視認2】【瞬間ダメージ視認2】【鑑定】【何か買っていくかい?4】【両替え5】【貯金3】
耐性スキル
【足元罠耐性3】
────────
【アレル・コール】【人間】
LV7
HP:37/37
MP:15/15
攻撃:16
防御:17
速度:19
魔力:14
自己スキル
【剣才1】【反射神経1】【撃ち落とし1】【打ち上げ1】【鑑定】【兄妹思考共有1】【兄妹1】【遠視1】【重量物移送1】【散開1】【何か買っていくかい?1】【両替え4】【貯金1】
耐性スキル
【足元罠耐性1】
────────
さりげなく鑑定の亜種みたいなスキル達もレベル?が上がってるね。
「後必要なのは薬草系だね。僕がスライム狩ってる間に生えてるとこ目星つけたから、実質帰る途中に寄ってくだけだよ。」
「おー、じゃあ帰ろーか。」
と、帰ろうと林を歩いていたところだった。
弟くんが急に立ち止まる。
「あ!ちょっと待ってちょっと待って!お姉ちゃんそこいんの天のボーナスだ!こんなところにもいるんだ!!」
「へ?なんて?」
弟くんが大声で捲し立てる。
「天のボーナスって呼ばれてるスライムがいるんだよ!!めっっったに生まれない上に倒しても捕まえても一攫千金!!何としてでもやらなくちゃ!!」
「なんじゃそりゃ!!そんなのいるの!?」
「まあ似ているあれ、《鑑定が妨害されました》だって…?」
ん…。え?
鑑定妨害!?
鑑定妨害ってそれ、いろーんなラノベーの中で相当やばいやつとかしか持ってない奴ではありませんか!
具体的に言うと神様とか!!もしかして私たちが昨日話したあいつ!?
「…逃げない?」
「えなんでさ?天のボーナスって本っっっ当にレアなんだよ!?うちのお爺ちゃんだってこいつ倒して乞食から成り上がったんだ!」
いやでもさ…。
私も鑑定してみる。
《権限がありません。種族としての説明のみ表示します。》
KE・NN・GE・NN!
嘘やん!やばいやつ確定やん!ラノベーの常識を当てはめていいのかは知らんが私は知ってるんや!
こいつはおそらく世界のシステムの外側の何かだ!!
いや説明見ると確かに倒した時に貰える物は魅力的だけどさ?
────────
【金のスライムメタル】Dランクモンスター
通称、天のボーナス。
突然変異したスライムが、更に突然変異したときに誕生する。
よって出現率は相当低い。
だが、銀のスライムメタルのおよそ20倍の経験値を保有しており、攻撃が命中する度に金貨が少しばら撒かれる。
つまり一撃で3000〜5000G手に入り、更にスライムメタルは簡単に回復させることもできるため各地の権力者達が生捕りしようと血眼で探しまくっているという。
国王までも国ぐるみでが生捕り&永久機関化をねらっている。
────────
【スライムメタル】
スライムの突然変異種の一つ。
他のスライムと違い、体が透き通っていない。
外側の幕もコアも無くなっており、代わりに体が液体金属の様になっている。
その為体を自由に分けられたり、分けた体をそれぞれ動かすことがでできる。
────────
いや…でもやっぱやばいよな?
「…やっぱ逃げようよ!絶対やばいよこいつ!!」
「お姉ちゃんは何でそんな逃げたがってるのさ!?こうやって攻撃すると金貨が出るんだよほら!…あれ、あんまりダメージ入らないな。」
弟くんがヤバいスライムさんに攻撃する。[1]という表示とともに数枚の金貨が散らばる。
「やめてええええええ!!」
ヤバいスライムさんの形が変わる。絶対攻撃態勢だこれ!!
確かにこいつはDランクモンスターだよ!私だって普通なら血眼になって捕まえるよ!
でも!こいつは!話が!違う!
ヤバいスライムさんは体を変形させ、ハリだらけのウニのような形になる。
「な、何を…。」
「…来る!!」
ハリが一斉に放たれる…全方向攻撃は避けられないよ!!
私は咄嗟に魔導袋から大楯を取り出し、防ぐ…うわ!!
「一瞬で盾が壊れた!!」
「いや…蒸発した…?」
おい攻撃力頭おかしいだろ!!
「う、うわあぁぁ!!」
「アレル!逃げるよ!!」
こんなの相手にしてたまるか!!
一番近い門の方向を確認すると、私は弟くんの手を掴んでかけ出す。
っと一瞬でまわり込まれ、行く手をヤバいスライムさんが阻む。
「あくまで逃がさないつもりらしいよ…どうする?」
「動きを止める!」
私は【氷結の毒矢】を弓につがえ、放つ。
奴に膜はなく、体液が剥き出しだ。つまりはどこに当てても凍る…
と、突然ヤバいスライムさんが一気に上に跳躍し、矢をかわす。
矢が外れた!?
おいこの弓サリアさんが作った奴だぞ!!付与効果もサリアさんがつけてるんだぞ!!
もはやこれはホーミングでもついてるんじゃないかってくらい矢が当たるクソ強弓だぞ!!
それをいとも簡単に避けるだなんて…おいマジでどうするんだよ!!
「お姉ちゃん!【氷結の魔石矢】を使って!!」
「え!?こっちの矢なら何か…」
「いいから!!」
実はもう1種類矢はある。それを放ち…やっぱ避けられた!!
「当たらないよ!!」
「いいから!スライムじゃなくて木を狙って撃ち続けて!!」
私が打った矢は木に当たると、周囲に冷気をばら撒く。
空気中の水蒸気が昇華し、パラパラと舞う。
「いくら相手が速かろうと、これならいずれは…!」
ヤバいスライムさんの体が一瞬冷気に触れる。
そこから侵食するように体液がどんどんと凍っていく。
そして、草むらの中に落下した。
なるほど、膜で覆われてない奴にはこっちを使うってことか。
────────
【氷結の魔石矢】
分類:武器用アイテム
矢尻が魔石となった矢。
命中地点を中心に急速に冷気を発生させる。
空気中の水蒸気を凍らせて、相手を氷で包む。
────────
「よし!あいつの強さ的にすぐ復活できるから今のうちに逃げ…」
「今のうちにあいつを回収しよう!!」
弟くんが私から魔導袋を奪い取ると、草むらのほうへ駆け出す。
「いやいやいやいや!!まだ諦めてなかったのかよ弟ォ!」
そんな事より逃げる事考えようよ!命あってのなんたらだよ!!
と、突然弟くんが振り返り、ものすごい勢いでこっちへ戻ってきた。
「お姉ちゃん危ない!!」
弟くんに突き飛ばされる。続いて弟くんが私の後ろの何かに切り掛かる。
音で剣が砕ける音がする。このアホみたいな強さ、つまり!
振り向くと一瞬だが見えた。ちょっと小さくなってるけど明らかにヤバいスライムさんだ。
「え!?まさかもう復活したの!?」
「違うよこれは…【分体脳】だよ!最初に飛ばした針にそれぞれ別の脳が宿って自立して動けるんだ!!」
じゃあこっからは2対多数って事!?
でも小さくなればそれだけ個々が弱くなるのはお決まりだよなぁ!それなら!
なんて思っていたが、分体達は一斉に本体目掛けて移動を始めた。
本体の氷を砕き、同化していく。
この雰囲気…まさか大技!
「一発で決める気だ!アレル!離れて!!」
ヤバいスライムさんが変形を始める。
「なになに今度は何!?」
その形は大砲のようだった。そして私の方を向いている!!
マズい!!体を逸らして避けようとするが放たれたのは光線だ!!光より早くは動けねえ!!
「あ、熱!!」
「お姉ちゃん!!」
ダメージ受けたことを示す赤い数字が視界を埋め尽くす。
「ふぇ…あれ、世界が歪…?」
痛みが来るよりも早く視界が歪み、私の意識が薄らいでいく。
遠くの方で声が聞こえるような…でももはや声と物音の判別すらできない。
そうして私は意識を手放した。
〜あとがき〜
【氷結の魔石矢】【氷結の毒矢】の違い、わからない人向けまとめ!
魔石矢は何かに当たった瞬間周囲を凍らせる。氷の中に封じ込めたり。範囲攻撃に応用したり。
毒矢は生物に深く刺さった時のみ内側から敵を凍らせる。刺さらないと意味ないが、貫通すれば大ダメージ。
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