15話:「熊猫(クマネコ)」との出会い
熊猫ねえ…パンダって読んじゃいそうだけどクマネコって言うらしい。
「名前はクルメが付けたんだ。俺が熊なんだとよ。」
「んで私が猫っ!」
「本当はロイクって言う槍使うのがいるんだが…あいつすっぽかしやがってな。あ、後これ貸してやる、見たければ見るがいい。」
私達も軽い自己紹介を終えた後、ボルタスさんが首にかけている小さめな鑑定石を貸してくれる。
でもこれ能力の鑑定の方が精度高いからそっちを使ったのは内緒。
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【ボルタス・グルスタ】
状態:通常
LV47
HP:197/197
MP:95/98
攻撃137+21
防御106+18
速度108
魔力96
自己スキル
【散開3】【ガード7】【瞬間ガード9】【短剣技4】【治癒魔法5】【炎弾3】【三点突き2】【指示6】【投石3】【剣技6】【断絶8】【遠視4】【暗視8】
耐性スキル
【遠距離攻撃耐性7】【足元罠耐性2】【物理耐性6】【炎耐性3】【空腹耐性4】
装備
【研ぎたての銅の両手剣】【鉄の鎧】
────────
ボルタスさん。
リーダーだね。雰囲気もそうだし、【指示】ってのもそういう人だから持ってるのかなって。
見た限りザ・いかつい剣士さん。腰んとこに両手剣っぽいのが刺さってる。
────────
【研ぎたての銅の両手剣】
分類:武器
攻撃増加+21
攻撃速度上昇+8
付与効果【攻撃貫通(小)】
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【研ぎたての銅の両手剣】
分類:武器
銅で作られた両手剣。
この地域において銅剣は、鉄剣よりも研ぐ技術が進歩している。
そのため、定期的に研げば元々の能力の高い鉄剣とちょっと低いものの大体同程度の能力になる。
更に、銅剣の方が付与効果(エンチャント)の効率が良い為、大体の冒険者は銅剣かを所持している。
────────
まあ、どこのパーティーにだってテンプレなら剣士は入るわな。
でも考えてみりゃ、剣士って対人以外でそんな有効か?
地球じゃあ動物を仕留めるとしたら罠とかだよな。多分昔っからそう。あとは猟銃とか弓とかね。
────────
【セルス・サムソン】
状態:通常
LV39
HP:172/172
MP:108/98+10
攻撃85
防御91+10
速度89
魔力99+12
自己スキル
【オールバフ2】【加護5】【麻痺解除6】【シールドブレイク6】【オールシールド8】【ガードシールド8】【オールパワー6】【呪解除3】【MP回復補助6】【治癒魔法8】【分析4】
耐性スキル
【麻痺耐性3】【物理耐性5】【中断耐性9】【遠距離攻撃耐性8】
装備
【スギの長杖】【聖者のローブ】
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ヒーラー兼サポーターかなぁ。片手に魔導書っぽいのを持ってる。
聖女ポジションな気もする。男だけど。
ぱっと見一番常識人だと思う。苦労してそ。
あとなぜかイケメンだね。私は性格がおかしくなっちゃったのか、悲しいことにときめかない。
────────
【クルメ】
状態:通常
LV56
HP:279/279
MP:83/121+14
攻撃156
防御102+10
速度103
魔力123+20
自己スキル
【マジックボム3】【火炎区画3】【炎槍錬成2】【三連炎弾3】【炎弾3】【攻撃力上昇7】【同時詠唱1】【詠唱省略2】【隠密9】【感知9】【装填8】【速射5】【正確7】【超遠視8】【生命力上昇7】
耐性スキル
【罠耐性1】【物理耐性2】【精神攻撃耐性8】【麻痺耐性7】【毒耐性8】【空腹耐性9】
装備
【鉄の短杖】【耐火のローブ】
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魔女っ娘だーーーーーー!!
セリフの後にいちいち「っ!」が付くくらいには声が大きくて元気なやつだ。
あと魔法使いなのに攻撃力たっけえ。
筋肉魔法でも使う…わけじゃなさそうだな。
年齢は…私とあんま変わらないかな?それでこんなに強いんだから世界は広いな。
「さて、早速だけど今回の依頼について話しておきましょうか。」
セルスさんが話を切り出す。
「ボウズは何なら俺らより依頼について理解してそうな雰囲気だが、そっちの嬢ちゃんはギルドの仕組みすら理解してないっぽいぜってことでな。」
はい。お恥ずかしながら。
「じゃ、よろしくっ!私は説明下手だしっ!」
「クルメはよくわかって無いだけでは…まあえっと、まずは私達が受けた依頼についてから話しますね。」
「お願いしまーす。」
私セルスさんは地図を机に広げて流れるように話し始める。
「まず、今いる場所がここで、今回向かうダンジョンはこちらです。」
セルスさんはまず、地図中央にある町っぽいマークを指さし、それから都市のちょっと離れた北の方にある洞窟っぽいマークを指さす。
お肉を売った場所とはまた違うし、こっからちょっと遠いね。
「このダンジョンは現在封鎖されています。何故なら今このダンジョンが休眠期にあるからですね。」
「休眠期?」
「あ、休眠期ってのは…」
「ダンジョンのボスが倒されると周囲の魔物はダンジョンに引っ込んで周辺地域は一時的に平和になるんだ。これを休眠期という。」
弟くんが説明しようとした所をボルタスさんが被せる。更にセルスさんが続ける。
「休眠期なんて名前だけれどもダンジョン内は地獄そのもの。次のボスを決めるためにモンスター同士が最後の1体になるまで壮絶な争いを行っています。そしてこのダンジョンでは最近休眠期が終わっています。」
なんだその怖いバトロワは。
「つまり新しいボスが生まれたんだな。俺たちの任務はそのボスの偵察だ。」
ボス…つまり一番奥まで行くのか…。
「ダンジョンのボスがそこそこならボスが生み出した他の魔物もそこそこの強さだからダンジョンから資源を得るためにいろんな冒険者を送り込んで誰かがボスを倒すのを待つ。」
なんかダンジョンって鉱山みたいな扱いされてんだね。
「逆にボスがめちゃくちゃ強かったら周囲の魔物の脅威度も上がるからガチの討伐隊で殴りに行く…ってこと?」
「正解!」
セルスさんが手で丸を作る。
「ちなみに…もしボスが弱かったら、そのまま倒しちゃっていいの?」
ダンジョンを鉱山みたいに扱ってるなら、むしろあえてボスは倒さないでおいてたりして。
「お姉ちゃん…流石にそれは無理だと思うよ?」
「そりゃまたどうしてさ。」
「嬢ちゃん、弱いボスなんてのはいないぜ。休眠期に散々暴れ回って勝ち残ったやつだ。他の魔物の経験値全部持ってるぞ。」
「それに大体が初見殺しでめんどくさいのっ!」
まじかよ。私の命は一つしかないのに死にゲーやらされるのか。
「だから私達は遠くから鑑定してすぐ帰りますよ。いろんな冒険者が攻略情報を集めて、倒すのはそれからです。」
「なるほどね。」
初見で倒すなんて勇者様御一行とかそーゆー人達じゃないと無理なんだろーな。
「ところで僕たちがすることは荷物持ちなんですけれど…具体的に何を持っていけばいいんですか?」
「そうですね…いくつかのポーションとちょっとばかしの便利な魔石があれば…」
セルスさんがメモを作りながら金貨を5枚取り出す。5000Gか。
「そうだ!うちのパーティ1人欠けててな。ボウズも戦ってくれよ。…大丈夫だ。俺が教えてやるしお前ならできると思うぞ。」
「そうだねっ!アレル君は短剣かな?」
「えっ。」
弟くんが戦うのかあ。思考共有で助けを求められるが、頑張れとだけ返す。
「よし、リストに短剣を入れておこう。金貨もう一枚やるから自分に合ったの買ってこいよ。」
「あ、はい…。」
さては弟くん、押しに弱いな?
『ってかまって。もしかして荷物って私達が買っていくの?』
『そうだよ。契約書にも書いてあるし随伴依頼って基本そう。』
熊猫はそんなではないが、冒険者達は交渉が苦手らしい。
商人に任せるってことは暗黙の了解で値切ってこいって意味でもあるんだって。怖ぁ。
「それじゃあ僕たちは買いに行って来ます。この辺のポーション屋ってどこにありますか?」
「おいおい。ここはポーションの名産地、ルースーだぞ?道を歩けばすぐにポーションやがあるさ…まあ俺がお勧めするならここだな。」
この都市の拡大した地図に、印が書き込まれる。
「私ここの店主さんと仲良いんだっ!言えばきっと割引してくれるよ!」
「次の集合は11/25…つまり明日の朝8時だ。それまでにしっかり準備して、西門のところに来てくれ。」
明日か…。じゃあ急いで店に行ってしまおう。
◇
「着いた!ここだよお姉ちゃん。」
商店街から少し離れた裏路地に、その店はあった。
入り口のドアには看板がついており、何故かひらがなで店名が書かれている。
「えーっと[るいさのぱんや]…ルイサのパン屋!?」
「どうした!?」
「どうしただって!?」
「あーあれか。街で唯一のパン屋っていう…。」
私あのパン本当に感動したんだからね!?
本当に良いものを小細工なしで売っているんだ。つまるところ私の理想を体現してる店なんだよ!!
「でもなんでパン屋でポーション売ってるんだろ。」
「そんなこと今は良いよ!とにかくあれを売ってる人に会えるのかー!!うーわどうしよ緊張する!!」
まだどんな人なのかも知らないんだけど今んとこ尊敬してる人間ナンバーワンなんだもん!!
「お姉ちゃん…すごい興奮してるね…。」
私はドアノブに手を伸ばし…そして手を引っ込める。
「やっぱ無理!!アレルが開けて!!」
「ええ…まあいいけどさ。」
そうして私達は店に入った。
〜あとがき〜
ロイクって俺っすよ!!すっぽかしたんじゃなくてカメノシナ中毒治すために病院行ってたの!!
彼女ら服着替えただけなのに…気づけないんすかせんぱぁい!!
ところで、作者とかいうやつに捕捉出せって言われたから見せとくっす。
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【一般的な魔物】
卵生だったり、胎生だったり、自己複製だったり。
各々様々な方法で増える。
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【ダンジョンの魔物】
次のボスが決まった時、ボスが一気に生み出す。
元々はボスの魔力の結晶であり、ボスの強さに応じて強さが違う。
────────
【ボス】
先代のボスが倒された後、他のダンジョンの魔物を全て倒して絶対的な力を手に入れたモンスター。
それぞれが異なる特性を持っている。
────────
ダンジョンには一般的な魔物も普通に暮らしているので独特な生態系ができているっす。
ちなみにどうも一般の魔物は休眠期バトロワには参加しないっぽいっすよ。
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