7話:SETUMEIKAI
《戦闘状態から解除されました。》
《経験値を獲得しました。》
《経験値が一定に達しました。レベルが3から8へと上がりました。》
《各種能力値が上昇しました。》
《条件を満たしました。スキル【瞬間ダメージ視認1】を獲得しました。》
《条件を満たしました。スキル【HP・MPバー視認1】を獲得しました。》
《条件を満たしました。スキル【主要状態異常視認1】を獲得しました。》
《条件を満たしました。スキル【ヒット&アウェイ1】を獲得しました。》
《条件を満たしました。スキル【小型刺突武器特効1】を獲得しました。》
《条件を満たしました。スキル【握力強化1】を獲得しました。》
《条件を満たしました。スキル【兄妹1】を獲得しました。》
《条件を満たしました。スキル【兄妹思考共有1】を獲得しました。》
お、お、お?
何か一気に言われてたんですけど。
何?スキルが手に入ったの?いくつ?
一旦垂れた吊り橋を伝って、谷底まで下りる。
「お姉ちゃん、僕なんかレベル上がった。」
「どれ?ちょっと見せて。」
弟くんと一緒に岩に猪が潰されている猪の前まで移動する。
猪はペシャンコになっているかと思いきや、形をキープしていた。
鋼毛とかいうスキルで、身を守ろうとした結果なんかね。
私達はその猪の脇にあった石に腰掛ける。
んで、私は弟くんと自分を両方鑑定し、確認する。
思考が加速してると、一瞬で読み終えられるね。
────────
【サリア・コール】
分類:人間
年齢:13
状態:速度上昇
LV8
HP:39/43
MP:12/12
攻撃:19
防御:16
速度:21
魔力:15
自己スキル
【兄妹思考共有1】【兄妹1】【握力強化1】【小型刺突武器特効1】【ヒット&アウェイ1】【主要状態異常視認1】【HP・MPバー視認1】【瞬間ダメージ視認1】【鑑定】【何か買っていくかい?4】【両替え5】【貯金3】
耐性スキル
【足元罠耐性3】
────────
【アレル・コール】
分類:人間
年齢:11
状態:速度上昇
LV6
HP:30/32
MP:11/11
攻撃:13
防御:14
速度:15
魔力:10
自己スキル
【兄妹思考共有1】【兄妹1】【遠視1】【重量物移送1】【散開1】【何か買っていくかい?1】【両替え4】【貯金1】
耐性スキル
【足元罠耐性1】
────────
うーん!量が多い!
まあ、ひとつずつ確認してみよう。
このでっかい猪の処理でもしながらね。
猪の頭に刺さったままの空き瓶を割り、尖ったかけらを持つ。
肉を切るためのナイフ!…の、つもり。
それでギコギコしたら素早さのゴリ押しで皮を切り裂くことに成功した。
ゴリ押しっていいねー。
手を動かしながら、ステータスを確認していくこととする。
あ、せっかくだし弟くんと一緒に確認していきたいよね。
じゃあ弟くんにもステータス画面を見て貰えば良いのか。
てなると…
「アレルー。スキルで鑑定しないか?一緒にステータス見ようや。」
私の問いかけに、弟くんはきょとんとした顔をして。
「鑑定…?ごめん、そんなの知らないや。鑑定ってスキルだっけ?」
と、答えた。
あれ…知らないのか。
おかしいなあ、ラノベでは結構皆勤賞叩き出してるような有名さんなのに…。
「色んな物の情報を知れるっていうスキルなんだけど…それじゃ入手の仕方なんて分かるわけないかー…。」
「うん。大体鑑定なんてスキル初めて聞いたよ…ああ、アイテムでなら聞いたことあるけどね…。」
「本当にあるんだけどな。」
「まあお姉ちゃんがそう言うなら信じてみても…あれ。」
弟くんの言葉がそこで止まる。
「どした?」
「なんかね、《【鑑定】を獲得しました》って言われた。」
え?何それ。…は?
私は【鑑定】そのものを鑑定してみる。
────────
【鑑定】
分類:能力
所有者の意識した物体や事象などの解説や情報を所有者の視界にポップアップさせる能力。
出力される解説は所有者が求める説明によって変化し、同じ物を鑑定しても場合によって全然違う説明が表示される。
鑑定という能力が存在すると信じ、欲した場合確定で入手できる。
しかし転生・転移者以外は鑑定という能力を基本知らないため、使える人はごく稀。
尚、これはスキル欄に表記されるもののこれは【スキル】ではなく【能力】。
人間が腕を動かしたり、足を上げる能力がわざわざスキル認定されないのと同じである。
────────
あー、転生者特権なのか…。
「ま、手に入ったなら良いじゃん?ということで私と自分を両方鑑定してみてくれ。」
あれ、弟くんの反応がない。
みると弟くんは空中を見つめ、何かを考えている様子だった。
「おーい…?」
「え?あ、ああ。…うん分かった。」
…?弟くんどうしたんだ?
弟くんがこっちをじっと見つめる。
…一瞬弟くん、光った様な気がする。多分無闇に使われないように、鑑定を使われた側は使った側の事が、多分壁越しでも一瞬光って見える様になるっぽい。
「何かウインドウが2つ出てきた。」
弟が目で文字を追う様に空中を見つめている。
「そう、一旦そこに乗ってる情報を、2人で見ていこうかと思ったのよー。」
「じゃあまずはHP、MP、攻撃…私もお前も速度が若干高いのか。逆に魔法系はダメと。」
「レベルアップまでの行動で上昇値が決まるからね。さっきまでずっと走ってたんだもの。」
そんなものか。
「で、次はスキルについて見ていくかー。」
「だとすると左上からかな?えっとまず【鑑定】…は良くて…あ、この【兄妹思考共有】【兄妹】ってのは確かお姉ちゃんも持ってたよね。」
────────
【兄妹】
分類:一般パッシブスキル
入手条件:お互いが兄妹と真に認め合っている2人以上が共闘
この世界において兄妹は特殊な縁と考えられている。
「兄弟」や「姉弟」などでも構わない。
入手にはかなりの相性と信頼が求められる。
このスキルで結び付けられている2人以上の位置が近ければ近いほど、能力が上昇する。
他にも特別な効果があるらしい。
────────
【兄妹思考共有】
分類:一般パッシブスキル
入手条件:【兄妹】の獲得
このスキルで結び付けられた2人以上の、思考や脳内イメージを共有できる。
ある程度なら離れていても、間に壁等があったとしても干渉されない。
この世界では通信技術が発達していないため、持つ者は重宝される。
────────
「なるほど、試してみる?」
オンにしてみる。どうやら思考を送信するか否かで切り替えられるようだ。
と、その瞬間、エコーがかかったような弟くんの声が何十にもなって響いて聞こえ出す。
と同時に、私が今考えていることも何十にも響きながら弟くんの頭に流れ込み様な感覚がある。
私は響く弟くんの声の中で、一つに意識を向ける。
『お、おー。だんだんお姉ちゃんの声が聞き取れる様になってきた。』
弟くんの声からエコーがとれていく。
弟くんもこうやったのかな?
『そうそう、お姉ちゃんの声のうちの一つだけに意識を向けてみたのよ。』
あ、こっちの思考…つまりこれも送信されてるのか。
『うん、聞こえる。これって【念話】の上位互換みたいなのかな?』
────────
【念話】
分類:一般基本スキル
入手条件:他者から念話を聞く
視界内の指定した者と、音ではなく念を用いて他者と話すことができる。
念は言語ではないため、民族、種族を超えた交流が可能である。
────────
『だね、こっちはイメージを送る事だってできるし。』
そう言いながら私は猪さんのイメージを思い浮かべる。
あと厳密にいうとさっきの【念話】の鑑定文も、弟くんから送られてきたイメージだね。
『お、香猪。でも確かもうちょっとツノは黄色っぽかったはず。』
私の頭に浮かんでいた猪さんのイメージが、弟くんのイメージによって書き換えられていく…こればっかりは実際に体験してみないとわからない感覚だなー。
『せっかくだし【兄妹思考共有】はオンのままするかー。』
『次は…全部能力を強化する系だね。こんな感じ。』
あーね。
弟くんが読む文字がイメージとして浮かび上がってくる。
────────
【握力強化】
分類:一般パッシブスキル
入手条件:強く握る動作を行う
握力が上昇する。
────────
【小型刺突武器特効】
分類:一般基本スキル
入手条件:小型刺突武器を使用して戦闘に勝利
小型刺突武器を使用した時、攻撃力にボーナスがつく。
また、小型刺突武器を扱う速度が上昇する。
────────
【遠視】
分類:一般基本スキル
入手条件:目を凝らして遠くを見る
はるかかなたの物がぼやけずに、綺麗に見ることができる。
ただし、遠くのものを見ようとすればするほど視野が狭まる。
【遠視1】なら有効範囲は約2キロ。
────────
【重量物移送】
分類一般パッシブスキル
入手条件:重いものを数メートル以上運ぶ
重いものを押して運ぶ時、力が上昇する。
重いものを持ち上げる時も、力が上昇する。
ただし、エネルギー消耗は軽減されない。
────────
『ほらね。』
なるほど、確かに単純に能力を強化する効果ばかりのようだ。
もはやスキル名だけで普通にわかるレベル。
『で、逆に効果がわかりづらいのが…』「…こっからは普通に喋るか…【ヒット&アウェイ】と【散開】。」
弟くんにもガラスナイフを渡し、効果を読見上げる。
────────
【ヒット&アウェイ1】
分類:一般スキル
入手条件:1撃与えて敵から離れる
自分の移動&攻撃速度を+300する。
近接武器の攻撃力を上昇させる。
攻撃が命中したなら、★の能力が発動する。
効果時間は0.5秒。
────────
★:移動速度を+600する。
回避率を上昇させる。
効果時間は0.5秒。
────────
あ、1秒の間に攻撃して逃げると。
「何か不意打ちとかにも使えそうだね。お姉ちゃん良いスキル持ってるじゃん。」
今はしないけど、今度試してみようかな?
「敵がいないと試せそうに無いけどねー。とにかく次。」
────────
【散開1】
分類:通常スキル
入手条件:敵に気付かれないように味方とわかれる。
単独、あるいは少人数での行動時、足音や気配を半減する。
そして、散開前にいた集団の気配をわずかに上昇させ、まだそこにいるかのように思わせる。
移動速度を上昇させると、より効果的。
────────
弟くんのスキルだね。確かに途中で私と別れたもんね。
「こう見ると本当に自分がやったことに応じてスキルがもらえるってわかるねー。」
「僕たちを一挙手一投足監視してる存在とかいるのかあな?」
「まあ、便利な事は確かだけどね。効果も複雑じゃないし。」
「そうだね…で、残りはみんなお姉ちゃんのスキルか。全部似たような名前だけど聞いた事ないやこんなん。」
弟くんがガラスナイフで猪の角を切り落とそうとしてる。
…あんなナイフで角って切れるのかな…?
「えっと…【主要状態異常視認】【HP・MPバー視認】【瞬間ダメージ視認】何か似たような名前のスキルだなあ。」
ま、効果も大体似てるんだろーね。
────────
【主要状態異常視認】
条件:鑑定を使用しながら戦闘
見た相手にかかってる状態異常が、常にアイコンとなって見える。
アイコンは頭の横辺りで、HP・MPバーの下に表示される。
1〜5まで存在し、表示できるアイコンの種類が異なる。
────────
【HP・MPバー視認】
条件:鑑定を使用しながら戦闘
見た相手のHPとMP量が、バーとして表示される。
バーの横には現在値/最大値といった数値も記されている。
1と2のみ存在し、2になると毒などの状態異常で今後減る予想の部分が、表示される。
────────
【瞬間ダメージ視認】
相手や自分がダメージを受けたりした時、その時にHPなどの数値が上下した数をリアルタイムで見れる。
数値の種類によって表示される色が変わる。
1から5まで存在し、見れる数値の種類が増えていく。
1なら『ダメージ量』のみが見れる。
────────
…全部鑑定の結果が見やすくなるスキルじゃねぇか!
スキルの入手条件も簡単だし、弟も鑑定持ってるからすぐ手に入れられそーだな。
「ま、これで全部見れたのかな。」
「そーね。猪さんも大体解体できたしー?」
そう言いながら弟くんが猪のツノを切り落とす…やっと切れたんだ。
私は解体された猪肉の山を見渡す。
「こんだけ小さければ魔導袋に入るっしょー…あれこれは?」
猪のお肉に混ざって、キラキラと光る宝石のようなものを見つける…なんだこれ。
「魔石だよ。猪の腹から出しといた。」
「でも何個もあるよ?」
色も形も大きさも様々だ。
「それは魔物と魔獣の違いを説明しないとね。まず魔物ってのは自身の魔力器官として魔石を持っている…これは分かるよね。」
「まあ…そんな気はする。」
この宝石が臓器の一種ってのもなんか変な感じよねー。
「だけど魔獣は元々魔石を持ってないんだ。だから魔法も使えない。人間と一緒だね。魔獣が魔石を喰らうと、体内の魔石は劣化しなくなってやがてその魔獣の一部になるんだ。」
「人間が魔石入りの武器を使うように、魔獣は喰った魔石を使うのか。」
まあ私達金貨に入ってる魔石で魔法発動させたけどー!
「そう。食べた魔石によって魔獣が得意な魔法も変わるから、魔獣は見た目だけではどんな魔法を使うのか判断できない。ってことさ。」
なるほど、魔石の中にはちょっと加工されてるっぽいのもあるけど…これ猪さんに喰われた冒険者の持ち物…ってこと!?
ヒェ、コワ。
この魔石はどうするの?売るの?
「それなんだけどさ、僕たちまともな武器がないから、魔法発動のためのとしてもっときたいよね。あぁぁぁぁちゃんとした杖とか欲しいなあ…。」
杖ねえ…。
じゃあ何個かは持っといた方がいいのかな。
「ところでもう夜だけど…ここでキャンプする?」
「ここじゃ別の追っ手に追いつかれちゃうかも。ポーション効果が切れる前に早く行かないと。」
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