第3話
21回目から40回目は、馬車から逃げることに努力を注いだ。
というか、もうそこ以外に道が残っていなかったのだ。
21回目、殺される前にと修道院に向かう途中の馬車から飛び降りたら、飛び降りる場所が悪く、岩に身体を打ちつけて死んでしまった。そもそも、周囲が全く見えないぐらいに真っ暗な夜中に、暴れ馬の如く乱雑に馬車を走らせれている御者が悪い。
22回目から27回目までは何度も何度も挑戦したが、馬車から飛び降りる場所が悪かったらしく、毎度毎度岩に身体を打ちつけて死んでしまった。
28回目、やっと飛び降りには成功した。ふわふわの草がベッドになってくれるくらいに良い場所に飛び降りることに成功した。けれど、身体に熱さを感じた次の瞬間にはまた滑稽な婚約破棄の瞬間にループしていた。
29回目から35回目まで同じようなことが何度も何度も繰り返され、36回目、1発目の矢が手に刺さり激痛を覚えたことで、やっとヴァイオレットは何が起きているのかを理解した。
(あぁ。わたくし、暗殺されていましたのね)
遠くから弓矢で打たれ、いつも運良く一撃で死ねていたのだろう。
36回目、ヴァイオレットは激痛に苛まれながら死ぬこととなった。
37回目、38回目、39回目、40回目は弓矢から頑張って逃げようとした。
けれど、結局はあっけなく射殺されてしまった。灼熱に焼かれるような擦過傷はできればもう味わいたくないものだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます