第29話 狙いは先輩と神威

???視点


コツコツコツ


オレ達は、刀と契りをかわして闘っている。

最後の1組になり願いを叶える為にだ。

今現在オレはとある地下にやってきた。そして、目の前の扉を開ける。

そこには3つの椅子のうちの、2つの椅子に座る男達がいた。


「すまんな、遅くなった」


「カハハッ!遅かったな、逃げ出したかと思ったぜ!まぁこの状況で逃げるような腰抜けならオレがたたき斬ってやるがな」


「………」


相変わらずうるさいヤツだ。何がそんなに面白いのか、

今オレを笑いながら話しかけてくる、常に半袖でジーパンを履いている陽気で筋肉質な金髪短髪の男、佐野竜次さのりゅうじ

正直オレはこの男が嫌いだ。見るからに知能の足りない力任せのバカだからな。


「遅れたことは詫びよう、色々と準備に手間取ったのでな」


「ヘッ、まぁいいさ、オレ達は仲間なんだからな。

この程度で目くじらを立てるのはやめといてやるよ」


仲間などとはよく言ったものだ。

この中で真っ先に裏切るのは誰かと聞かれたら満場一致でこの男と言われるだろうと、オレは思っている。

それくらい信用ならない男なのだ。


オレは残りの椅子に腰掛けて、本題に入ることにした。


「では、本題に入ろう。オレ達が集めた刀についての情報を…な」


「オレは刀使いを3人見つけたぜ、全員斬っちまったがな」


真っ先に答える竜次、だが、既に斬ったなら気にすることでもない。

つまりこいつは情報以前に、全て単独で片付けて来たのだ。


「斬ったならいい、貴様はどうだ?幸宏ゆきひろ


先程までずっと黙って椅子に腰掛けてた男、阿形幸宏あがたゆきひろ、こいつはこいつで、何を考えているのかよくわからん男だ。


「2人…気になる奴らがいる」


ほう、この男はかなりの実力者だ。

その幸宏が気になるということは、かなりの実力者なのだろうか。


「そいつらの名前は?」


「里見康太と八九師神威」


「お?強いのかよそいつらは」


「そいつらに、郎詩が負けたという情報を得た」


「なに?」


郎詩だと?アイツは、オレ達もそれなりの実力者として見ていた。

1度オレ達の仲間に勧誘したがヤツはアッサリと断り、その後の情報は集めていなかったが、まさか倒されていたとはな。


「郎詩を倒したのはどっちだ?」


「里見という高校生の小僧だ」


「あん?何だよタダのガキか」


「その小僧1人に、郎詩がやられた」


その言葉を聞いて、竜次がニヤリと口角を上げた。


「面白ぇじゃねぇか、おい!その里見とかいうガキはオレが貰うぞ」


「好きにしろ、どうせいつかはぶつかり合うんだからな」


どのみち倒す相手なら、やりたいというやつにやらせればいい。

無駄に体力を消耗する必要もないだろう。


「神威とかいうガキはどうする?」


そうオレが問いかけると、幸宏がゆっくりと立ち上がる。


「そいつはオレがやろう、その里見とかいうガキが興味を示したガキだ。1戦交えて見るのもまた一興だ」


思ったより早く決まったようで何よりだ。

ならば、ここに長居する必要も無いだろう。

オレ達も幸宏に続いて立ち上がり、この会議を終わらせようとしていた。


「貴様はどうするつもりだ?夏人なつひと


「オレはオレの仕事をこなすだけさ」


そう、オレの仕事を…な




神威視点


「ZZZ……」


「神威、神威、コレ起きぬか神威」


「んぁ?」


つばちゃんと会ってからまた数日経った頃、今現在オレは学校にて、机に突っ伏して爆睡をかましていたところ、椿によって起こされた。


「ふぁ〜っ、もう昼休みかぁ、いや〜腹減ったぁ」


オレはグーッと伸びをして、カバンに入った弁当箱を取り出そうとするが


「残念じゃのう、今から朝のホームルームじゃ」


まさかの朝だとは


「バカヤロウ!なぜ起こした!」


「戯けが、寝るでわないわ」


オレはガックシと肩を落としまえを向き直すと、ちょうどのタイミングで灰人が教室に入ってきた。


「うぃー、お前らぁ今日も問題だけは起こすなよぉ以上ぉ〜」


適当か!!!


と生徒全員から総ツッコミが入っていた。


その後、オレ達は授業をしては叩き起され、授業をしては叩き起されの繰り返しで、ようやく待ちに待った昼休みがやってきた。


「お前、今日も相変わらずずっと寝てたな」


「コレでテストの点数それなりなんだから、何か腹立つな」


いつもの如く、オレと椿の所にやって来ては購買で買ったパンを貪る佐竹と上原

勝手に腹立たれても困るってのに、理不尽の極みだな


「んで?今日も夢でも見てたのか?」


「椿ちゃんとイチャコラする夢だったら親衛隊に通報する」


めっちゃ理不尽、なんで夢見ただけで通報されにゃならんのだ。


「夢なら見てたぞ、神様をお迎えする旅館で働いてた。蜘蛛みたいな爺さんと一緒に」


「千と〇尋じゃん…」


「カエル取り込んでから、千を出せ!っつってたな」


「カオナシの方かよ!」


2人して総ツッコミありがとう。

2人はもう一度椅子に座り直して、黙々と手紙を読む椿に視点を変える。


「椿ちゃん、またラブレターかい?」


「はい、今日は4通程」


椿がニコリと笑って返答すると、2人は目を見開かせて驚愕する。


「今日はって…毎日下駄箱とかに入ってんの!?」


「ええ、入ってますよ。全て断ってますけど」


「今日も既に2通断ってんだぞこいつ、田村と吉浦先輩と」


「野球部のエース候補と、バスケ部のエースじゃねぇか!!!」


「さすがは学園三大姫」


ん?何か不穏なセリフが聞こえたような

オレは不穏なセリフを発した上原に問いかける。


「おい、なんだよそれ」


「お前知らねぇの?この学校にはな、三大姫と呼ばれる美少女がいるんだよ」


何そのラブコメみたいな設定、これ考えたやつアホなんじゃねぇの?設定盛り込みすぎると読者は離れちゃうんだよ?


「で、その三大姫の1人が椿ちゃんって訳」


「ふーん」


オレは紙パックのジュースを飲み干して、少しばかり気になったことを聞いてみる。


「あとの2人は誰なんだよ」


「3年の雪代先輩と2年の琴乃先輩」


1学年につき1人って訳ね。

手紙を読み終えた椿が、弁当を食べつつオレに視線を向けてきた。


「神威、この後も1人呼ばれてるから着いてきてくれない?」


「次は誰だよ?」


「相変わらず宛名は不明よ」


「?なんで椿ちゃんが呼ばれてんのに神威が着いてくんだ?」


「ボデ〜ガ〜ド〜」


オレは気の抜けた感じで返答し、弁当箱を片付ける。

するとそこにある人物がやってきた。


「ちょっといいかしら?キミ、八九師くん…よね?」


オレは呼ばれた方向をぱっと振り返ると、そこには白髪を腰までの携えた黒い瞳が目立つ美人な女性が立っていた。


「ワオ、超美人」


ギュウッ


「つあきひゃん、ほほをひゅねるのはやえて(椿さん、ほほをつねるのはやめて)」


「あの……いいかしら?」


あ、しまったこの人の事忘れてた。


「すんませんっした。で?何でしょう」


「あなたにお願いがあるの」


お願い?なんだろう。


「私の、彼氏になってくれない?」


「Oh修羅場勃発」

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