第28話 友達
「待ちに待った休日だぁ〜!!」
今日は学校が休みで、オレは今全力で休日を謳歌しようとしていた。
「さーて何しようかなぁ?ゲームするもよし、遊びに行くもよし、1日ゴロゴロするもよ「神威、夕飯の材料が足りないの、買ってきて」沙耶にでも頼んでちょーよ」
これから何をしようかとウキウキしてる時に、おふくろからお使いの頼み事だ。正直やる気はない。
「無理よ、だってあの子朝から出掛けてるんだもの」
あんにゃろう、こーなる事を見越して朝っぱらから出かけやがったな。
「おふくろが行けばいいじゃん」
「いいけど……じゃあ私が出掛けてる間に家の掃除と洗濯と庭の草むしり、お願いね。
あと、今日の献立がすき焼きから肉じゃがになるけ「何を買ってきましょうかマイマザー」…」
別に肉じゃがが嫌いと言う訳では無いが、どうせなら豪華な夕食が食べたい。それに、家にいる方が大変そうだし。
「はぁ、まぁいいわ。買ってくるのはみりんと牛肉とじゃがいもと玉ねぎ、あと人参と白滝ね」
「夕飯肉じゃがじゃねぇか!!!つーか肉じゃがの材料ひとっつも家にないのかよ!!!」
「お醤油や砂糖はあるわよ」
「調味料じゃん?!!!」
何はともあれ、行く姿勢を見せたからにはオレが行くしかない。
オレはパパっと着替えて出掛ける準備を済ませて玄関に向かう。
「待つのじゃ神威、妾も行くぞ」
支度を済ませていざ行かん!って所で椿に引き止められた。
「お?おめぇも行くのか?」
「うむ、外は危険がいっぱいなのじゃ。いつ神威が襲われるか分からんからの」
「ほうほう、んで、本音は?」
「神威と買い物デートじゃ」
うんうん、素直な子は嫌いじゃないぞ。
「あー!お姉ちゃんずるい!ういはもご主人とお買い物行くー!」
椿とのやり取りをしてる間に、出かけようとするオレを見つけて、ういはもやって来た。
買い出しひとつのなにがそんなに楽しいの?君たちは
「あら、ういはちゃんもお買い物行ってくれるの?だったら用意してあげるからこっちにいらっしゃい」
「はーい!」
おふくろに呼ばれて、ういはは嬉しそうにおふくろの下に駆けて行く。
「つーか、3人いるなら別にオレは行かなくてもよくね?」
「なら家の掃除と洗濯と草むしりよ「喜んで行かせていただきます!!」」
ちくしょう!直ぐに交換条件を持ち出してきやがる!
「むぅ、2人きりじゃないとデートじゃないと言うのに」
だから、ただのお使いだっての。
若干不貞腐れる椿をなだめていたら、準備ができたういはが戻ってきた。
「お待たしぇしましゅた!」
「わざと噛んでる?」
「ほえ?」
もはや噛みすぎだよねこの子、まぁ可愛いんだけども。
「あらあら、こーやって見ると新婚夫婦みたいねぇ」
「ふ…ふふふ夫婦?!」
「モジモジするんじゃありません」
けど、どーやら椿の機嫌も直ったらしい。よかったよかった。
機嫌も直ったことだし、出掛けるとしましょうかね。
その後オレ達は歩いて、近くの商店街にやって来た。
「さてと、とりあえずじゃがいもとか野菜辺りから探すとしますかね」
「それなら向こうの八百屋にあるぞ」
しれっとした顔で、椿が商店街の奥を指さしていた。
「なんで知ってんの?」
「当たり前じゃ、妾だって手伝いくらいするのじゃからな買い出しくらい何度もやって来たわ」
いつの間にそんなことしてたの?
「あら椿ちゃん!今日も可愛いわねぇ!」
「椿ちゃん!今日はいい鱈が入ったんだ!買ってかないかい?」
「ありがとうございます。また後で寄らせてもらいますね」
すっげぇ人気…いつもこんな感じなのか椿って
「お姉ちゃん大人気だね!」
「ふふん、まぁの」
「オレより人脈あんじゃねぇの?」
なんだかんだで、色んな店の人に声掛けられてはオマケやらなんやら貰って、気がつけば両手いっぱいに荷物が溜まっていた。
「なんで商店街選んだかよく分かった」
「じゃろ?やはり買い出しはここに限るのぅ」
「いっぱいだね!」
全ての買い出しを終えて、今現在オレ達はベンチに座り、肉屋で貰ったコロッケを食べて一休みしていた。
すると、とある男子がベンチに座るオレを見て呆然としていた。
髪の毛は茶色いストレートヘアーで、ほっそりとした体型だ。どこか幼げだが大人びた雰囲気も感じさせるような柔らかな顔つきでオレと同じくらいの歳と思う青年だ。
「…かっちゃん?」
「?」
かっちゃんって…懐かしいな、オレがそー呼ばれていたのは小学生の頃以来…って
「もしかして…つばちゃん?」
「やっぱり!かっちゃんか!」
「「?」」
喜び合うオレ達を他所に、椿とういはは首を傾げていた。それもそうか、紹介したことないもんな。
「紹介するよ2人とも、こいつは
「古いだなんて、今でも友達だろ?オレ達は」
「あぁ、そうだな、んでもってつばちゃん。こっちが椿とういは、今家で一緒に暮らしてんだ」
「な!?」
?どうしたんだ?そんな驚いた顔して、何か変なこと言ったかなオレ
「まさか……しばらく会わないうちに奥さんどころか子供まで作っていたなんて「ちょっと待て!!!今君は物凄く大きな誤解をしている!!!」?」
なんて想像してくれちゃってんの?!!!トンデモ発言するじゃないかつばちゃんは。
「居候だよ居候」
ギュウッ
椿さん、黙って脇腹つねらないで、物凄くイテェっす。
「椿です。今は神威さんのお宅でこの子共々居候している身です。どうぞよろしく」
「ういはです!はじめまちゅっ、ちて!」
「…噛んだ。柳葉翼です。よろしくね」
椿は満面の笑みで挨拶をし、ういはは元気に挨拶をする。
って椿さん、どーして今はを強調するんですかね?
「あ、そういえばおじさんやおばさんや沙耶ちゃんは元気にしてるのかい?」
「元気も何も、今日も現在進行形で奴隷のようにこき使われてる最中よ」
「アハハ、相変わらずだね。君のお母さんは」
なんだかこうやって昔の友達と話すのは、とても楽しいな。
「そうだ、つばちゃん、今日良かったら家に来いよ。夕飯一緒に食おうぜ」
「え?でも、いいのかい?おばさん達は」
変なところで心配するやつだな、そんなもんいいに決まってる。
「大丈夫だって、オレのおふくろの性格知ってんだろ?むしろ連れてこなけりゃジャーマンされるわ」
「アハハハ、またまた冗談ばっかし」
いや、これが満更冗談でもねぇのよね。
「それじゃあ、せっかくだしお邪魔しようかな」
「おう、ドンと来いや!」
買い物をさっさと済ませて、オレ達はつばちゃんを連れて即座に帰宅、夕飯まで時間を共にし、ワイワイと楽しく話をしていた。
「にしても大きくなったな翼くん、あの頃よりイケメンになったぞ」
「ありがとうございます。おじさん」
「ほんとほんと!お兄よりイケメンだよ。お兄、顔面偏差値分けてもらったら?」
「大事な大事な二枚目顔を変えてたまるか」
「でもホントにカッコよくなったわねぇ、翼くん」
「おばさんこそ、昔から変わらずお綺麗なままで」
おふくろが綺麗?つばちゃんは幻覚でも見てるのか?
「何言ってんだつばちゃん。おふくろの顔をよく見ろ。昔よりほうれい線が増えて膝の関節があらぬ方向にぃぃぃぃ!!!!!」
このババア、オレの言葉を遮って膝十字固め決めてきやがった。
「言いたいことがあるならじっくりと聞くわよ神威」
「ならば言わせてもらおう!その間接はそっちには曲がらなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「今のは神威が悪い」
「ご主人、痛そう」
???視点
翼が友達の家に行くって言ってから、私はあの商店街から気づかれないように着いてきていて、今現在袋に入ったお菓子を食べながら翼が出てくるのをずっと待っている。
「おそいなぁ、翼」
今か今かと待つうちに、すっかり日もくれてしまい諦めて帰ろうかと思った時に、ようやく翼が友達の家から出てきた。
「翼!!」
今の私の顔は、とても嬉しそうだったと思う。
私は大きな声で翼を呼んで翼の下に駆け寄った。
「!
翼は優しく私の頭を撫でてくれた。これが私にとってとても心地いい最高のご褒美だ。
「うん!だって少しでも長く一緒に居たかったんだもん!」
「アハハ、ありがとう。それで?見つかったのかい?探しているって言ってた五大刀輝は」
「ううん、今日は全然分からなかった。でもいつか会えるよ!」
「そっか、それじゃ帰ろうか」
「うん!」
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