第24話 カウンター
『戦闘準備は出来ておるな?神威』
「とーぜんっしょ、いつでも準備万端!」
オレは、椿を構えて体制を低くする。
『構えも良くなっておるな、体制を低くすることにより守りを固められておる』
椿の教えでここまでサマになったオレだが、問題が1つ。
「こっからどーすりゃいいの?」
『散々戦闘してきたのに忘れるやつがあるか!!!』
椿の鋭いツッコミが入ったが、ここは言わせてもらいたい。
「しょーがねーじゃん!オレ達の世界じゃ一日でも、作者の世界じゃアホほど時間経ってんだよ!!!浦島太郎もビックリなんだよ!!!作者三日坊主なんだよ!!!」
『危うい発言はやめんか!!!』
事実だから仕方ない、とにかくやるだけの事はやっておこう。
「お二人共、イチャイチャするのは後にしてよ」
『「イチャイチャしてない!!!」』
オレ達のやり取りを見ていた彩乃さんが、呆れた声で話しかけてくる。
「ほら、しっかりと相手を見ないと」
彩乃さんの指示で前を見ると、男が剣先をオレ達に向けていた。
「貫け」
男がそう言うと同時に、オレ達は何かやばい気配を感じ、その場から飛び退いた。
ズガァァ!!と何かをえぐるような音が聞こえ、振り返るとオレ達の居た地面が抉られていた。
「こっわっ、何あれ?アレが車を潰した攻撃?」
『それにしては衝撃の範囲が狭すぎる。おそらくまだ何かあるじゃろう。用心するんじゃ神威』
「了解」
オレは奴の刀に意識を向けながら、刀気を纏わせる。
「行くわよ!奏多!」
オレ達が前に出るよりも早く、彩乃さん達が男に向かって行く。
「あの人!!何やってんの!!?」
『自殺行為じゃぞ!!』
何の策もなしに敵に突っ込んだら、それこそいい的だ。だが、彩乃さんはそんな事気にもとめずにズンズンと前に出て行った。
「浅はかだな、当ててくれと言ってるようなもんだぞ」
男は彩乃さんに刀をむけて、能力を使う。
「貫け」
「彩乃さん!!!」
彩乃視点
「しょーがねーじゃん!オレ達の世界じゃ一日でも作者の世界じゃアホほど時間経ってんだよ!!!浦島太郎もビックリなんだよ!!!作者三日坊主なんだよ!!!」
敵を前にして余裕だなぁ神威くん。
『アイツら、何をしてるんだ?』
「さぁ?」
奏多にも呆れられているし、可哀想な神威くんだこと。
私は奏多を強く握りしめて構えながら、神威くんに声をかける。
いや、正確には神威くんと椿ちゃんかな
「お二人共、イチャイチャするのは後にしてよ」
「イチャイチャしてない!!!」
『絶対してたな』
うん、私もそんな気がする…
なんにせよ、相手から意識そらせちゃダメでしょ。
「ほら、しっかりと相手を見ないと」
私が男に指を指していると、男は私達に刀の先を向けていた。
「貫け」
『来るぞ!!!彩乃!!』
「分かってるよ」
私は奏多を握りしめて、横に跳び退いた。
そして、跳び退きざまに私は地面に足をつけて男に向かって走り出す。
「行くわよ!奏多!」
『了解!』
男は私を見て剣先を向けた。
「馬鹿が、死にてぇらしいな」
『来るぞ、彩乃!』
「分かってる!」
男の能力はまだ分かってない、けど、あの距離から攻撃出来てたってことは遠距離攻撃なのは確かなはず。でも!私にそんなことは関係ない。
「このぉ!!」
バゴォン!!!と巨大な音を立てて、私の目の前には男が出したであろう石の塊、そしてその石の塊を防ぐ盾の姿があった。
と言っても、盾は私が奏多と作ったんだけども。
「そのまま行くよ!奏多!」
『オッケー』
盾の姿の奏多を変形させて、今度は薙刀へと姿を変えさせる。
「どおぉぉりゃぁぁ!!!」
私は薙刀になった奏多を振り上げ、男の目の前に着くと、一気に薙刀を振り下ろす。
けど、男は身体を半身に避けて奏多を振り下ろしきった私の顔目掛けて刀を突いてきた。
「んくっ…」
私目掛けて突いてきた刀を、顔を横に反らせて回避して、そのまま薙刀を横に振りきった。
「おっと」
けど、男はアッサリと私の攻撃をかわすと1度後ろに下がって距離をとる。
「あーもう!惜しいっ!」
神威視点
「す…すげぇ」
オレは彩乃さんの後ろで、ずっと今の光景を見ているしかできなかった。
彩乃さんは男の攻撃より早く、奏多に指示を出して目の前に自身を隠せられるほど巨大な盾を出したんだから。
驚くなって方が無理だ。
しかも、その盾は薙刀へと姿を変えて物凄い攻防を見せたんだ。正直マジカッケェ
『ボーッとしておらんと、妾達も加勢するぞ』
「つっても、彩乃さんひとりで事足りるんじゃねぇの?」
今現在、そこまで彩乃さんがおされてるようには見えないし、あんなカッケェ防御あるならむしろ優勢に見えるし、ぶっちゃけオレ必要ないんじゃ?状態になってんだけど。
『分かっとらんの神威、あの二人には足りないものがある』
「足りないもん?そんなのあるか?」
『つい最近までお主も使えなかったものじゃ』
最近までオレも使えなかったもん…?
「領域展か『今でも出来んし今後もできる予定はないわ戯け』さいですか」
じゃあ何よ、オレ知らねぇよ?
『刀気じゃ、彩乃達には感じられんが、相手の男からはうっすらと感じる。
あの男は無意識に刀気を出し始めとる。つまり、達人の域に入りつつあるんじゃ』
え?刀気って達人になれば出せんの?じゃあ今までの修行は何よ?
『神威が今までしてきた修行は、達人の域に達する前に刀気を使えるように修行してきた。言わば段階を飛ばして刀気を使えるようにしてきた訳じゃ』
それって、大丈夫なわけ?暴走したりとかのリスクとか
『本来、このやり方で刀気を使えた者はほぼおらぬが、神威なら出来ると信じてやってきたのじゃ』
こいつ…そこまでオレを信じて、
『あと、このやり方をすると刀気が暴走して強烈な痛みがはしる可能性もあった』
「やっぱリスクあるんじゃん!!!」
なんつー恐ろしい賭けしてくれちゃってんの、この娘っこは!!
『じゃが、そなたはそのような事にならず妾の信じたとおりになったじゃろ』
要するに結果オーライって事ね…なんか釈然としない!
『ともかく、今は彩乃が優勢じゃが、恐らく逆転されるのも時間の問題。だからこそ妾達の援護が必要なのじゃ』
ってことは、余裕かましてる場合じゃねぇな。
「そーゆーことなら、行くぞ椿」
『うむ!』
オレ達は地面を強く蹴り、男の真上に一気に飛び上がる。
「『桜花流 鬼灯 』」
空中で椿を下に向けて、男を突き刺す勢いで真っ直ぐに落ちる。
タッと男が後ろに飛び退き、華下を外してしまったが、オレ達はまだ止まらない。
「『桜花流
華下の構えから、男の顔に椿の切っ先を向けて、そのまま椿の柄を蹴り飛ばす。
「うっ!」
パシッと男が椿を白刃取りで受け止めたと同時に、オレは奴との距離を詰めて椿を握り、真下に刀を振り下ろす。
「『桜花流 彼岸花』」
身体を仰け反らせ、振り下ろした刀を見て体制を戻す男に、オレは持ち手を変えて握り直した椿を振り上げた。
だが、ガキィン!とオレの振り上げる刀を、奴は自分の刀で防いでいた。
このコンボ止められるって、マジかよ。
「伏せて神威くん!!」
後ろから聞こえた綾乃さんの声を聞いて、オレは深くしゃがみこむ。
すると、後ろから綾乃さんが先程まで持ってなかった銃を男に向けていた。
「いけっ!」
綾乃さんが射ち出した弾は、男に向かって真っ直ぐ飛んで行き、その弾が男の額に当たる直前に男は弾と自分の額との間に自身が作った石を割り込ませて弾を防いでいた。
「あーもう!」
こいつの能力が分かった。多分
「アンタの能力、石を生成して操る能力か」
「あぁ、さすがにもう分かるだろう」
まぁ、あれだけ見てりゃあそりゃね。
「そんなことはどーでもいいのよ!私の車弁償しなさいよ!ほら、早く!」
どーでもいいんだ…
『ともかく、あやつの能力は分かった。ここからは戦闘のやり方を変えるぞ神威よ』
「あいよ」
「綾乃さん!1つ作戦が!」
「?作戦?」
オレは、刀を下に下げて全身に刀気のオーラを纏い受けの体制に入る。
「遠距離タイプの敵だけど、見せてやるよカウンター」
「カウンターって言ったらあいつ攻めてこなくなるわよ!!?」
そんな事は百も承知、その為の綾乃さんだ。
「綾乃さん!とにかく攻めてください!」
「カウンターの意味分かってる?!!」
そうこうしてる間に、男が巨大な石、もはや岩と呼べるくらいのサイズの岩石をつくりあげていた。
「オレはタイミングを見計らってカウンターを放ちます。それまで綾乃さんがアイツの注意を引き付けてもらいたいんです!」
「私、今アナタと手を組んだ事を物凄く後悔してる…」
言いたい事は後で死ぬ程聞いてあげよう、今はこれが最善策だから。
「椿、オレは今日別の意味で死ぬかもしれん」
『妾は逃げるぞ』
「裏切り者!!!」
「話し合いは済んだか?ならさっさと死ねよ」
男が溜めに溜めた岩を、オレ達に向けて放ってきた。
「綾乃さん!お願いします!」
「あーもう!後で奏多の着せ替えで鬱憤晴らしまくってやる!!!」
ごめん奏多よ。君は尊い犠牲だった。
『アイツ、オレの事見捨てやがった!!!』
なんてセリフが何となく聞こえてきた気がする……
「奏多!大太刀!」
綾乃さんが奏多を大太刀に変化させて、巨大な岩に振り下ろす。
「どぉぉぉりゃぁぁ!!!」
ガキィィンと凄まじい音を立てて、奴の岩と綾乃さんの刀がぶつかり合う。
「頼みましたよ、綾乃さん」
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