第28話 5
そして、部活部は始動する。
吹奏楽部でお客として呼ばれた。何でも漠然と演奏するのではなくて、お客がいる状態での演奏の方が実践敵だそうだ。
俺は居眠りコケていたが、あいつは拍手を送っていた。
その次は野球部。
野球部のキャプテン、五十嵐先輩が会ってそうそうあいつに告白して野球部員が盛り上がったが、こっぴどく振られた。
「あなたとそういう未来を描けない」
とのことで、どんなやつならあいつと共に描く未来を感じさせるのだろうか?
と訝しんでしたら、野球部員の一人が、
「羨ましいぜ」
とぼそっと言われた。
羨ましい?
誰が?
俺がか?
あいにくその野球部員は他の野球部員に紛れてしまった。
次は、女子バレー部。
あいつが得意な種目だ。
次々とサーブを決めていく様を見せつけられて、女子バレー部の部長小野先輩が
「詩翔雪ちゃん、ちょうだい」
と軽々しく言うので、
「ダメです」
ときつく窘めておいた。
次は水泳部。
裏方は俺の仕事で、あいつは士気をあげる役だ。
水泳部員(主に男子)が浮ついている。
間近であいつを見たことがないのだろう。
あいつは隠れ巨乳なのだ。
だから、部活が終わる間際、上着を脱いだ水着姿のアイツを見た男子部員が、
「ガハッ」
と吐血と鼻血を出した(ような音がした)。また、プールでぷかぷかと浮いている。
あいつと三永遠が遊ぶ姿を、男子部員はぷかぷかと浮きながら見ていた。
「お前ら……バレるなよ」
男としての本能と女子への過剰な反応により、愚息がたってしまっていた水泳部員男子だった。
そして、最後は文芸部。これで今週の文は終わりだ。
あいつが書く物語に興味があったが、まず自分のを完成させねばならならない。
「……………………………………」
皆が沈黙して書いている
集中力が半端ではない。
閑静な空間だった。
ただ一人、俺への殺意を抱きながら、原稿用紙に書き込む生徒がいた。俺は気づかないふりをしたのだが、めっちゃ怖かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます