第24話 1

 詩翔雪極はハイスペックな女子だ。見た目も頭も運動も気遣いも標準から少し良いのだ。

 しかし、残念ながら、彼女には致命的な欠陥がある。

 笑わないのだ。

 本人曰く、笑うという行為が根本的にわかっていないらしい。

 だけど、一度その笑顔に準ずる姿を見た者は、

「!!!!」

 言葉が文字道理出なかったらしい。

 そして、

「畜生!」

 と、俺に恨みしげな視線をやる。

 それは、男子だけではなかった。

「キー!!」

 ハンカチを口にして奇声をあげる女子もいた(本当にそういう風にするやつが存在したんだ……)。

 男女両方に妬み、嫉み、憎まれ、悔しいと吐き捨てられる。

 それが、俺という存在だ。

 だけど、それでも俺はあいつがもっと普通の生活を送れるようになるためだったら、尽力してやりたい、そう思っている。

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