第13話 12

 今日は土曜日で、希望者だけのテストを受けている。この高校は国語・数学・英語において希望すれば、期末試験とは別にテストを受けることができる。

 伊田は、

「ただでさえ、非公認なんだ。ここらへんで先生のご機嫌を取っておかないとな」

 とのことで、一応あいつは部長だから、部長命令で受けている。

 でも、まぁ、私は予習と復習をしっかりしているし、テストは嫌いではない。むしろ好きな方だ。自分の弱点が明確に浮き彫りになるので、早めに対処できる。

 実際、希望者の全員は、勉強に苦手意識はないようだ。少なくとも余里も受験しているくらいなのだから、むしろ受けない方が目立つ。

 テストは午前中に終わり、答案用紙は月曜日に返却される。

「極、終わったね。MUC行かない?」

「行く」

 私は余里とMUCに行くことにした。

 MUCで私はシェイクを頼んだ。余里はじゃがいもをすり潰して揚げたものとシェイクを頼んだ。

「うちらさ、もう二年生じゃん? 進路どうする?」

 余里はシェイクを飲む。私も一口飲んで答えた。

「私は進学かな。就職はまだ考えられないし、まだ勉強する必要があると感じるし」

「進学か〜。極は頭良いし、内申点もよいだろうから、いいね〜」

「余里は進学、諦めるの?」

「したいんだけど、内申点は期待できないし、そもそも、大学までいって勉強したいと思わないんだよね」

 唇を尖らせて言う。

「だけど、就職はもっと考えられないんだよ。まだ遊んでいたいな」

「まぁ、大抵がそう思うよ」

 二人の間にしばし沈黙が訪れた。

「…………伊田はどうするって?」

「あいつ? あいつは進学で、哲学を学びたいって言っていたよ」

「て、哲学〜!? まぁ、ニッチな学問を学ぶんだね〜」

「”生きる”とはなにか、とか、”愛”とはなにか、とか、自分で考えてみたけど、いきづまったから、専門的に学びたいんだってさ」

「ふ〜ん、あいつはあいつで真面目だね〜」

 余里はパクパクと食べて、シェイクで流し込む。私はその姿を見ていた。

「極もあいつのことになるとそんな顔になるんだね」

「へ、顔? 何か変な顔していた?」

 私が戸惑い、聞き返した。

「だから、極はー」

 余里が答えようとしたときに、

「へーい、かわいこちゃんたち。俺たちと熱い夜を過ごして見ないか?」

 邪魔者が入ってきた。

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