第12話 11

「五十嵐先輩って、そんな性癖があったなんて、ウケるー」

 余里はゲラゲラと笑った。

「この学校の人って、変態が意外と多いのかしら?」

「ボーイッシュガール萌えは変態ではないと思うけど……」

「わからないわよ、それは」

 余里はお弁当の卵焼きを口に含んだ。

「意外と身近にそういう変態がいるのかもしれないね」

 余里の視線は伊田に向かっている。

「伊田はそんなの全然ないよ」

 伊田の名誉のためにフォローしておいた。

 それに、私は人それぞれの性癖については無頓着、という関心が無い。だから、別に人の性癖について追及することもしない。けれど、

「せめて、中身を好きになってもらいたかったな…………」

 私はそう言葉を漏らした。

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