第10話 9

 今日は部室で休息を取っている。あまも降っていて何かと憂鬱だ。

「伊田」

「うん?」

「暇だね〜」

「ああ」

 伊田とこうして二人でのんびりしているのは、小学生のとき以来かもしれない。

 当時、私は引っ越ししたばかりで友達が出来るか不安だった。そんなときに、手を差し伸べてくれたのが、伊田だ。

「一緒に遊ぼうぜ!!」

 伊田は、今と違ってぽっちゃり体型だった。私は、当時からもあまり笑わない少女で、よく私を指さして、嗤われたこともあった。

 だけど、そんなこと、どうでも良かった。

 私は伊田と遊べることがとても心地良かった。伊田とはそれから高校まで一緒に過ごしてきた。

 私が見た目を気にするようになったのが、高校一年生。

 その頃、伊田もぽっちゃり体型から体を絞り、まるでアスリート体型に変わっていった。

 私が変わっていくように、伊田も変わっていった。

 まるでお互いに相乗硬貨を生み出しているように、だ。

 それから、私は、伊田といる時間が心地よく感じていることが多くなっっている。

 それは伊田も同じように感じていることなのかもしれない。

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