第9話 8

 今日は、文芸部部室にいる。今日は文芸雑誌に寄稿するための原稿を書いている。

 静寂の中に、筆音がさらさらと奏でる。

 私はひたすら言葉を綴っていた。

 今回は伊田も寄稿するようで、原稿を書いている。 

「…………………」

 皆、無言で書いている。この時間は私にとって、心地が良かった。

 いつも伊田は男子生徒から恨み言を言われている。今日は、誰も伊田に恨み言を言っていない。

 そう思っていたけど、ふと周囲を見ると、

『ずるいずるいずるいずるいずるい……」

 と同じ言葉を書き連ねている女子生徒が発見した。

「………………」

 私は見なかったふりをした。

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