第2話
第2話「連鎖」
大場美沙は、夫の死後、短期間で会社経営の全てを背負うことになった。しかし、彼女はこれまで主婦業に専念していたため、ビジネスの知識や経験は乏しかった。それでも、夫の会社を立て直そうと、一歩ずつ進む彼女の背中は、瑞希にとっても励みとなっていた。
小岩井圭は、美沙の支えとして、その特異なスキルを駆使して、会社のデジタル化や業務効率化を進めていた。彼のユーモラスな言動や発想は、厳しい状況の中での社内のムードメーカーとなっていた。
ある日、瑞希は橘とカフェで密談していた。カフェの窓の外を通る風が、木々を揺らし、瑞希の髪を撫でていった。
「このままだと、美沙さんの会社、なんとかしないとマズイんだ。」瑞希は一抹の不安を隠しきれない様子で言った。
橘は彼女の言葉を黙って聞いていたが、その眼差しには瑞希とともに何かを築き上げたいという強い意志が宿っていた。
「新しいビジネスモデルを考えて、美沙さんの会社に提案すれば?」と橘が提案した。
瑞希は少し驚いた表情を浮かべながらも、橘の言葉に納得の色を見せた。「それができれば、経営の軌道修正ができるかもしれない。でも、それには強力なパートナーシップが必要だわ。」
その夜、瑞希は米井田疇との夕食を楽しんでいた。食事を共にしながら、二人の間には互いの温かさや安心を感じる時間が流れていた。
「疇、私たちはこれからどんな選択をすればいいのかな」と瑞希はふと、深い思考に耽るように言った。
疇は彼女の手を取り、心からの言葉を伝えた。「俺たちが選ぶ道は、俺たちだけのもの。どんな困難も、二人で乗り越えられる。」
しかし、この安定した時間も長くは続かなかった。翌日、瑞希は上層部からの呼び出しを受けることとなった。そして、彼女の耳に入ってきたのは、会社の売却の話だった。
新たな困難が、瑞希たちの前に立ちはだかる。
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