昭和時代の如し令和のカクヨム

 しつこいようで大変申し訳ないがな、カクヨムとかいうサイトって、他のプラットフォームと比べて明らかにコンテンツの検索機能が貧弱じゃないか?


 読者の皆様方の多くは、自らの足で書店に赴いて紙媒体の本を買うことがあるだろう。今は電子書籍で事足りているという方も、ひと昔前は近所の古本屋や図書館に繁く通っていたことがあるのではなかろうか。


 そういった書籍を取り扱う施設に向かうと、大抵は店舗在庫を一括で確認できる電子端末が用意されている。そう、パソコンみたいな見た目のアレだ。まあ、それこそ昔ながらの小さな古本屋とかには、その手の最新機器はないにしろ、本棚に収められた書籍に関しては「ビジネス書」「学術書」「自己啓発本」「雑誌」「ノベル」とか、ある程度のジャンル分けがされているだろう。勿論、子供の目には毒となり得る官能小説だとか、ちょっとグロテスクな作品はパーテーションで仕切られて「18歳未満のお客様の立ち入りはご遠慮ください」とか、最低限の配慮があるもんだ。


 カクヨムにはこれがない。一応、小説作品を投稿する際には作者側から「セルフレイティング」という形で「暴力描写」とか「性描写」とか、該当する要素を自己申告でラベリングすることが求められているようだが、これ本当に機能しているのか? 何の前触れもなく初っ端からえげつない下ネタをぶちかましてくる作品、結構な頻度で見かけるぞ。


 そもそもな、こうした要素を作者の主観的な判断と良心に任せ切りにして、読者の側から能動的に性的・暴力的その他望ましくない・目に入れたくないコンテンツを排除できないというのはかなりの問題だ。昭和時代(僕は生まれてすらいないが)、老若男女問わず全ての日本人の娯楽だったテレビでモザイクなしの女体がばんばん映ってた頃と何も変わっちゃいない。時代錯誤も甚だしい。


 検索機能をよーく見てみると、確かに「+除外条件」というところから作者がセルフレイティングを設定した作品に限り検索条件から除外することができるようだが、これがまあ分かり難い。だいたい、この手の性的・暴力的コンテンツを避けようとするのは18歳未満の未成年が主だとするならば、そういう年齢層にとっても分かり易い表示の方法を心掛けるべきではないのか。それ以前に、作者が自主規制していない(あるいはし忘れた)エログロ作品が蔓延している現状に誰も疑問を抱かないのか。


 カクヨム上で小説を検索しようとするとき、特定のコアなジャンルを求めている読者様は苦労することだろう。カクヨムでは12種類の作品ジャンルと一次創作か二次創作かという分類しか存在せず、例えば「恋愛」なら同性愛なのか異性愛なのか、また「ファンタジー」といえば異世界か現代かに限られるがタイムスリップ的なファンタジーはそのいずれか、あるいはSFに属するのか、一口に「ミステリー」と言っても、それは広義のものなのか、狭義のものなのか(「ホラー」との境界線は?)。全く以て不明瞭である。より詳しく作品を絞り込みたかったら、検索窓に適当なワードを打ち込んで、小説のタイトルかタグに引っ掛かってくれることをお祈りするしかない。なんて不便なんだ。


 もしカクヨムのようなサイトが実際に書店として存在していたなら、僕は客としてこんな店使いたくもないし、自分に子供が居たら絶対に行かせたくないだろうな。その辺に積み上げられた本の束の中に思わず眉を顰めたくなるようなエログロコンテンツが挟まってるかもしれん。ブック〇フと大差ない。すまない、多分ブック〇フの方が、いや絶対にこっちの方がマシだ。


 こっからは小声で話すが、そもそもしっかりとレイティングしたとて、カクヨムのレイティング設定の基準は"R15"相当であると説明されているように「自主規制した」という事実に胡坐をかいて、何でもかんでも自由に書いて良い場所じゃないからな。最近(世の常かもしれん)、エロモノというか、性的な要素がひとつのブームとして描かれているように感じるが、性描写というものは登場人物の関係性を立体的に描写し、深みを持たせるためのスパイスに過ぎないと僕は考えている。いくらカレーがウマいからって、スパイス入れ過ぎて粉っぽくなったルーなんて食いたくない。過ぎたるは猶及ばざるが如しと言うように、性描写ばっかりの作品は立体的かどうかも分からん、解像度最低のがびがびになった写真みたいに残念でつまらない。


 巧いこと例えようとして全く伝わってない気もするが、これが蛇足というもんだ。バランス良い食事ができるよう、反面教師にしてくれ。


 ──おしまい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る