常識とは大人になるまでに習得した偏見のコレクションとかなんとか
今まではこうして思うことがあると、わざわざ創作論って形で短編を一本書いて投稿してたんだけど、昨今の創作界隈に身を置いていると違和感を覚えることがあまりにも多くて、面倒だから短編集って形で始めたのが本作なのね。だから歯に衣着せぬ物言いで恐縮だけど、ここでは好きに語らせてもらうから。
皆は小説の作法ってどこまで気にしてるかな。まあ自分の作品を世に出すというか、世界中の誰もが閲覧できる状態にする以上は最低限のお化粧は整えたいだろうから、一度はProf. Googleとか、今だとProf. ChatGPTに相談を持ち掛けたことがあるんじゃなかろうかい?
というか、ただでさえ自らの想像力が暴走した成果物である「小説」を投稿するのに、文芸におけるマナーも知らずに公開ボタンをポチった猛者がいるとすれば、それは語弊を恐れずに言うと「恥知らず」だよね。勇気と無謀は別物だって良く言われるじゃん。
まあでも、僕も僕で、こと「小説」という文学作品における作法を完全に網羅・習得し、確実に再現できているかと問われれば、そこまで自信はないよ。Prof. GoogleもProf. ChatGPTも、あれで意外と人が悪いからね。結構な確率でフェイクニュースを届けてくる。だからさ、これを機に僕と一緒に小説の世界の「常識」とやらをもう一度勉強し直してみないかい?
まずは初級編。小説のみならず、義務教育を終えた人なら誰もが分かる文章の作法って、なーんだ? 何なら、親切にもカクヨムは新しい作品を書くときに「編集サイドバー」というところから「記法と整形」っていう機能を搭載してくれているみたい。そう、答えは段落先頭の字下げ(インデント)のことだね。
──え、今「そんなの当たり前だろ」って言った? 甘く見ちゃいけないよ、紳士淑女の皆様方や。驚くなかれ、こんな当たり前のことですらサボっている物書きの人々はカクヨム上にごまんといる。大抵の場合、それがどんな良作である可能性を秘めていたとしても、少なくとも僕は最初の一行で読む気を失くす。はい「私も同じです」って方、挙手お願いしまーす。
何人かいるでしょ、そういう人。それくらい、文章の作法って大事なのよ。例えを使い回すようで芸がないけど、ヘヴィノベル専門の高級料理店に足を運んで、ウエイター/ウエイトレスの人がパジャマだったら料理がどれだけ美味そうでも絶対ヤバいでしょ、その店。人も物も、第一印象が肝心なの。結局ね。
次々いきましょ中級編。これは正直に告白すると、僕も最初は知らなかった。何かというと、"!"や"?"といった、所謂「感嘆符」「疑問符」と呼ばれるものの後には、必ず全角スペースをひとつ空けなければならないということ。
「え!? そうなの!? 次から気を付けるね!」とか思ったそこの貴方。謎の壺を売りつけてくる詐欺師に用心した方が良いわよ。結論を急いだらいかんのです。
確かに、これらのスペース空けルールは歴とした慣行としてメディアにおいても浸透しているようだけど、少数派ながら、半角スペースを空けるメディアも、そもそもスペースを空けないメディアも存在しているらしく、実際のところは各社まちまち。また「何故スペースが必要か」という論拠も明確でないし、その由来もはっきりしてない。こんなくだらないルール、守らなくても良いよ。あ、重ねて言うけど、これ僕の持論に過ぎないから。
後は"…"(三点リーダー)ね。これは単体ではなく、ふたつ重ねて"……"として使わなければなりませんぞと。まあ元々日本語に三点リーダーなんて存在しなかった訳で、これは欧文から流入してきた記号であることはお察しの通り。軽ーく調べたところ、真偽は不明だけども、ひと昔の印刷技術の都合上、三点リーダーは重ねて使う慣行があったために、それが今も名残として受け継がれているとかいないとか。そもそも由来も不明確で、今となっては関係なく、元は欧米文化の都合だったのなら、こんなルールもさっさと廃止の方向で。読めりゃ良いのよ。違うか?
そして最後に上級編。──それは意外ッ! 「」の中の文末に"。"(句点)は要らないということ。
──え、何をいきなり当たり前のことをと思った貴方。言っておくけど、こんなルール僕は守ってないし、何ならルールとも認めてないから。小中学校で国語の授業を受けた時のことを思い出してもみてよ。「鍵括弧の中には必ず句点を打つように」と教わらなかったかい。そう、我が国の国語の指導要領においては、鍵括弧の文章は句点で終わらせるようにとあるのですよ。だから僕は間違ってないんだ! 多分ね。
勿論、例外もあるよ。例えば文章の見出しやタイトル(1)、鍵括弧が文中にある場合(2)、その他「感嘆符」「疑問符」で鍵括弧内の文章が終わる場合(3)、これらに句点は必要ないってのは分かる。だってそう習ったし。
1. 「【朗報】明日は晴れる。」
2. 昨日、田中に「明日は晴れる。」って聞いたんだけど。
3. 「明日、晴れるよ!。」
この例文は全部ルール違反。逆を言えば、これら以外は全て鍵括弧の中を句点で終わらせても、誰にも咎められることはない。一応、業界の慣行としては如何なる場合においても鍵括弧の最後に句点は打たないって、小説家を志しながら真剣に国語の授業を受けてる日本の小中学生に真っ向から喧嘩を売るようなくだらないルールがあるらしいが、無視して良い。僕は無視する。
まあ、初級編で例示したような絶対的なルールとかでない限り、小説の作法に関する原則は自分で決めれば良いさ。「感嘆符」「疑問符」の後にスペースを空けるも空けないも、鍵括弧に句点を打つも打たないも、全ては貴方次第です! 多様性万歳! これがWeb小説の醍醐味よ。
だが、自分で決めた原則はちゃんと守るんだぞ。1話と2話で作法が変わってたり、誤字脱字ばっかりで明らかに自分自身で見直しもしてない適当な作品だなと感じたら、僕は容赦なくブラウザバックするし、そんな作品は評価されるに値しないと考えるがな。
さあ皆様。これだけ偉そうに高説を垂れていた素人作家が憎くありませんか。今なら拙作に飛んで粗探しし放題ですよ(露骨な宣伝)。なんてね。まあ僕も先述した通り自分に自信がないから、少しずつ見直しの日々を送ってるよ。互いに切磋琢磨しながら頑張れると良いね。
──おしまい。
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