第8話 進化?

 あのあとサムにスマホの使い方を教えRINEを交換したあと、サムは次の人への説明、俺は黒猫の捜索へと向かった。


 ちなみにしっかり『もっとちゃんと説明しろ!』とクレームを入れといたぞ!


「あいつはなんでダンボールで寝てたはずなのにいなくなってるんだ?

 そんなに時間経ってないぞ?

 元気だなぁ。」


 そうつぶやきながら走っていると、川が見えてきた。


「ここの水めっさきれいなんだよなー!

 もうそのまま飲めるくらいに。」


 天然水として売り出せねぇかな?


「そういや確か魚もいたはず…。

 じゃあワンチャンここにいる?

 あ、でもまだ食べられないか…。」


 一応川に近づき辺りを見回してみると、川底に光るエアポンプのようなものを見つけた。


 なんだあれ。紫の泡だしてんだけど。


 しばらく周りを捜索しながら観察してみたところ、定期的に光が強まり青と紫の毒々しい色をした魚が生み出されているようだ。


 生み出された魚を目で追い、上流に目を向けると…。


 大量の魚の骨に囲まれた黒猫を見つけた。


「なんか光ってるんだけど…。」


 先程の青と紫の魚を食べたらしき黒猫の体が薄く黄色に光っていた。


 てかなんで生後1ヶ月半で魚食えんの?

 サムたちの隕石(兵器?)に影響を受けて成長したのか?

 なんかでかいし。


 そんな黒猫を凝視していると、黒猫はこちらに気づいたらしく、駆け寄ってきた。


「ミャァァ(やっとおきたのか)…」


「おうおう、すっかり甘えん坊だな…。」


 こちらにすりすり体をこすりつけていた黒猫は突然シリウスのように青白い光を放った。


「まぶしっ!」


 既視感。







 目を開けると、そこには毛質がビーバーのようになり、眉間に角が生えた黒猫の姿があった。


 進化かなにか?

 かっこいいな。

 てか元気になってよかった。


「心配したんだぞー?」


「ミィー(ごめん)。」


 てかずっと『お前』呼びやだな。


「そうだ、名前つけよう!」


 …でも俺名前つけようとすると食べ物になるんだよなぁー。


 まあいいか。本人が納得してくれれば。


 よし決めた!


「お前は今日からひじきだ!

 よろしくな!」


「ミャァゥー(ざっつぅぅー)!」







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ポワッソポンプ・スポナー


 川底に沈んでいる魚系モンスターのスポナー。泡の色はモンスターによって変わる。

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