第39話 いきなりドン

「トマってお給料ど──






気がついたら、という言い方はおかしい。記憶が飛んだわけではないから。ただそれは夢のように、前後の繋がりと、記憶に残ったものが混在していて、しかも時間の感覚も失われていた。一瞬だったような、非常に長い時間だったような気もする。この場合は「冷静に当たりを認識できるようになったら」というべきかも知れない。


トマは聖殿の庭にある大木の下でニナに覆いかぶさっていた。いや必死に抱きかかえていた。ニナはトマの下で痙攣したように大きく震えていた。

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