大消失
第37話 加護の裏話
「さすが叔母さま!かっこよかった!」
ニナは簡易宿泊車の中でアイニを称賛した。
「もう胸がすく思いでした!」
シルヴァも小さく拍手してアイニを称賛した。
「…………」
トマも簡易宿泊車の外から無言で小さく拍手した。
「バカな事をいってるんじゃないよ本当に」
などとは言うがアイニもまんざらではなさそうだった。
「しかし、これでどうなる事やら」
アイニは照れ隠しも含めてそう言った。
「撤収するんじゃないですか?」
ニナはあっけらかんとそう言った。
「……それはどうでしょう」
簡易宿泊車の外からトマが小声でそう言った。
「なんでよ?」
トマ以上に政治が判ってないニナは素朴にそう聞いた。
「もしこれで撤収したら骨折り損のくたびれ儲けじゃない」
シルヴァは帝国軍側の都合を推察してそう言った。
「本当に祠を破壊して光を浴びるかもね」
アイニは密かに気がかりだった事を言った。
「それ、どうするの?どうなるの?」
ニナはアイニに聞いた。結果的にはアイニが言った通りに地脈感知能力を得るらしいという事は知っていたが、その方法と結果が大いに気になる。
「さあ?祠を壊すのは手間じゃないし、やるんじゃない?」
火薬を置いて導火線を引いて火をつければいいだけだ。
「ただ本当に祠を壊して光を浴びるなんて聞いたことないからね」
アイニはあっさりとそう言った。アイニは全く嘘はついていない。祠を破壊して地脈の防衛システムを無効化して、後は光を浴びれば地脈感知人間の出来上がりである。らしい。文献にはそう書いてあった。それ以上もそれ以外も知らないだけである。
「それより祠が全部破壊されたらしばらくは不作かもねえ」
さすがに年の功と言うべきか、アイニは現実的な心配をするのであった。
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